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悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する

ブラックベリィ

037★なんとかイベント攻略して、右の腕輪をゲットしました


 困ったわという風に呟いてしまうと、コウちゃんがまた助言してくれる。

 『それなら
  そいつの角に

  嵌まっている腕輪を
  右手首に嵌めて

  腕輪の中に
  しまっちゃえば
  良いんだよ』

 へっ? えっ? 対の右の腕輪って、生物いきものが入れられるインベントリなの?
 へぇ~…そういうモノあるんだぁ~………。
 っても、ある意味で何でもありの世界だったよねぇ~RPG【黄昏の解放】ってさ。

 「わかった、やってみるわ……
  ゴメンね、一角天馬の子

  私の魔力とかが充実したら
  いっぱい注いであげるね

  それまで
  もう少し待っていてね」

 そう言いながら、私は幼体の一角天馬を改めて見詰める。
 立方体の菱形で出来た水晶体? に入っている時は、かなり大きく感じた一角天馬。
 でも、実際には、大型犬の子犬ほどの大きさしかなかった。

 あれ? もしかして、縮んだとか?
 床に崩れ落ちた時、もっと大きかったと思うんだけど?
 コウちゃんの言う【虚】の異空間から開放されて、生命維持の為に縮んだとか?

 一角天馬は幼体の上で、縮んだらしく、その角の根元に嵌まっていた腕輪は、これって指輪ですか? というほど小さかった。
 私は、とりあえずその角に嵌まっている腕輪? を外す。

 当然、その角に嵌まっていた腕輪は、大きめな指輪ほどしかないので、困ってしまう。

 えぇーとぉ……私の手首の方がずっとずっと太いんですけど………。

 そう思い指輪? を手のひらに乗せて困っていると、コウちゃんが言う。

 『ママ…
  その腕輪の魔晶石を

  左手首に嵌めている
  魔晶石と合わせて………』

 私は小首を傾げつつも、コウちゃんが言ったように、魔晶石と魔晶石を会せるようにくっつけてみた。
 変化はすぐ現われた。
 そう、かなり大きく変化したのだ。

 私はその腕輪を右手首に嵌めて、左手首の時と同じように、腕輪を押さえるようにして、魔力を通してみた。
 次の瞬間、強烈な眩暈めまいを感じて座り込んでしまう。

 右手首に嵌まった腕輪は、私の中から魔力という魔力、魔素や真素までを絞り盗っていった。
 ただ、左の腕輪の時のような痛みなどは無かった。

 全身脱力状態におちいった私は、ゆっくりと深呼吸を繰り返した後に、小さく縮んでしまった一角天馬に右手の腕を翳して、収納したのだった。

 これで、左右の腕輪を手に入れたわ。
 ああそうだ、さっき間の部屋で収納した壷のお水を飲んでおこう。
 あの2つの壷のお水って、確か回復出来るモノだったはずだし………。

 私は、壷を出して、両方の水を同等に飲む。
 ほとんどの力が枯渇しきっていた私の身体に、ゆっくりと何かが浸透する感覚を感じる。
 眩暈と脱力感がだいぶ消えたので、私は2つの壷をしまい、コウちゃんを抱えてヨロヨロと部屋の外へと出た。

 「コウちゃん
  部屋から出て
  言うのもなんだけど

  この部屋のイベントは
  アレで終わりだよね」

 ついつい、それを確認してしまう。

 『うん、この部屋のは
  終わりだよ

  対の腕輪と一角天馬を
  回収したからね』

 コウちゃんからの答えに、ホッとしていると………。

 『こめんねぇ…ママ……

  本当は
  簡単に出られた
  良いんだけど

  コウちゃん……
  あのままじゃ…

  このダンジョンから
  外に出るなんて
  夢のまた夢だったから………』

 うなだれたようにして言うコウちゃんを抱き締め、私は笑う。

 「ばかね、コウちゃん…
  謝らなくて良いのよ

  ママが、可愛い
  コウちゃんと

  一緒に居たくて
  やっていること
  なんだから………

  それより、サクサクッと
  残りのイベントを
  攻略して

  お外に出ましょう…
  ね…コウちゃん」

 うなだれ状態のコウちゃんは、ガシッと私の胸にしがみ付き言う。

 『ずっと…
  ママと一緒にいたい……

  コウちゃん……
  もう独りは…イヤ………』

 疲れきっている感覚はあるけど、こうしてコウちゃんを腕に抱き締めれば自然と心も身体も癒されて来る。
 コウちゃんという存在が、何も持っていない私を幸せにしてくれる。

 本来、無条件で庇護してくれるはずの両親から、幼い時に引き離されて、婚約者(お花畑で馬鹿な皇太子)の両親(皇帝陛下夫妻)の監視の下、義務と責任の中で生きてきた私が、初めて自分から手に入れた、愛しいモノ。

 今の目標は、コウちゃんと一緒に、このダンジョンを出て冒険に出ること………。
 その為には、あと幾つかのイベントを攻略しないと駄目そうだということは、私でもわかる。

 けど、今は少し休憩かな?
 たった今攻略した部屋の扉を背に、回廊の床に座り込み、ただひたすらコウちゃんのもふもふを堪能する私であった。






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