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悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する

ブラックベリィ

036★どうやら、コウちゃん達を《封印》した者がいるようです



 魔力を注ぎ続けた私が、もうダメと思った頃、両手のひらに感じていた硬質なモノが消失した。
 途端に、キラキラした光りの粉のようなモノになって、空間に消えて行く。

 そして、中に居た一角天馬がふわりと床に降り立ち、そののま崩れ落ちるようにその場に横たわった。
 私は力の入らない足に舌打ちしつつ、ヨロヨロと一角天馬のところへと向かう。

 『大丈夫? …ます…ママ……』

 心配そうなコウちゃんに、私は笑う。

 「大丈夫よ、コウちゃん

  魔力はね、魔力枯渇をすると
  キャパが広がるモノなのよ

  だから、必要な時はね
  思いっきり使った方が
  良いのよ」

 はぁ~……それでも、このシルビアーナのスペックは高いわよねぇ………。
 ほとんど感知したことも、使用したことの無い魔力や魔法をすぐに使えるんだし………。

 いや、コウちゃんていうナビをゲット出来る幸運値も幸いしているわね。
 ソレもこれも、あのお花畑でお馬鹿な皇太子との婚約破棄がきっかけ………。

 逆に考えると、あんなモノと婚約していたことで、私の幸運値が思いっきりマイナスになっていたっことよね。
 じゃないわ、とにかくこの子(一角天馬)の状態を………。

 側へとにじり寄った私が見たモノは、ぐったりとした一角天馬の幼体の姿だった。

 えっとぉ……もしかして、ものすごく弱っている?
 ………えっ? 息をしていない………やだっ…どうしよう?
 この子ってば、死んでいるの?

 「コウちゃん
  この子ってば
  死んでいるの?」

 思わずそう聞いてしまった私は、肩のコウちゃんに手を伸ばし、震えながら抱き締める。
 コウちゃんは私の腕に素直にスポッと入り込み、愛らしいお手手をひょいっと持ち上げ言う。

 『大丈夫だよぉ~…
  ママぁ…こいつ……

  魔力枯渇状態で
  この中に《封印》されたから

  仮死状態に
  なっているだけだから………

  でも、蘇生には
  時間と魔力や魔素や
  真素が必要だから………』

 えっ…魔力枯渇で…《封印》されていたの?
 仮死状態から蘇生させるには、魔力の他に、魔素や真素が必要なの?
 でも、もう、私の魔力かなりつきかけなんですけどぉ………どうしよう?
 すぐに蘇生を始めないと、そのまま死んじゃわない?

 「コウちゃん
  どうしよう?」

 その事実に行き当たり、わたわたする私に、コウちゃんは冷静な言葉で言う。

 『大丈夫だって
  そんなに簡単に
  死んだりしないよ

  ただ、回復するのに
  とても時間がかかるだけで………

  魔素や真素がある空間で
  安全な場所に隠しておくなら

  たぶん12~13年ぐらいで
  自然と目覚めるんじゃないかな?』

 その説明に、私は頭痛を覚える。

 コウちゃん、本気で私を独り占めしたいのね………本当に、トラちゃんにそっくりね。
 でも、だったら、このダンジョンの魔素や真素って他よりも濃厚なんだから、こんなに弱っているのっておかしくない?

 「ねぇ…このダンジョンの
  魔素や真素って
  濃いんでしょう

  なんで、この子は
  仮死状態なの?」

 私の質問に、あっさりと答える。

 『ああ、それ………
  《封印》されていたからだよ

  あの菱形の立方体は
  ここにママが顕現させるまで

  何も無い【虚】の異空間に
  《封印》されていたから

  一切のエネルギーになるモノが
  含まれていないモノだったんだ』

 えっとぉ……よくわからないわ……何も無い【虚】の空間って?
 いや、その前に、誰が? その空間に《封印》したの?
 やだ、考えることいっぱいじゃない………あぁぁぁぁぁ………もう、いいや。
 とにかく、私は、この子を蘇生させて上げることを考えないとね。

 「コウちゃん
  よくわからないけど

  この子は誰かに《封印》
  されたってことよね」

 『うん、他にも【虚】の
  異空間に《封印》された子は
  居るよ……

  《封印》を解けるのは
  力と条件を持つ者

  限られた者だけなんだ

  ママは、その貴重な
  ひとりなんだよ

  そう、やつら以外で
  解放できる唯一………』

 やつらねぇ………ようするに、コウちゃんやこの足元でまだ仮死状態でいる一角天馬の敵ってことかしらね?
 でも、私は事なかれ主義だから、そういうやつらとは出会わないように回避して、コウちゃん達と冒険するんだもん。

 それでも、コウちゃん達の敵? 以外で、唯一私が《封印》から開放できるんなら、ジャンジャン開放しちゃいましょう。
 言葉を濁らせるコウちゃんを抱き締めながら、私は1つ首を振る。

 「とりあえず
  この子(一角天馬)を
  どうしようかしら?

  注いで上げる魔力
  かなり乏しいのよねぇ………」






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