天才が異世界で困ってます

夏季

7話 試練

「試練ってなんなの!?」

マナミが質問するが、魔物はそれを無視し俺達に突進してくる。岩でできたとは思えないほど早い。
だが、俺以外は何も無かったようにそれをかわす。

「こいつを倒せばいいのか?」

「そうみたいですね。」

「へっ、俺の力なめんなよ!ケンタはアイツの攻撃を防いでくれ!ハヤトは俺とアイツを斬りまくるぞ!」

リキ達はバラバラになって魔物に突っ込む。
先手を取ったのはハヤトだ。ハヤトはものすごい速さで魔物の足元に入り、鉄の短剣で足を斬る。バランスを崩した魔物はよろけるが一瞬で体勢をたてなおしハンマーのような右手をハヤトに向け振り下ろす。だが、それもハヤトには届かない。ケンタだ。ケンタが魔物とハヤトの間には入り攻撃を盾で防ぐ。そしてその間にリキが大剣を思いっきり振り回し魔物を壁まで吹き飛ばす。
壁まで叩きつけられた魔物は粉々になっていた。

「すげぇ……」

「皆つよいね……」

それをただじっと見ていたのは俺とマナミだ。

「私なんにもできないや……」

それを言ったら俺の方が何もできない。俺は博神だからな。剣で攻撃してもあの岩の塊を斬ることはできないだろう。それに比べてマナミは魔力量からみて魔法を使えるはずだ。

「マナミ、魔法は使わないのか?」

「使えないんだよ、昨日の今日だしね。魔法なにも覚えてないし」

そういうことか。だからこの戦いに参加してないんだな。

「おーい、おわったぞー」

こう話している間にも戦いは終わったらしい。みんな無傷である。俺は恐る恐る魔物に近づいてみるとさっきよりも魔物は粉々にされていた。
これはもう動かないだろう。
俺はそう思い魔物から目を離したその時だった。
後ろからガタガタと音がしたのだ。
俺は急いで振り返るとそこにはさっきまで倒れていた魔物が立っていたのだ。
俺は急いで逃げようとしたがもう遅い。一瞬にして壁まで吹き飛ばされ叩きつけられる。
一瞬激痛が全身を走り、そこで俺の意識は途切れた。

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