悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する
040★宝石獣(カーバンクル)にお名前が付きました
そんなコトを考えながら、私は床に蹲る宝石獣を、そっと抱き上げた。
大きさがかなり縮んでしまい、今は手のひらサイズの小型のウサギぐらいまで小さくなっていた。
うふっ………なんかこの子もモコモコしているし、耳も大きくて………。
そう、タテガミ付きのロップイヤーみたいね…いやぁぁぁ~ん可愛いわぁ~…。
………でも水晶の中に居た時は、ものすごく大きく見えたのに、実際はこんなに小さいのねぇ………もしかして、能力を引き出されていた分、縮んじゃった………とか。
私は、手のひらサイズにまで縮んだらしい、宝石獣をマジマジと見てから、右手首のインベントリに、とりあえず収納しようと、左手のひらに移した。
途端に、クッタリとしていた宝石獣が、もそりと手のひらの上で蠢き、その瞳をパチパチさせる。
えっ? もしかして、目覚めるの?
この子ってば、もしかしなくても生命力が強いとか?
右手首の腕輪の中に収納しようとした動作を止め、私は左手のひらの宝石獣は、むっくりと身体を起こし、まるで本当のロップイヤーのように、顔や大きく長いテロンとした耳を整えだす。
私は、思わずマジマジとその動作を見詰めてしまった。
宝石獣の水晶を破壊する時、腕の中から肩へと乗り移っていたコウちゃんが、小さく舌打ちする。
あぁ~……もう…コウちゃんてば、ヤキモチやいているみたいね。
今までの子は意識が無かったから、そこまで強い反応しなかったけど………。
などと考えている間に、左手のひらの上では身繕いをすませた宝石獣が、ちょこなんと姿勢正しくして、私を見上げる。
『タスケテ…
イタダキ…
アリガトウ…
ゴザイマス………』
意識の方は、随分はっきりしているようね。
ある意味で、コウちゃんと一緒で、自我がしっかりあるのね。
「えぇーと…
意識と身体は
大丈夫かしら?
なんか、かなり
縮んだようだけど………」
ちょっと困ったようなニュアンスで聞けば、宝石獣ははっきりとした思念波を送って来る。
『ダイジョウブ…
デス……イシキ…ヲ…
……タモツ…タメ…
カラダヲ…チイサク…
シタ…ダケデスカラ
………ブシツケニ…
ナリマスガ…
ワタシノ…アルジニ…
ナッテ…イタ……
ダケマセンカ…
ソウシナイト……
コノだんじょんカラ…
デラレナイ…ノデ』
その言葉として普通に聞こえるような強くしっかりとした思念波に、私はクスッと笑ってしまう。
なんだろう、この子ってば、鬼畜眼鏡の腹黒さんぽいわ。
もし、人形をとったら、そういう感じよねぇ………。
ふむ、コウちゃんは王道の王子様の姿かしらね。
などと思いながら、私は頷く。
「いいわよぉ~………
となると……
お名前を与えれば
良いのかしら?
それとも、血の契約?
どういう契約でする?」
私の言葉に、タテガミ付きロップイヤーのような姿の宝石獣は小首を傾げてから答えた。
『…デワ……名ヲ…
クダサイ……』
私は頷いて、宝石獣の為の名前を考える。
えーとぉ……どんなのが良いかしらねぇ?
呼びやすい名前が良いわよねぇ~………。
ありがちな名前で、まさかそれが【真名】っていうのが良さそうよねぇ~…この子って………。
ふむ、ありきたりっぽいけど、一応宝石の名前をあげてみようかしら?
「貴方の額の宝石は
赤いから………
いくつか
それで見繕うわね
【真名】は
どれが良いかしら?
金紅石 ルチル
血玉髄 ブラッドストーン
紅玉 ルビー
柘榴石 ガーネット
紅玉髄カーネリアン
紅水晶ローズクォーツ
私が知っている
赤系の宝石の名前って
こんなところかしらね?
どれが良いかしら?
私としては、柘榴石の
ガーネットが
良いかなぁ~……
なんて思うんだけど?」
私の言葉を黙って聞いていた宝石獣は、コクリっと頷いて答える。
『では、柘榴石の
ガーネットで………』
名前が決まったことで、思念波がよりはっきりした感じで私に届く。
「それじゃ
柘榴石から取って
【真名】を柘榴と
しましょう
それは【真名】として
隠すお名前だから
普段は…ん~……
ガーネットから取って……
ガーくん……いや
ガッちゃんかしら………」
手のひらの上で3対の翼をあまりにもパタパタさせるので、つい何でも食べる某アニメのガッちゃんが浮かんでしまい、私は無意識に笑ってしまった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
11128
-
-
4
-
-
238
-
-
52
-
-
58
-
-
2
-
-
1
-
-
32
-
-
59
コメント