オタクとヤクザが恋したら…

かのちゃん

46 事の発端

12月21日。
俺は、鈴崎に呼び出され、車で皇牙組のビルに向かった。
こんな夜遅く……どうしたんだ?
まさか、俺が辞めるから、サプライズでお別れ会やるつもりじゃ……。
……ふっ。わかりやすいな。
皇牙組のビルの前に車を止めて、俺はビルの中に入った。
階段を上がり、組長室のドアをノックした。

「おい。来たぞ。開けろ。」

……誰も出ねえな。

「おい!!開けんか!!」

全く返事なし。
ドアは……開いた?
真っ暗だな。
ガサッ。
何かに当たった。
スマホの光を、足元らへんに照らすと……!?
す、鈴崎!?
鈴崎が、血を流して倒れてる。

「おい!鈴崎!!しっかりしろ!鈴崎!」

……嘘だろ……一体、誰がこんなこと……。
その時。誰かが背後に立った。
俺が後ろを振り返ると……。
そのとたん、誰かが灰皿で俺の頭を殴り、俺は気絶した。






あれから4日。俺は警察病院にいた。

「遼太郎さん!」

テル、みんな……。

「よかった。気が付いて。」

……鈴崎……。

「……クソオ!!」

黒田が棚を蹴った。

「大事な仲間を殺されるなんて……!悔しい!!鈴崎は、俺たちにとって、大切な家族なのに……!!誰が殺したんだよ!!出てこいオラァ!!」

よせ!黒田!
お前の気持ちはよくわかる!!
俺も一緒だ!鈴崎を殺されて、非常にイラついてる!
ほかの組のやつがやったんだ……きっと。

「はい……。」

テル……由香に伝えてないのか?

「はい……伝えてません。」

余計、心配するからな。
と、その時。ガラッとドアが開いた。
刑事が2人入ってきた。

「お目覚めか。皇牙遼太郎。」

……。

「悪いが……お前を殺害容疑で逮捕する。」

……!?

「なんでだ!遼太郎さんは鈴崎に恨みなんか持ってねえよ!!」

「お前が気絶している時、右手にお前の銃が握ってあったし、監視カメラの映像で、お前が出ていくのを観た。」

俺は殺しなんかやってねえ!!子分を殺す組長が、どこにいるか!!

「ごちゃごちゃうるせえんだよ!!」

刑事のひとりが、俺の両腕に、手錠をはめた。

「大人しくしろ。」

……。

俺は黙ったまま、立ち上がった。

「遼太郎さん!」

「テル!」

「……!」

「……由香に内緒にしてくれ。あいつのこと、よろしく頼む。」

俺はそう言って、刑事に連れられ、病室を出て行った。

「そんなこと、ありかよぉ!!」

「……!」






「『……遼ちゃん。いつ帰ってくるの?私、心配だよ……。』」

「……お前の女か。」

どーでもいいだろ。

「お前の噂は聞いてる。150人の女を抱いたとか。」

刑事がそんなこと聞いてどーする。

「噂によると、最近、結婚して、子供ができたとか。女房はあの女か?」

……。

「さて、本題に入ろう。鈴崎裕也を殺したのは、お前か?」

違う!!俺はやってねえ!

「そういうよな。お前は3つ犯罪を犯してムショに入ってる。1つは傷害、2つは覚せい剤、3つは銃所持。そして、4つ目で殺害か?本当は憎かったんだろ?鈴崎のことが。」

……憎んでねえ。

「……ほう。そう言い切るのか。」

警察の取調べは、夕方まで続いた。
由香……すまねえ。

続く!

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