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悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する

ブラックベリィ

027★等身大の大鏡の先は?



 いっぱい突っ込みたいことはあったが、今はこのダンジョンを抜け出ることに意識を向け、私は自分にとっての最優先事項を優先する。
 私はコウちゃんの助言に従い、等身大の鏡の前に移動する。

 等身大の鏡の真正面に私は立った。

 えっ? えぇぇぇ? えっとぉぉぉぉ~………。

 その等身大の鏡に映ったのは、随分と綺麗な少女の姿だった。
 大鏡に映った少女の頭髪は、青みすら帯びた銀糸。
 その瞳は、綺麗な薄紫色。
 
 私は思わずキョロキョロと周囲を見回す。
 周囲には誰も居なかった。
 そして気付く、その綺麗な少女が着るドレスが、自分が着ていたモノとさほど変わらないことを………。

 ちょっと待って、この色のドレス………って…えぇぇぇぇぇぇぇぇ………。
 もしかしなくても、この等身大の大鏡に映っているのって………。
 その肩には、コウちゃん………ってことは、やっぱり、この可愛い子は私?

 いや、確かに、寝ると小高い丘のようなお腹は、かなり減ったとは思っていたけど………。
 いや、それよりどうしてドレスがズルズルにならないの?
 ブカブカで、お引きづりになってもおかしくないのに?
 ソレもコレも、コウちゃんのお陰かな?

 じゃなくて、今は疑問という疑問をいったん箱にしまって棚の中にしまいましょう。
 とにかく、この等身大の大鏡を通って次に進まないと………。

 私は無理やり意識を切り替え、大鏡の鏡面に両手を付けて魔力を込める。
 すぅーっと身体から何かが抜ける感触を味わう。
 それと共に、大鏡が内側から光りが零れ始める。
 
 本当にねぇ…あんなにも感知すら出来なかった魔力を、こうも容易く使用できる。
 あの3点セットのセイで、どれだけのマイナスを背負っていたことか………。
 それもこれも、まず間違い無く、あの脳内お花畑のルドルフ皇太子のセイだってことは、いやってほど理解わかるわね。

 でも、そのお陰で可愛いコウちゃんと出会えたことには感謝するわね。
 だからと言って、あのお花畑の皇太子や、あのビッチヒロイン達がやったことを許す気なんてさらさらないけど………。

 そう考えている間に、等身大の大鏡が輝きを放ち、両手がスゥーっと何の抵抗もなく鏡面を通る。
 そのまま、私は一歩を踏み出した。

 ちょっと微妙な感覚のズレを感じつつ、スカッという音がつきそうなほど簡単に等身大の鏡を抜けたソコは………。

 「今まで部屋の半分の規模の
  大きさくらいかしら?」

 室内は今まで部屋と違い質素な感じがした。
 ちなみに壁際には壷が置かれていた。

 「あら、壷があるわ」

 そう呟いた私は、そのまま壷のところへと向かった。
 壷には、水のようなモノが首近くまで満たされていた。

 その壷に入った水のようなモノを見た瞬間、妙な喉の渇きを感じた。
 だから、私はコウちゃんに恐る恐る聞いてみた。

 「コウちゃん
  なんか喉が渇いた感覚が
  あるんだけど?」

 私の言葉に、肩のコウちゃんはケロッと答える。

 『この部屋は、正常に
  時間が流れているから
  じゃないかな?

  別に危ないモノは
  入ってないよ

  その水は回復薬
  みたいなモノだから……

  喉が渇いているなら
  飲んじゃえば……

  なんなら、その壷も
  インベントリに
  入れちゃえばいいよぉ』

 コウちゃんのセリフに、そういうモノなんだと、私は深く考えずに、壷の水面へと指先を付けて、唇へと導く。
 それが、どういうモノかなんて考えもせずに………。

 回復薬の役目を果たすという水は、ほどよく冷えていて、つるっと口腔へと滑り込む。
 私は水の感触を感じた途端、心身に溜まっていた疲労感らしきモノがすぅーと消えるのを感じたのだった。





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