GIFT1

コブサラダ

GIFT(1話)

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          1
西暦×××××年、
宇宙では近未来感溢れる装備の軍人達が巨大な惑星付近を高速で飛び回り、殺し合っていた。
2秒に一人が死んでいき、着ている装備が爆発しているので、巨大な惑星付近は常に明るかった。
         
この宇宙では現在進行形で、惑星国家[オストガルア]
と13の惑星国家で形成されている、[惑星国家同盟]
との間で、戦争中だ。
[陽光戦争]と呼ばれるこの戦争が起こった原因は、
惑星国家同盟の加盟国の著しい太陽光不足だ。
今までなら、地球からの移住者の科学の力でかろうじて国家として成り立っていた。
が、毎年たくさんの餓死者を排出していて、
全生物が滅ぶのも時間の問題だった。
そして12年前、惑星国家同盟は[地王星]オストガルアに[移住]することを決定した。

なぜ、移住先をオストガルアにしたかというと、
オストガルアは宇宙で最も大きく、陽当たりも絶妙な全宇宙の理想の星だからだ。

が、この移住計画はオストガルアにすんでいる人間を皆殺しにして惑星国家同盟の人間が移住するという、もはや侵略戦争と呼ぶべきものだった。
そうして、惑星国家同盟は、オストガルアとの会談も認めず、生物兵器[エイリアン]や、選定された軍人である[英雄]を中心とした兵を次々に送り込み、オストガルアに侵略しようとする。

が、惑星国家同盟は3回の総力戦に3回とも敗北している。
何故なら、オストガルアにはかつて宇宙最強と呼ばれた、最高の贈り物であり、最悪の毒である、
特殊部隊[GIFT]がいるからだ。
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          2 
肩まである銀髪に、薄褐色の肌、緑色の目。
中性的な顔には幼さが多く残っている男の娘である。
名は[宮薙 〇〇](みやなぎ 名前の隠蔽は本人志望)16歳ほどの外見で、少し小柄なところもまた愛らしい、男の娘である。
が、この美しい外見とは裏腹にGIFTの隊長として、
さまざまな英雄やエイリアンを単騎で撃破している猛者である、男の娘である。
ちなみに、実年齢35歳で。GIFTの副隊長と結婚していて一児の父でもある。
まだ幼いと言える外見とはかけ離れている経歴はもはや詐欺である。
そんな詐欺師こと宮薙は、もうすぐ惑星国家同盟とオストガルアとの総力戦が始まる時期にとある任務に出ていた。

「おい、天狩、あれが5つ目のエイリアン養成所か?」
宮薙は双眼鏡を片手に、GIFTの隊員の一人に聞いた。
時刻は深夜2時30分、白を中心にした円柱状の建物を3つくっつけたようなエイリアン養成所は、たとえ深夜でも、岩だらけの荒野では非常に目立っていた。
呼ばれた男は金髪長身で、着ている黒色のコートがよく似合う美青年だった。
この美青年の名を天狩 真(あまがり しん)と言う。
天狩は眠い目を擦り、上司である宮薙に対して、
やや軽薄な態度で答えた。
「そうですねぇ、見た目があいつの言ってたのと一致しますねぇ。」
そうして、天狩は拷問でぐしゃぐしゃになった女の死体を思いだし、下品に笑った。
「にしても、聞きました?あいつが俺に拷問された時の反応を、、、!」
「嫌でもな。」
と、宮薙はかなり鬱陶しそうに言ったが、
天狩はガン無視して続ける。
「あのアマ最初は、「自分は何をしても喋らない。」とか言ってた癖に、俺が[ウォーミングアップ]をしただけで、「痛い!喋るからもうやめて!!」ですって!」
宮薙は天狩の話を一切聞かず、リュックの中から携帯食料を食べだした。
「んで、全部聞いたあとに、俺が面白そうだから続けようとしたら、「全部話したのに!!」って。
全部喋っただけで解放されると思っているあの神経!!俺はもう、拷問中ずっとギンギンのビンビンでしたよ!!」
天狩は下品を通り越して、恍惚の表情を浮かべていた。
宮薙は、半分軽蔑半分脱力の表情で吐き捨てた。
「お前が楽しみ過ぎたせいで、俺とタリエンテはかなり待たされたけどな。」
「はぁ、すんません。」
実に薄っぺらい、形だけの謝罪だった。
「はぁ、、、まぁ、いい。
お前の性癖は今に始まった訳でもないしな、、」
宮薙は諦めた声で言った。
「そーですよー。
んで、今回は量産種か固有種、どっちですかねぇ。」

現時点で、エイリアンには量産種と固有種の二種類が、確認されている。
量産種は、比較的少ないエイリアン細胞を取り込んでできるタイプで、成功率も固有種より格段に高い。
固有種は、多くのエイリアン細胞を取り込んでできるタイプで、成功率はかなり低いが、量産種を大きく上回る性能で、量産種にはない、特殊な能力を持っている。
「でも、そんなヤバイやつを野放しにするほど連中はバカじゃないから、何らかの方法で拘束しているからザコ(養成所職員、護衛&見張りの軍人、被験者)を皆殺しにしたあと、動けないエイリアンの首をはねれば終了なんですから、養成所破壊任務なんて、わりと簡単ですよねぇ。
今までも、そうやって楽にやってきましたし。」
「ところが今回はそう上手くはいかないだろうな。」
「は?」
「見ろ。
見張りの軍人が一人もいないし、いくら深夜でもどこにも電気がついていないのは、いくらなんでもおかしいだろ?」
宮薙がは説明を終えると、確認のために天狩に双眼鏡を渡した。
「ぁー、、あっ、確かにそうですね。」
この二人を見ているとあまりそう感じないが、これはかなりの異常事態だ。
が、千を軽く越える修羅場を越えてきた宮薙は呑気なものだった。
「だけど、俺もお前も戦場で何度もエイリアンに勝ってきたんだし、なんとかなるだろ。」
「まぁ、そーですねー。」
天狩も呑気そうに水筒の茶を飲もうとしていると、
養成所の扉が勢いよく開かれた。
天狩が双眼鏡で覗きこむと、
「うわぁああああああああああ!!!助けて!助けて!!助けてくれぇええ!!!」
出てきたのは惑星国家同盟の軍人だ。
が、その大いに取り乱している姿は軍人というよりは幼児のようだった。
その涙と鼻水でひどい状態の軍人を見ても天狩の態度は変わらない。
「おっ、多分エイリアンから逃げてきた奴ですね。
俺ちょっと[試して]みますよ。」
そう言って、天狩は立ち上がり、大きく手をふり声を上げる。
「おぉーい!!どうしたんだ?そんなに慌てて。」
その声に気づいた軍人が泣きじゃくりながらも二人の方に向け走り出した。
「あぁ、よがった、、良かった。
ん?もしかしてあの軍服はオストg、、」
そして微笑みながら、天狩は軍人の足を撃った。
それは、エイリアンがどんなものか見るために、モルモットが逃げないように、足を撃った。
憐れな軍人は、突然の激痛に完全に錯乱した。
「あひっ?足!俺の足が!!足が動かない!
何で!!何でだ!?何でなんだ!?」
そして、軍人が泣き叫ぶこと1分。
養成所から[それ]が出てきた。
固有種のエイリアンが、出てきた。
それは、芋虫のような胴体だが、全長が9mほどあり、両側に9本ずつ、図太く長い、毛むくじゃらな人間の腕が生えていて、
とどめに先頭部分にツインテールの可愛い女の子の顔がついていた。
街でアンケートを取ると、91%が凄くキモいと答えるレベルのキモさだった。
「うわぁああああああああああ!!!いやだぁ!
[食べないで]ぇええ!!!」
軍人のささやかな願いは聞き取られず、エイリアンは大きく口を開き、[舌]を出した。
その舌は、色だけなら普通のピンクだが、6m近くあり、先端は無数の赤子の腕が生えていた。
エイリアンは、その舌で軍人を、つまみ上げる。
「あぁがっあああああいぎるべあああしにたくあばぎゃああああ!!!!」
軍人は叫ぶ、自分の産声より大きく断末魔を上げる。
軍人は無数の赤子の腕に引きちぎられて、エイリアンの口の中に消えた。
エイリアンは満足そうに微笑んでのっしのっしとのろまに歩き、養成所の中に消えた。

一部始終を見た二人はというと、
「うわぁ、、、何て綺麗なお嬢さんなんだ。
隊長にお似合いの子ですよ。」
「残念ながら俺は既婚者だ。」
「良いじゃないですか、可愛いですよ?
あの子の舌は魅力的ですよ?
(というか、死ね。)」

説明が遅れたが、天狩は読者が思っているような優しい美青年ではなく、非常に陰湿で執念深い、オストガルア1のクズである。
なので、天狩は10年も前のことで宮薙を憎んでいる(ねちねちと)。
が、詳しい事情は省略する。

とは言うものの宮薙もそれはわかりきっているので、軽くあしらう。
「てめぇがやってろ。」
「慎んでお断りしまーす。
(いや、お前に言ったんだよ。
人様の言語があまり理解できてねーのか糞猿。)」
エイリアンと遭遇しても平然と貶し合う、
この二人の心臓の毛は剛毛である。
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          3
15分後。
二人は懐中電灯をくくりつけたビームガンを片手に、養成所を探索していた。
一階から三階まで天井がないので、何処と無くだが、ショッピングモールににている。
2つだけの光が照らす、養成所の1階フロアはどこもかしこも地獄絵図だった。
職員や軍人、被験者。
皆等しく、[食べやすい]大きさに千切られて、血の海を描いていた。
「うわぁくっさ!隊長ー!俺、吐いて良いですかー?」
「汚いから駄目だ。
だいたい、いつもお前はこれと同じような所にいるだろうが。」
「それとこれとは、訳が違いますよ。
こいつは餌が逃げないため、要するに生きるために痛め付けていますが、
俺は楽しむために痛め付けています。
何で、生きるために痛め付けなきゃならないんです?
そんな悲しい思いをするくらいなら、死んだ方がましですよ!」
「いや、俺からしたらお前もあれも同類だからな?」
ド正論である。
「えぇー、さすがに傷つきますよそれー。」
今度は宮薙が天狩のぼやきをガン無視して調査を行っていると、壁に張り出されている地図を発見した。
「おい、見ろ天狩。
どうやらこれは、この養成所の地図らしい。」

エイリアン養成所は3つのスペースにわかれてい
る。
研究スペース。
実際にエイリアンを生み出す所。
居住スペース。
職員が寝食を行う所。
拘束スペース。
被験者、エイリアンを拘束する所。
二人が今いるのは、研究スペースと居住スペースの間にいた。
「とりあえず、研究スペースに行くか。
何かしら、エイリアンの情報があるだろ。」
「そんなに上手くいきますかねぇ?」
「何にせよ無策に突っ込むよりずっとましだろ。」
「ま、そーですねー。」

5分後、
二人は研究スペースの一室にいた。
天狩は部屋をしばらく部屋を見回していたが、ぴたりと動きを止め、ニヤリと笑う。
そして天狩は「[どうしますか?]」と聞いた。
対して宮薙は「[駄目だったら、考える]」と答えた。
天狩は不満そうな顔したが、すぐに宮薙に続いて探索を開始した。
しかし、そこは紙の山だらけで、学校の職員室より少し広い部屋だが、歩ける場所は4割もなかった。
「いやぁ、めんどくさそうだなあ、これは。」
と、言いつつも天狩は探し物は得意だった。
もっと言うと、何でも(絵、歌、料理、スポーツ、勉強、狙撃、格闘、諜報、詐欺、拷問、変態)得意だった。
非常に妬ましい。
ものの2分で、天狩はとある日記を発掘した。
日記はやけに堅苦しいものだった。
[8月6日、
今日は被験者番号16番の西田結城(にしだ ゆうき)の研究成果を記す。
結論から言わせてもらうと、[最悪]だった。
この男は軍人志望で軍校に通っていたが、適正があったため、この養成所に招待した。
我々は彼の星の役に立ちたいという願いを叶えるべく、彼に固有種に変成させるためにエイリアン細胞を打ち込んだのだが、打ち込んだ5秒後、
半径9m、盛大に爆発した。
それだけではない。
半径18mに毒素を撒き散らすという効果もあった。
我々は今まで、全く前例が無かったこの事態に、しばらく呆然とした。
2分後、ようやく沈黙から解放された我々は、大きく歓声を挙げた。
確かに、彼だけでなく周囲の同僚も巻き込まれた、最悪の結果だが、これはこれで大いに使える。
我々はこの犠牲を忘れない。]
[8月7日、
今日は被験者番号17番の石浜幸(いしはま さち)
の研究成果を記す。
結論から言うと成功だ。
17番は、最初は嫌だ、嫌だ、帰らせてくれとみっともなく泣きわめいていた。
確か、この女は彼氏との待ち合わせに[徴兵]されたのか。
みっともない。
なぜ国のために、13の星のために。と思わない?
私は心底理解出来なかったが、結果として石浜幸は、無事に固有種に変成した。
非常に醜い姿だが、固有種の中でも限られた[多能系]でもある。
成功どころではない、大成功だ。]
ここまでは、まだ普通の日記と言えた。
が、問題は次の日にち、要するに一昨日の出来事だった。
[8が
つ、6にち
こあい、こわい。
てもふ
るえてるけれど、
きをまぎらわす
ためにかく
きょうはえいりあんがにげだした
急に、きえて、きがついたらへや
からにげていた
ああこわいこあいこあいこあいこあいこわい]
そのめちゃくちゃな日記の内容に天狩は思わず、顔をしかめた。
そして、他に何かないかとページをめくるが、日記はその次の日以降のことは書かれていなかった。
宮薙も読むが、思わず顔をしかめる。
が、天狩の表情は明るい
「たーいちょー、
そっちもダメでしょう?
[どうしますか]?」
宮薙は作業を止め、天狩を見た。
「仕方ない。[駄目だった]から、こいつに聞くとするか。」
そう言って、宮薙は紙の山の一つを指差す。
「おい、もうバレてるから出てこい。」
宮薙がそう言ったとたんに、紙の山の1つが崩れて、ナイフを持った男が現れた。
「くぅたぁばれぇぇぇぇ!!」
が、宮薙は顔色1つ変えずに男に顔面ストレートを与える。
3mほど飛んだ男は、壁に勢いよく打ち付けられ、気を失った。
「いやぁ、にしてもナイフ一本程度で隊長に襲いかかるなんて知らないって怖いですねー。」
「んなことはどうでもいいからさっさと縛れ。」

男が目を開けると手足を縛られていて混乱する、
殴られた前後の記憶がなく、突然の状況に困惑している。
が、
(へっ、あの固有種じゃないなら余裕だぜ、
俺が捕まってるのはきっと何かの偶然だろう。
すぐにこれをほどいてこいつらを殴り殺してやる!!)
この男は、自分の力を過信し野望にみち溢れた男だった。
よって、宮薙と天狩を恐れずに、大きい態度をとることができる。
が、この男は知らない。
それがどれほど無謀なことか知らない。
天狩がどれほど残虐なのか知らない。
天狩がどれほど変態なのか知らない。
天狩の言葉を借りると、知らないということは恐ろしいことなのだ。

「えーと、惑星国家同盟軍二等兵 加藤君
であってる?」
天狩は得意のスマイルで、手帳の内容を捕らえた軍人、加藤に確認した。
「うるせえ!!
今すぐ、ぶっ殺してやる!!」
加藤は勇ましく叫んだ。
が、天狩に手の甲を強めに踏まれ、骨をいくつか折られた。
「ぎぃああああああああああああああああ!!!!」
加藤は転げ回りながら悲鳴をあげ続ける。
「あぁがっあああああ!!て、、!手がああ!!!」
その様子を見ても、天狩はスマイルを崩さぬまま、尋問を続ける。
「そう言うさぁ、つまんないジョークは良いからさぁ。
さっさと、喋ろうねー?」
「いひっ、、じらないぃ!知らないんだあ!!
逃げてきたんだよぉ!あれからあ!!
見回りをしていたら、急にあいつがでてきて、、
銃をどんだけ撃ってみても効かねえし!!
だから、怖くて逃げてきたんだよぉ!!」
加藤の終始めちゃくちゃな喋り方で、天狩は内心イラついていたが、1つだけ引っ掛かることがあった。
「ん?君の銃を見せてもらったけど、あれ確か[ホーク]だよね?
ホークって確か4121だったよね。
あれでも傷がつかなかったの?[モード]は何?」
「、、、キャノンだ。」
天狩は驚きのあまりに、少し目を開いた。

      [天狩先生の用語解説]
「えーと、、4121って言うのは、、
要するに銃の性能です。
詳しくはめんどくさいので図で説明します。
これは加藤君のビームガン[ホーク]ですね。
図4(威力)
 1(弾数)
 2(距離)
 1(チャージ時間の短さ)
図のようにビームガンは数字で性能を表します。

それから、[モード]って言うのは、ビームの形状です。
これも面倒くさいですね、図で説明します。
図レーザー(射程 高 威力 低 )
 キャノン(射程 低 威力 高 )
 バレット(射程 中 威力 中 )
なお、他にもモードは腐るほどありますし、もっと細かくいじれます。

なので、わりと威力の高い4のキャノンはかなり強力です。
それなのに傷1つつかない。
だから先生は少し驚いちゃいましたー。
以上、教員免許を持っている天狩先生の用語解説でしたー。」

「ふーん、、、あのエイリアンは間違いなく
ビーム耐性[中]はあるなー」
「ま、このポンコツからそれだけ聞き出せただけ、
良いだろ。」
「そうですねぇ、、、
とりあえず、お仕置きだね。」
天狩は少し考えたあと、加藤の四肢をビームガンで
撃ち抜いた。
「ったああああああああああああああああ!!!!!
何で!?何で!!?何で!!!?
ぜ、全部喋ったじゃねえかよ!!!」
「あのさぁ、君はただ君の身に起こったことを話しただけだろ?しかもタメ口で。
ダメじゃないか、家畜は家畜らしく、ちゃんと人様の役に立つことを喋らなきゃ。」
天狩は常識のように非常識なことを喋った。
「えは、、えははは、、」
加藤はもう笑うしかなかった。
「じゃ、もう聞くことないしあとは俺が[楽しむ]だけか。」
天狩がいやらしく笑った瞬間に、宮薙が加藤の脳天にビームガンを撃った。
加藤は天狩から解放された喜びと共に死んだ。     
「あぁーあ。
いーけないんだ、いーけないんだ。
人のおもちゃを勝手にこわした!!
いーけないんだぁ!」
「うるさい。黙れ。
こうしてる間にも固有種が人間を食って成長されたら目も当てられん。
お前の趣味に付き合っている暇はないんだよ。」
天狩はいやらしく目を細めたが、すぐにいつものヘラっとした表情に戻った。
「はーい、
んじゃ、いきましょうか。」
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          4 
10分後、
二人は再び、研究スペース1階に来ていた。
「にしても、隊長も甘くなったもんですよねぇ。」
天狩は職員の腐敗した腕を大袈裟に飛び越えながら言った。
宮薙は探索を中断した。
そして、自嘲気味に微笑みながら振り返った。
「どこがだよ、天狩。
俺のどこが甘くなったんだ?
今も昔も変わらず俺は殺人鬼だぞ?
嫁が出来ようが、娘が出来ようが
変われず殺人鬼だよ。」
宮薙の言葉を天狩は嘲笑う。
「ははっ、だからそこですよ。
前まではこんな生活なんかはやめて、幸せに暮らしたーい!!
なーんて微塵も思わず殺してきたでしょう?
隊長が殺してきた奴にも帰りたい場所があったのに、問答無用で殺してきた。
隊長はエイリアンより化け物じみてます。
そんなのが普通の生活を送るなんてむりむり。
諦めてくださいよー?」
天狩はいつも通りにちゃかすつもりで言ったが、
その言葉は予想以上に宮薙に効いた。
ギチリ、と宮薙は歯ぎしりをしたが、すぐにもとの何事にも無関心な表情に戻った。
「そんなことは化け物自身が一番知ってるよ。」
天狩もいつも通りの微笑みを浮かべ、
適当に返した。
「そーですよねー。」

二人が作業を探索を再開しようとした瞬間に、
宮薙の目の前に、[透明化]を解いた固有種、石浜幸が出現した。
宮薙は突然表れた石浜幸に気づかず、石浜幸が伸ばした舌に足首をつかまれ1階から2階に勢いよく投げ飛ばされた。
宮薙は鉄製の扉に叩きつけられ、
ずるり、と倒れ込んだ。
天狩は呆気にとられていたが即座に懐からSランク(現時点で最高ランク)のワイヤーつきビームガン、
ガルーダ(2828モード[バレット])を取り出し、宮薙とは対局に2階へ上がった。
その瞬間に、天狩がいた場所に石浜幸の顎が炸裂し、粉々に吹き飛んだ。
「ふぅ、、危ない危ない。
、、、にしてもあの糞ガキいくら何でも油断しすぎだろ?
攻撃まで1.9812秒もあったぞ?」
9割お前のせいだ。
「ま、あれを俺一人で倒すのは少しキツいし、糞ガキが起きるまで時間稼ぎとするか。」
そう言って天狩はリュックの中からSランクのビームガン一挺を取り出した。
口径は58ミリ、全長1m59cm
(収納時は3つに折り畳まれている。)
形状は火縄銃ににているが、色はどす黒い。
名前は[ホルス9191]モードはキャノン。
このビームガンは簡単に言うとめちゃくちゃに威力が高い。
「えいっ!!」
天狩がホルスの引き金を引いた瞬間に掃除機の吸引音が耳に響きだす。
と、同時に狙いをつけ、寝転がる。
ここまで2秒。
そして、棒を差し込んだ3秒後、キャノンが凄まじい勢いで放たれた。
命中したキャノンは石浜幸のビーム耐性中をあっさり突き破り、、、
「ぎぎ、ギあああイヤアアアあああああああ!!!」
石浜幸の右腕の1本を消し炭にした。
が、天狩は顔をしかめる。
本来なら、脳が消し炭にするはずが、ホルスの凄まじい反動で狙いが大きくずれたのだ。
「あぁー、、いってぇなぁ。
これを二挺同時に使う擊打(うちだ、GIFTの狙撃手)は、どう考えてもおかしいだろ、、、」
天狩は肩を降りながらぼやく。
とは言え、石浜幸は結構なダメージ食らっただろう。天狩はそう思って、次の一手を生み出すため、
石浜幸を観察する。

石浜幸は悔しそうに周囲を見渡すが、天狩を見つけることはできない。

「ふーん、、、
目が見えないみたいだな。
なら、他の器官が優れているのかな?」
と、天狩が仮説をたてていると、
「グギぐぎぃ、、どコですかァ、、、せェんパぁい?」
石浜幸は突然いなくなった恋人を探すような声で喋った。
「うぅわっ、キモッ!
気色悪い芋虫の分際で、人様の言語を使ってんじゃねぇよ。」
石浜幸はしばらく歩き回ったが、不意に無意味な探索をやめた、
すると、石浜幸の耳が左右2つ、合計6つにふえた。
石浜幸は耳を増やし、手に入れた異常な聴力で、天狩の呼吸音から位置を特定し、猛烈な勢いで壁を登りだした。
当然、天狩はガルーダを対岸に射出し、そこから離れる。
が、石浜幸は顔を天狩の方向に回転して、天狩に向け舌を射出する。
「なぁぁーーにぃーー!!??」
天狩は避けようとするが、空中では身動きが全くとれない。
あっさりいくつもの腕(舌)に捕まる。
このままでは食べやすいサイズに引きちぎられ、食われるだろう。
が、かろうじて動かせる右腕が、腰にある黒い刀身の小太刀を抜く。
「ーーーーーーシィっ、、!!」
天狩は短く息を吐き出しながら、
小太刀を突き立て、、、ることはできなかった。
舌で床に叩きつけられたのだ。
頭から叩き付けられ、大量に出血するが、運よく舌は離れた。
が、叩きつけられた勢いで空中を3回ほど回転し、再び頭から地面に落ちる。
「ごぼっ、、」
ゆっくりと起き上がった天狩だが、少しずつ傷が塞がり始めている。
英雄の天狩は戦闘力も生命力も尋常じゃない。
が、様子がおかしい、小刻みに震えているのだ。
いくら天狩が屈指の英雄でも頭を叩き付けられ、少しおかしくなったか。
ーー否である。
「行儀の悪い女の子だねぇぇ?
躾が居るみたいだぁ、、、」
天狩は目を不気味に細め、口が耳まで裂けたように
嗤う。
左足を高く上げて振り下ろす、凄まじい音がして、
床にいくつもの亀裂が走る。
着ていたコートを脱ぎ、叩きつける。
同時にどす黒い小太刀を、もう一本引き抜き、
左は右とは違って逆手に持つ。
「あははははははははははは!!
その舌の腕、、1本ずつ切り刻んであげる、、、」
屈辱、怒り、憎悪。
今の天狩はそれしか無く、恐怖など微塵もない。
天狩は石浜幸に向かって猛然と走り出す。
石浜幸は6つの耳を駆使して位置を特定、舌で迎撃する。
天狩はそれを見切り、2mほど軽くジャンプして避ける。
だが、舌は途中で曲がり、後ろから天狩を襲う。
天狩は地面に平行な体勢で小太刀と共に高速で回転した。
舌は次々とバラバラに切り刻まれる。
「い、イやああぁアアアあアアァアーー!!!」
この隙に、天狩は石浜幸の左腕に斬りかかる。
しかし、大きく高い音がして、小太刀が弾かれた。
が、この程度の硬度が斬れないようではGIFTは名乗れない。
「ハァッ!!」
左の小太刀は振り下ろし、右の小太刀は振り上げる。
先程より大きい音が響き、石浜幸の左腕が切断された。
石浜幸は右腕をホルスで焼き払われ、左腕は両小太刀に切断されたので、バランスを崩して、顎を床にぶつけた。
「ギィいいィぃ、、、、!!」
天狩は石浜幸のうめき声を笑う。
「ははっ、お得意の透明化はしないのかい?
最も、常に透明化しないということは何か制限があるんだろうね。」

天狩の言う通りに石浜幸の透明化には弱点がある。
1、[一回の透明化は5分間。]
2、[一度解除したら3分間は使えない。]
3、[攻撃をする時はその約2秒前に解除される。]
天狩はこの弱点を実際に食らっただけで具体的な数値を完璧に計測した。

が、透明化の弱点が判明しただけで倒せるほど、
石浜幸は弱くない。

「あ、、ア、、、ぅアぁアアアaあああaああ!!!」
石浜幸は固有種でもトップクラスの生命力で、なんと舌と傷口から新しい腕を2本とも生やした。
しかも、太さも長さも3倍のサイズでだ。
(もちろん毛むくじゃら。)
「アは、あハは、、アははははハハハハははは!!」
天狩は舌打ちしつつもガルーダで退避する。
が、石浜幸は、ガルーダのワイヤーが引き上がる直前に天狩を掴み、高く持ち上げ、ぶん投げる。
爆発したような衝撃音がして、天狩は瓦礫の山に叩きつけられた。
瓦礫の山は崩れ、天狩を埋める。
石浜幸は、ここで標的を変える。
何の意味も無い、ただの気まぐれだ。
「せンぱいハ、あトで。
イまは、アのチィッちゃいこかラたーべよっと。」
石浜幸は耳を展開して、宮薙の音を特定する。
「ミィつけた。」
鈍い動きで宮薙のもとに向かい始める。
宮薙はまだ目を閉じたままだ。
目的地にたどり着いた石浜幸は壁にへばりつき、頭だけを二階に置く。
そして、大きく口をあけ、舌をだした。
「イタダキまぁs」
がしり、石浜幸は言葉が途切れる。
宮薙が石浜幸の舌を掴んでいるのだ。
宮薙は薄く微笑み、
「召し上がれ。」
石浜幸の舌を根元から居合で切り捨てる。
「ギィやぁアアアアアあああああああああアアアアアあああああああアぁアアアaaaaaaaaaaaa!!!!」
石浜幸は壁から滑り落ち、床に激突する。
「おいおい、そんなに俺とのキスは嫌だったか?」
天狩の煽りを思い出して、宮薙は笑った。
「まぁ、したらしたで、タリエンテ副隊長にご報告しますし、俺が埋まってるこの瓦礫をどかさなくても、嘘のご報告をさせてもらいますけどね。」
天狩は瓦礫の中からかなり苛立たし気に言った。
「はぁ、別にタリィはお前のことなんざ信用しねぇと思うけどな。」
そう言いつつも宮薙は2階から飛び降りて、天狩の瓦礫を斬る。
「んあーー、、ったた、、痛ーなあ。」
解放された天狩は伸びをするがとたんに痛そうに背中をまるめる。
天狩は叩き付けられた時に肋骨を数本折ったのと、
瓦礫に激突したときに後頭部を強打して、大量に出血している。
宮薙は背中と後頭部を同時に壁に激突したので、背骨に幾つものひびが入り後頭部は天狩より出血している。
戦闘服が無ければこれの10倍の被害だっただろう。(それでも、一般人はとっくに死んでるレベルである。)
そんな呑気な状況とは反対に石浜幸は絶叫する。
「うあああああああぁアアアアア!!!」
石浜幸が激痛に、激怒に、叫ぶ。
「あー、隊長。
あいつの透明化なんですけれd」
「いい、奴の透明化云々は[ずっと起きてたから]
説明しなくていい。」
え?
「え?いやいや、ちょっと待ってくださいよ。
じゃあ、俺が痛め付けられてる間も加勢出来たのに??」
「何、あまりにもおもしろk、、、観察のためにな。」
「殺すぞクソガキ?(訳:へー観察ですかー。)」
逆だ。
「逆だ。
まぁ、そのお陰であれをなんとか出来るんだし、
いいだろ?な??」
「まぁ死ね、、そう死ねですね死ね。」
スッゲーだだ漏れ。
けれど一応理性を保っている。
一応。
「じゃあ、これから作戦内容を話すぞ。よーく聞け、天死ね狩死ね君。」
おーっとこっちもだだ漏れ。
けれど、一応理性を以下略。
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          5 
「奴の聴力利用する作戦、だ。」
「ダサいですね。
言葉の練習にもなってないですよ?」
宮薙は天狩の足を踏み、話を続ける。
「1、奴が耳を展開する。
2、奴の足(本当は腕だが、ややこしいので足と呼ぶ)      
  を叩く。
3、大きい音が出て奴は怯む。
4、そこを突く。」
天狩は自分の上司の知能の無さに絶望する。
が、一応反撃する。
「えぇっと、、、本当にその作戦、イヤその糞でいくんですか?」
「あぁ。」
と、宮薙は天狩の足を(強め)に踏む。
プチリと天狩は溜め込んだストレスを爆発させ、
宮薙をぶん殴る。
「ねぇ、クソガキ?
一体、どういう思考回路してたらそんな下痢が生まれんだ?
あと給料云々決めてるの副隊長だろう?」
最後の言葉にグサッときたものの、負けじと宮薙も殴り返す、、、ところで二人の近くの壁に石浜幸が浮き出るように表れた、この茶番の間にこちらを探知していたのだ。
石浜幸は床に垂直に張り付いていて、二人を見下ししている。
石浜幸は二人を見下す体勢のまま、最前列の巨腕で床を叩きつける。
凄まじい速さだったが、二人は際どいタイミングで二階から飛び降り、避難する。
着地した天狩は、体勢を低くし何の音もたてず時速20kmで走る。
そして駆け込むように掃除用具ロッカーにに入り込む。
宮薙も同様に転がりながら、持ち前の短身長(本人は断じて認めないが)を生かし、ベンチの下に隠れる。

二人とも時が来るまでひっそりと。

「どこ、、、?ドコ、、、、?
どこ?ドコ?どこ?ドコ?どこ?ドコ?どこ?ドコ?どこ?
ドぉこデエスかぁ??」
石浜幸は居なくなった恋人を探すように悲しそうに
探し回る。
天狩のロッカーの前を通りすぎ、
宮薙のベンチのすぐ横を石浜幸が通りすぎた。

否、通りすぎると見せかけベンチを剥ぎ取る。
が、そこにいたはずの宮薙はいない。
一瞬でソファーから逃げ出した宮薙は、
ソファーの隣にあった観葉植物の裏に隠れているからだ。
石浜幸はそれに気づかぬまま、あたりを見渡す。
そして5分ほどたち、しびれを切らした石浜幸は耳を展開する。

即座に観葉植物の裏から飛び出す宮薙。

その足音を察知し、耳を仕舞う石浜幸。

否、仕舞おうとした。

宮薙は、石浜幸が耳を仕舞う寸前に、石浜幸の最前列の太い足に、刀を叩きつけた。
瞬間、一階に[耳を塞ぎたくなる]ような大高音が響き渡る。
「ギィっぎゃああああああああああああああ!!!」
宮薙は唾を血とともに吹き、石浜幸が悶絶するさまを鼻で嗤う。
石浜幸の無様な姿を嘲るように、
冷酷で、恐ろしい化け物のように。
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          6
天狩はロッカーの扉を蹴り飛ばして、走る。
即座に目標を捉え、ホルスを最大出力で撃つ。
(もらった、、、!!)
が、ホルスお決まりの反動と石浜幸が想像以上に転げ回ったせいで、床を大きくえぐっただけだった。
「は?」
今度は天狩が絶叫する番だった。

「このポンコツがっ、、、!!」
宮薙は激昂しながらも転げ回る石浜幸の胴体に飛び乗り、刀を突き立てる。
刀は胴体を貫きはした。が、石浜幸に対して刀は細すぎる。大したダメージは与えられない。
(やはり、切断が一番、、、!)
石浜幸は反撃に右から2本、左から3本足を伸ばし、宮薙を捕まえようとする。
宮薙は即座に刀を抜き、膝を深く折り曲げ、4mほど跳躍し、石浜幸の足を、ギリギリ回避する。
そして、空中で縦に3回転したあとに、石浜幸の胴体に、思い切り刀身をぶつける。
繊維が千切れるような音が響き、
石浜幸の身長は9mから7mになった。
「いィいいたぁアアアアアアいいいぃ!!!」
石浜幸が悲鳴を上げる。
石浜幸は今日何回叫んだのだろう?
すぐさま宮薙は胴体から飛び降りるが、
がっしりと石浜幸が最前列の足で捕まえる、まるで見えているかのように。
宮薙はここでようやく気付く。
(こいつは[見えない]んじゃない視力が悪いだけか!)
そのまま石浜幸は、万力のような握力で宮薙を締め付ける。
「がはっ、、あぁっぐぅうううう、、、、!!」
宮薙は脱け出そうとするが、もうそんな体力は残っていない。
すかさず(本当は6秒ほど放置)天狩は宮薙を掴んでいる足をホルス(出力1~10の内、3)で撃つ。
貫通こそしなかったものの、宮薙を手放すことに成功した。
天狩、汚名(ポンコツ)返上、
「遅い。」
ならず。
解放された宮薙はキれながらも逃げる。
そして、迷わず、狭い通路に駆け込む。
石浜幸も近眼を頼りに追いかける。
宮薙は無我夢中に走り、行き止まりにたどり着く。
前は行き止まり、後ろは石浜幸。
どう考えても絶望的な状況だった。
が、宮薙は嗤う。
実は宮薙が逃げ込んだ通路は、石浜幸が入るとすっぽり埋まってしまい、宮薙の攻撃を横に避けることや足で攻撃することが出来なくなるのだ。
が、それでも石浜幸は舌が再生している、本気を出せば銃弾より速いスピードで繰り出せるだろう。
が、それでも、
「ははっ、、、覚悟しろよ?
顔面までも、見ていられないレベルの切り傷を作ってやる、、!」
それでも宮薙は嗤う。
自分と石浜幸の命の瀬戸際が愛しくて仕方がないからだ。
やはり、宮薙はまともな人間には成れないだろう。
なぜなら、まともな人間はこういった状況では嗤わない、嗤えない。
結局、石浜幸が人間に戻れないように、
宮薙もまともな人間には成れないのだ。

ふと、宮薙は石浜幸の経緯を思いだし、戦闘体勢をやめ、力無く笑う。
「、、、なんか似てるよな、俺達。
でも、、、!それでも[同じ]じゃない!!
俺にはあってお前にはもう無いものがある!!」
そして、宮薙は走る。

人間離れしたスピードで、突っ込んでゆく。
石浜幸は迎撃する。

人間離れした舌で、宮薙を捕まえるために。
宮薙は大きく跳躍する。

今度は石浜幸に読まれ、舌に捕まる。
が、宮薙は長い刀を捨て、50cmほどの小太刀で、舌を切り落とす。
そして宮薙は刀を広い、落ちた舌を踏み台に飛び、
「そらよ!!完全ブスの出来上がりだ!!」
石浜幸の額に刀を突き刺し、額から顎にかけて、
切り抜ける。
刃は1mほど刺さり、石浜幸の顔にかなり深く長い切り傷を作った。
その傷は、石浜幸を更に醜くするだけでなく、致命傷にもなった。
「ぁ、ぁあ、、、たけだせぇえんぱああぁい!!!」
石浜幸は最後の、愛の叫びを上げた。
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          7
「イヤー、、にしても隊長と天狩さんの仲良し二人組の生命力はゴキブリレベルですねー。
あ、天狩さんのは誉め言葉ですよ?」
オストガルアの王立軍事病院の一室で茶色の目に茶髪のポニーテールの健康そうな女子がはしゃいでいた。
「撃打、しばらく虫関連の話をするな。
そして、二度と俺達を仲良し二人組と言うな、これは隊長命令だ。
なお、破ったらお前のコレクション(ビームガン)を
お前の×××××に突っ込んで撃つ。」
頭に包帯を巻き、足を吊るし、腕は固定。
見るからに満身創痍の姿で、ベットの上から宮薙は脅迫する。
「隊長、ホルスで良いと思います。」
天狩はベットに寝転がりながら、週刊拷問の最新号を読みながら言った。
読んでいるものはともかく、天狩は大分回復したようだ。
「そうだな、でも誤射狩君じゃあ駄目だな。」
「隊長のネーミングセンスは宇宙一ですね。
あと、ホルス(現時点で一番威力の高いビームガン)
をキャノン(現時点で一番威力の高いモード)の最高出力で撃つなんざ、頭おかしいのしか使えないですって。
ましてや2本同時なんて猿でも思いつきませんよ。」
「嘘、、私天狩さんに褒められてる、、、、。」
「天狩、ここってプライドが高くて、クズで、変態で、サイコパスだと知っててもストーキングする、どアホにつける薬ってあったっけ?」
「隊長、こいつはウルティメットアホです。
あと6000年ぐらいたたないと、治療は不可能です。
あと、後で表でてください。」
そんなアホ三人の茶番を粉々に砕くかのように、
病室の扉が静かに開けられる。
入室したのは、肩まである少し跳ね気味の黒髪に、冷えきった赤色の目、おまけにスタイル良しの美女
だった。
GIFT副隊長タリエンテだ。
アホ三人は1秒足らずで正座になり、タリエンテを迎える。
「隊長は先程の会話を聞くに、かなり回復してそうですから23分後の会議も出席可能ですね?」
「えぇっと、、、天狩隊員のほうが、、回復してますけど、、、、」
「はい?」
「いえっ!何も!23分後ですね了解しました!!」
重傷の宮薙がタリエンテによって強制的に会議に参加させられるのはいつものことである。

宮薙は帰る場所がある。
石浜幸はもう帰る場所はもう無い。

第1話、[似たモノ同士]了。

コメント

  • コブサラダ

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