オタクとヤクザが恋したら…

かのちゃん

45 嘘でしょ……

遼ちゃんがいなくなって3日が経った。
私はいつもより元気がない……。
遼ちゃんからなんの連絡も来ないし、電話掛けても出ないし……。
遼ちゃんの身に何かあったんだろう……。
毎日不安で、夜も眠れない……。
遼ちゃん、遼ちゃん……。

「由香さん。」

後ろを振り返ると、ヨガTシャツを着た、朱美さん、栄子さん、ゆかりさん、杏樹ちゃんが立っていた。

「終わったら、話聞こうか?」






ヨガが終わったあと、私達は、いつもの喫茶店へ。

「旦那さんが出て行ったっきり、戻ってこない!?」

はい……。誰かに呼び出されて、「すぐ戻る」って言ったっきり……。

「それは心配ね。」

「私と同じで、逃げたんじゃ?」

「ちょっと、杏樹ちゃん!」

「あ、悪ぃ!」

……。
すると、朱美さんが、私の両手をぎゅっと握った。

「大丈夫よ。旦那さんは、きっと帰ってくる。夫婦は信じあわないとだめよ。」

朱美さん……。

「私も信じるわ!」

「私も。」

「私も。」

みんな……ありがとう。

「ほら、泣かないで!ケーキでも食べましょ!」

ほんっと。いい人達とお友達になれて嬉しい……。






それから私は、美咲、美紅、花にも伝えた。

「遼太郎さんが戻ってこない。」

「心配だね。」

「……はっ!」

どうしたの!?

「子供できたから、逃げたんじゃ……。」

「ちょっと、花ぁ!」

ママ友さんからも言われた。けど、あの遼ちゃんが私を置いて出ていくわけないし。

「そうだね。」

「本当に逃げたら、私が居場所を突き止めて、締めてやる!!」

やめて!遼ちゃんには敵わないから……。

「『続いてのNEWSです。暴力団団体、皇牙組の組長、皇牙遼太郎容疑者が、殺害容疑の疑いで、昨日、逮捕されました。』」

……!?
テレビの中で、警察に連行されて、手錠を両腕にはめてるのは……遼ちゃん!?
私は、テレビの方に向かって走った!

「由香!?」

「遼ちゃん!なんで、遼ちゃんが!?」

「……えっ。」

「遼太郎さん、暴力団の組長?」

「や、山岸先輩の彼氏だったなんて……。あんな優しかった人が、ヤクザだったなんて……。」

さ、殺害容疑で、逮捕……?
嘘でしょ……あんなに優しい遼ちゃんが、人を殺すようなことを。
私の耳に、ひそひそ声が聞こえた。

「ねえ。そういえば、山岸さんが暴力団の施設に入ってくの見たわ!」

「まさか繋がっていたとは……。」

「暴力団と付き合っていたとはねえ。」

「あんなに真面目だったのに。」

……。
私は、絶望した。

続く!

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