悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する

ブラックベリィ

038★神獣や魔獣が《封印》されていました

 コウちゃんを抱き締め、しばらく癒しを充電した私は、ゆっくりと立ち上がる。

 「とにかく
  ここを出る為に必要な

  残りのイベントを
  攻略しちゃいましょう」

 時間の感覚がおかしくなっているのを感じつつ、私はゆっくりと回廊左右を見回す。
 そして、後ろを改めて振り返れば、扉は回廊と同化し、その入り口は役目を終えて消えたようだった。

 『ママァ~……』

 心配そうに腕の中から私に呼びかけるコウちゃんに、私は笑って言う。

 「他にも
  あの一角天馬の
  子のように

  【虚】とかいう
  異空間に《封印》
  されているんでしょう?

  とりあえず
  その状態から
  開放してあげないとね

  そのイベントが
  終われば

  このダンジョンから
  出られるのよね」

 『うん……《封印》が
  開放されれば
  出られる』

 コウちゃんの言葉に、勇気を得て、私は次の扉を探した。


                *** 


 結局、あの後、私は4部屋の開放を行った。

 1部屋目は、一角天馬(ユニコーンペガサス)
 2部屋目は、飛竜(ひりゅう)
 3部屋目は、朱雀(すざく)
 4部屋目は、氷神狼(フェンリル) 
 5部屋目は、鷲獅子(グリフォン)

(※漢字は当て字です。造語や当て字大好きです。もし、良い漢字が有ったらコメントで入れてくれる嬉しいです。気に入ったら、そちらに変換します。by.作者)

 不思議なのは、全部に3対の翼と額に角があることだった。
 全部、仮死状態で《封印》からの開放と共に、身体が縮んだ子達は、全部右手首の腕輪の中に収納した。

 コウちゃんに言わせると、私が腕輪を嵌めているコトで、私の保有する魔力や魔素や真素が自然に腕輪の中に流れるらしい。
 生命維持は勿論のこと、ゆっくりと収納した子達を癒す効果があるらしい。
 それを聞いて、私はちょっと安心した。

 「ねぇ…コウちゃん
  これで全部攻略
  し終わったかな?」

 私の質問に、コウちゃんは何か悩んでいる風に小首を、こてんっと傾げる。

 「その様子だと
  まだなのね」

 私の呟きに、コウちゃんは嘆息するように小さな声で言う。

 『いや、これで…
  外へ出ることは
  出来る………』

 それで、私は理解する。
 確かに捕らえられた《封印》から開放しなくても、私達はこのダンジョンから出ることは出来る。

 ………けど、まだ《封印》されている子が居るということだから………。
 私をこれ以上、危険な目にあわせたくないという思いと、同じように《封印》されている子を開放したいという思いに苛まれていることを………。

 だったら、私は《封印》された子を開放することを選ぶわ。

 「コウちゃん

  あと、まだ《封印》
  されている子は

  いったいどんな子なの?」

 私の質問に、コウちゃんはあっさりと答える。

 『えぇーとぉ……たぶん
  宝石獣カーバンクルだと思う………』

 宝石獣カーバンクルねぇ……確か、ゲームなんかに出現するときの姿は、額に大きな魔力を持った宝石を持っている獣よねぇ……。
 補助魔法とか、防護魔法を持っていたと思うけど………。

 特異なのになると、極上の治癒系の魔法持っていたりするのよね。
 基本、どのデザインも可愛いのよねぇ~………。

 額の宝石が大きなカボッションが飾り、やっぱり大きなお耳があって………。
 あぁ…タテガミがあるのも有ったわねぇ………。

 「そう、それじゃ

  その子も見付けて
  あげましょうね

  コウちゃん」

 私がうっとりしたのを見て、コウちゃんはちょっとだけ溜め息を吐いて答えた。

 『うん………とはいっても
  何処に封じられたか……
  実は、わからないんだ』

 なるほど、コウちゃんは万能ナビではないらしい。
 でも、歩いていればそのうち見付かると思うのよね。

 まず、違和感を探ること。
 部屋への扉が無いというなら、この回廊じゃない可能性も考慮しないとね。
 とにかく、もう一回ゆっくりと歩いてみますか………幻の獣宝石獣カーバンクルを求めて………。

 「それじゃ
  確認して歩きますか……

  コウちゃんも
  違和感とか感じたら
  教えてね」



 

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