紫電

爆発の煙の中から出てきたのは、すでに体の表面がすべて焦げていて、全身黒色に染まった人型の何かかだった。

「ふん。
最新科学の力の前にはすべての者は等しく弱き存在。
生まれかわり、そして魔王となった俺はすべての者をすべる絶対的王者だ！」

そういって、アンデットは高らかに笑っていた。

(アンデットだったら、死体に詳しいだろ…)

そう思ったのはアインに送られた４だった。

(爆発の瞬間に人型の人形と入れ替わったのに、アンデットとアンデットを作れる側の者がそんなことにも気が付かないとは…)

今彼は、中ボス部屋の天井だった。

(それにしても、地雷が発動した瞬間に中ボスの後ろにあった扉からまさかダンジョンマスター本人が出てくるとは…
本気で死んでいると思っているのかわからないが、なにがなんでも油断のし過ぎなのではないか？
それにしても、ダンジョンマスター…本人曰く魔王はアンデットではない…
やれるな。)

そして、4は天井から重力に従いながら、ダンジョンマスターの首を狙った。

しかし…

「ん？来る！」

ダンジョンマスターは住んでのところで気づいて、左によけた。

そのせいで首は刈り取れなかったが、それでも右腕を肩からすべて切り落とすことができた。

「はぁ、はぁ…
何で生きていやがる。」

「斬れなかったか…
まぁ、右腕の次は左腕だ。」

そして、またもや４は魔王に向かって走っていった。

さっきは重力に従っていたので、自分でスピードを出せなかったが、今回は、すでにばれているので、音を隠す必要もないので、足に力を込めて思いっきり力を入れた結果…

「守っ！」

『紫電』

魔王が中ボスに守れという命令を出す前に中ボスごと一気に貫き、魔王の左腕をえぐりぬいた。

「やりすぎたか？」

左腕をえぐりぬいたときに勢い余って上半身の左半分のほとんどをえぐってしまった。

「ま、まだだ…俺自身がアンデット化することによって…」

「今からでは遅い。最初からなっていても結果は変わらなかっただろうが、それでもなぜ最初からなっていなかったのか…」

４は知らないが、この魔王はもちろん、地球でゼアークと同じゲームをやっていたものだ。

つまり現代の地球人。

自ら屍と同じアンデットになることを許すような倫理観はなかったのだ。

「冥土のみあげに見せてやろう。」

そういうと、４は紫電の時に自分が通ったところから出ていた紫の雷を自身にまとい始めた。

そう、あれは雷の魔法だったのだ。

「中ボスのアンデットはまだ死んでいない。
しかし、ここで始末しておかないとまずいことになるかもしれない。」

実際に、自分の上司たちに関しては、１人で国をつぶすレベルの力を持っているのでそのことはよくわかったのだ。

「だからここで２人ともまとめて滅ぼす。」

そして中ボス部屋すべてを覆うレベルの紫の雷を放つのだった。