オタクとヤクザが恋したら…

かのちゃん

06 引越し

今日は遼ちゃんが私のマンションに引っ越す日。
遅いなあ。もう時間過ぎてるよぉ。
あの時送ったのをちゃんと覚えてるよね?
ルートも同じだし。
ブーン。
あっ!きたきた!レクサスLS460は、遼ちゃんの車!
玄関で靴を脱いで、外に出て鍵をドアに閉めて、エレベーターを下まで降りて、マンションの自動ドアを抜けて……。

「遼ちゃん!」

「待たせてすまん。」

いいよいいよ〜。

「俺の他に、実は子分も連れてきたんだ。」

ん?車の中から6人の 人影がぞろぞろと降りてきた……。
げっ!遼ちゃんよりかなり怖そーなヤクザ達だらけ!逃げたい……。

「紹介しよう。こいつは俺の若頭補佐の西津輝明。テルと呼んでる。」

「西津輝明です!よろしくお願いします!」

よろしくね、テルくん。
私が優しく笑うと、テルくんはニタァと笑った。

「めっっっっっっっちゃ、かわいいですね〜♡遼太郎さんに飽きたら、俺のところにおいでぇ〜♡♡」

あ!遼ちゃんが後ろからテルくんの頭に、銃を突きつけてる!

「あ、す、すみましぇん……。」

「……続いて、子分の鈴崎、田中、城山、黒田、冴島だ。」

「よろしくお願いします!」

「田中です!」

「初めまして!」

「黒田です!」

「冴島です!」

よろしくね、鈴崎くん、田中くん、城山くん、黒田くん、冴島くん!
なあんだ。思ってたより、みんな真面目じゃん。

「で、この人達は、引越しの手伝いを?」

「そういうことだ。1350人の中から、手伝いたいと言い出したんだ。」

へえー。

「よし、トランクの中から、俺の荷物を由香の部屋に運べ。」

「はいっ!」






私の部屋はすっかりダンボールだらけ。
全部遼ちゃんの荷物。

「へえー!由香ちゃんって、アニメが好きなんだぁ。」

うん!

「フィギアいっぱいあるなあ。」

「このキャラ、俺大好きなんだよぉ!」

嘘!いいよね〜!私も好きなんだぁ。

「かっこいいよなぁ!」

「アハハハハ!」

「……おい。」

「ひぃぃぃぃぃ!」

遼ちゃん!テルくんの頭に銃を突きつけちゃだめ!

「仕事に集中せんかゴラァ!!」

「は、はいーっ!」

テルくんは、荷物を整理するのにまた入った。
……遼ちゃんって、皇牙組にいる時も、あんなに怒るの?

「ああ……。」

大変だね。ヤクザは。
ガッシャーン!

「ああ!」

「どうした!」

すると、黒田くんがいきなり遼ちゃんに向かって土下座をした。

「すみません!遼太郎さんが大事にしてた、任侠映画のDVDのディスクを割ってしまいました……!」

「……!!?」

ま、まずい……!遼ちゃんが、銃を手にしようと、内ポケットに手を入れてる!

「りょ、遼ちゃん!そのDVD、私が今度買ってあげるからぁ!」

「……。」

ふう〜。なんとか落ち着いたぁ〜。

「さあ。早く荷物を直そう。」






やっと荷物の整理が終わって、遼ちゃんはテルくん達を車で送って行ったんだ。

「あー。疲れたぁ〜。」

遼ちゃんは、ソファーに寝そべっちゃって。

「お疲れ様。」

「……お前もありがとな。色々手伝ってくれて。」

どういたしまして!
私と遼ちゃんの同棲生活が、スタートしました!

続く!

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