世界最強の強くてニューゲーム

ゼクト

敗走

「敵襲!敵襲!」

そんな兵たちも、さすがに敵襲が聞こえた時にはそれなりの緊張感を持っていた。

「よし!われら王都軍の力を見せつけるぞ!」

そして、兵はモンスターが来ているといわれている方向に向かっていく。

しかし、モンスターたちは何も、人間の戦いにのっとってくれるわけではない。

モンスターたちは、王都の壁が大きいことが分かった瞬間に、王都を囲むように動き出した。

これに関しては、野生の勘であり、強いものは囲んで倒さなくてはいけないという本能がこの作戦を呼び起こしているのだ。

しかし、それでも移動速度が遅いので、大体が一つの方向に集まっているのだが、それでも、足の速いモンスターに関しては、すでに王都を周りを囲み始めている。

それなのに、王都兵に関しては、すべての兵力をモンスターが侵攻してしまった。

これは、基本的に人間同士の戦いでは、最初に布陣をして、真正面から戦うことが多いからだ。

もちろん、戦術として、側面から攻めることはあるが、完全に裏を取って一気に町の中に攻めに行くということは少ない。

まず先に、敵の兵を倒してから戦うのだ。

「報告されていたモンスターよりも少ない気がするな…」

実際に少ないのだが、モンスターなんか体の大きさにばらつきがある。

なので、これは勘違いかとそのまま団長は流してしまったのだ。

「よし、それでは迎え撃つぞ!」

そして、モンスターと王都兵の戦闘が始まった。

いくら訓練をさぼっているからといっても、さすがに王都の兵に関しては、強い。

しかし、単純な力が強くても、心のほうに問題があった。

「血、血が…オロロロロロ」

「う、腕に傷がぁぁぁぁ」

「ぐ、グロすぎる…」

そう、彼らは今まで訓練しかやってこなかったせいで、訓練中の擦り傷や打撲に関してはあったが、それでも大量の血が出ている場面や、擦り傷ではなく、完全な切り傷なんかが、できてしまって、すぐにうろたえて、動けなくなってしまったのだ。

「まずいな…」

団長は、ここまで武かが使い物にならないとは思っていなかった。

団長に関しては、少し前の戦乱の時代を生き抜いてきたので、血は見慣れているし、傷に関しても、応急処置も覚えている。

ただ、部下が慣れていないとは思っていなかったし、団長に関しては、初めての戦場ですでに緊張していなかったのでほかの物も大丈夫だと思っていた。

そして、それに引き換え、モンスターに関しては、殺すことで生活してきた種族だ。

もちろん、自身に傷がついても血を見ても何も動揺していなかった。

単純に戦えば一対一では圧倒的に王都兵のほうが有利だろうが、それでもコンディション的に負けていて、数も負けている。

そのため、どんどんと敗走してくのだった。

「世界最強の強くてニューゲーム」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く