オタクとヤクザが恋したら…

かのちゃん

01 ラブストーリーは突然に!?

「『ごめん。オタク、興味ないんだ。』」

「『こんなのが趣味なのかよ。気持ち悪ぃ。』」

「『おい!今月厳しいのに、イベントいくのか!』」

「『勘弁してくれよぉ〜。』」

オタクだからと振られ続けて早10年……。

「また振られたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「うるさい。」

「まあ、飲んで飲んで!」

う、うん……ゴクゴクゴク……あーーーー!!ったくぅ、なんで私はオタクなの!?オタクだからーというの、マジ嫌!!なめてんのかと言いたいよ!!

「はいはい。」

「飲み過ぎかな?」

「趣味が合う人探せば?」

オタク同士と付き合ったら、生活費、光熱費、電気代、ガス代より、CD代、DVD代、LIVE、遠征を優先してしまうから、無理!!

「そう……。」

「由香はどんなタイプが好きなの?」

歳上で、イケメンで、ハードボイルドな人!特にイケおじが好き♡
イケおじキャラ最高♡

「おじさん好きなんだあ。」

「応援してるね!」

「すぐ見つかったりして!」

アハハハハ!
美紅、美咲、花……この3人と一緒に飲んでお喋りするの、とても楽しいよ。






すっかり暗くなってしまったなあ。
終電、間に合うかな?

「ねえ!」

ん?後ろを振り返ると……うわあ。チャラチャラした、チンピラ2人組……すごく苦手……。
無視無視!ほっとこ!

「待てよ。」

わ!腕を掴まれた!しつこいやつだな!

「は、離してください!」

「いやだよ。」

「一緒に遊ぼうよぉ〜。」

黙れ!!3次元どもぉぉぉぉぉ!!

「おい!!」

「……!?」

わ!怖そうなおじさんが、1人を殴った!

「て、てめえ!」

今度は2人目の男のお腹を蹴った!
チンピラ2人組、全滅。

「大丈夫か?」

は、はい……!
うわあ。アイパーで、白いジャケットを着て、青いシャツを着て、黒のネクタイを付けて、サングラスをかけた、イケおじ♡いや、イケおじの中のイケおじ♡
一見、怖そうな顔してるけど……。

「女が1人で夜道を歩いたら危ないからな。」

や、優しい……。

「また、馬鹿野郎達に絡まれたら危険だからな。家まで送っていく。どこか教えてくれ。」

え、えっとぉ……。

「おい!あいつ……!」

「ああ。間違いない!」






男性と車の中で二人っきり……緊張する。
運転する横顔、かっこいいなあ。
ずっと、見つめたい……って、何考えてんの!?私!

「俺の顔に、何か付いてんのか?」

あ、いえいえ!なにも付いてないですよ!アハハハハ!

「……。」

またしーんとなっちゃった。

「名前は?」

ん?

「お前の名前だよ。」

そうか!

「や、山岸由香です!」

「いい名前だな。」

や、優しく微笑んだ……。

「俺は、皇牙遼太郎。」

いいお名前ですね……。

「おう。」

この人のこと、もっと知りたい……。
私の気持ちが、胸に込み上げてくる……。
そう思ってるうちに、マンションの前に着いちゃった。

「……どうした?降りねえのか。」

私は、遼太郎さんの腕を掴んだ。

「……あなたのこと、もっと知りたい……。家に来てくれませんか?」

「……。」

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