オタクとヤクザが恋したら…

かのちゃん

33 知られざる真実

「今から38年前、私が高校3年生の頃かしら?」

ブー!私はコーヒを吹き出しちゃった。
おおおおおおおおおお義母さん!高校生の時に!?遼ちゃんを!?

「声、でかい!」

す、すみません……。

「高校3年の時、バイト先で知り合った21歳の男の人と付き合い、3ヶ月後、妊娠がわかったの。彼に報告したら……。」

「別れてくれ。」

「なんで!?あなたが責任取らないといけないのよ!」

「子供なんて興味ねえ。作った覚えなんてねえ。」

私は結局、彼と別れたわ。
途方に暮れながら、歩道橋を歩きながら、これからどうしようと考えたわ。
自殺しようとも考えた。
その時。動いたの。お腹が。
この子は生きようとしてる。必死に私に会いたがってる。小さな命の存在を忘れていた私は、その場で泣いた。
この子を産みたい……この子の母親になりたい!
私はそれから、周りにバレずに、病院の検診に行ったり、母親学級に参加したわ。
母子手帳に子供の様子を毎日書くのが楽しかったわ。
秋になり、学校の帰り道に陣痛がきたの。
当時は携帯電話がないから、公衆電話を探そうとしたらなくて……トイレに入って、自分の力で産んだの。

「オギャー、オギャー!」

遼太郎の産声が外から漏れたのか……犬の散歩中だった女性がトイレにやってきたの。

「あなた!大丈夫!?」

「きゅ、救急車をお願いします……。」

しばらくして、私と遼太郎は救急車で病院まで運ばれて、その後両親が来たの。
うちの両親は着物屋を営んでいて、父が特に頑固で厳しい性格で……。

バシッ!!

「なんて真似だ!!皇牙の名が恥じる!!俺達に内緒で、子供を産んで!!」

「ごめんなさい……。」

「もういい!さっさと赤ん坊を捨てろ!!」

「……!?嫌よ!遼太郎の傍にいるのは、私しかいないの!!」

「父親に歯向かう気か!反対するなら親子の縁を切る!!」

「……!?」

その夜。私は泣きながら病院のベッドで考えた。
結局……遼太郎を捨てることにした。
父に近くの施設を教えてもらい、雨の中、遼太郎を連れてきた。

「う、う!」

「じゃあね。幸せになってね。」

「うえーん、うえーん、うえーん!!」

遼太郎の泣き声が消えるまで、私は泣きながら雨の中を歩いた。

「ん?赤ちゃんがいるじゃない!ひどいわあ。ん?紙?〈皇牙遼太郎〉……?」






遼ちゃんを捨てた本当の理由は、嫌いだからじゃなくて、おじいさんから捨てろと言われて捨てたんですね。

「そうするしかなかったの。」

お義母さんの気持ち、わかりました。

チリンチリーン。

「おい……。」

遼ちゃん!!?

「じいさんから聞いたぞ。俺を捨てた理由……俺に必死に謝ってた。」

「そう……。」

遼ちゃん……泣いてる?

「……俺のことを嫌いなわけじゃなかったんだな……。」

すると、お義母さんが両手を大きく広げて。

「おいで。」

遼ちゃんは泣きながら、お義母さんに抱きついてきた。

「母さん、母さん、母さん……!」

あんなに泣く遼ちゃん、初めて見た……。






車の中。

「遼ちゃん。」

「なんだ?」

「お義母さんに会えてよかった?」

「ああ。由香が背中を押してくれなかったら、あいつとの関係はずっとあのままだったはず。」

遼ちゃん……。

「ありがとな。」

うん!
これからも、遼ちゃんと幸せな生活を送りたいな!

続く!

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