スパイ

(しかし、モンスターを送るにしても、どこに送ればいいのか。)

強い者たちの情報については仕入れているが、それでも彼らがどこを拠点にして活動しているかはわからない。

(とりあえず、北の国の方が数が多いか？)

北は大国南は小国ということで、北のほうが探すのには簡単かもしれない。

しかし、北の国にモンスターを派遣するのには少しだけ問題があったのだ。

(ばれた時どうしようか…
正直、今の戦力なら前までの北の国々だったら単独で倒せたかもしれないが、それでも今は何者かがいるからな…)

その者たちが正式に国の方に属しているのかはわからないが、もしも属していたら、厄介だ。

(彼らの強さに関してはまだ正確にはわかっていない。
部下のダンジョンでも、3階層ですべて追い返したり殺したりできているが、それでも中には強い者もいるだろう。)

そして他にも問題があるのだ。

(それに、世界各地にでき始めたダンジョンの方も問題だ。
これらのダンジョンがどのくらい強いのか調べないとな…)

そんなことを考えながらも、結局は送るしかないと思い、ゼアークは北のほうにモンスターを放つのだった。




私の名は４

私は生まれた時から何回も名前が変わっている。

この数字は、スパイ用モンスターの中で強さで名前が変わっていく。

幸いにも、私が作られた時にはダンジョンに多くの魔力があったのか、比較的強い状態で生まれてくることができた。

そんな私だが、今回、初めてスパイらしい仕事が回ってきた。

(私はダンジョン側の調査か…)　

今回はダンジョン側の調査と、新しく出てきた強い者たちの調査組に分かれている。

そして、今回私が任命されたのはダンジョン側の調査だった。

「こちらです…」

ダンジョンができたといわれている場所から一番近い街に行くと、すでにゼアーク様が派遣していたスパイ用モンスターがいた。

「ありがとう４３
それで、このダンジョンのレベルはどのくらいだ？」

「この世界の基準からすると、結構強いらしく、新しく登場した強い戦士たちも何人か、ここで命を落としているようです。」

「そうか…それは面倒だな。」

ダンジョンというのは、人を殺したり、大量の人に来てもらうことによって魔力が潤っていく。

つまり、最近話題の戦士がこの中で死んだとなると、このダンジョンはさらなる進化を遂げている可能性があるのだ。

「それにしても、スパイらしき任務ではあるんだが、それでもまさかここまで武力が必要とは…」

今回は、このダンジョンの攻略が任務になっている。

自分がどこまで通用するかわからないが、攻略できた場合は、このダンジョンをこちら側に組み込むことになるらしい。

「さて、行きますか！」

そう言って彼は、ダンジョン向かうのだった。