世界最強の強くてニューゲーム

ゼクト

村長の秘密

(とうとう来たか。)

ダンジョンの上にある、村からの映像を見ていると、数人の冒険者がやってきていることが分かった。

「なるほど…では、ここの村は、ダンジョンとの共生をしているのですね?」

「ええ、まぁ、言ってしまえば、このダンジョンがなくなってしまうと、この村の住民は生きていけませんから…」

「しかし、このダンジョンに関しては、結構危険なダンジョンだということを知っているのですか?」

「そうなんですか?
我々は、基本的に、浅い層までしか入ったことがなく、まだ被害者が出たことがないので、そのようなことを言われてもあまり実感がわかないのですが…」

そもそも、この村に関しては、ダンジョン内から、資源を送っているといってもいい。

浅い層まで入ってきているのは、単なる力試しやその辺だ。

つまり、彼らは、ダンジョンに入ってきて、ある程度知能のあるモンスターと遊んでいるに過ぎない。

「そうですか…まぁ、我々もこのダンジョンを1日で攻略できるとは思っていませんが、最近、冒険者ギルドの方で、高ランクの冒険者限定ですが、このダンジョンの攻略許可が出ているので、そのうち攻略されてこのダンジョンがなくなってしまうかもしれないですが、よろしいですか?」

「まぁ、我々は困りますが、そもそも基本的には、ダンジョンというのは、壊していかなくてはいけないものということはわかっていますので、それに関しては、攻略されてしまったら、我々は、町のほうに行って仕事でも探してみますね?」

ここの村長に関しては、このダンジョンの力と、この世界の住民の力を知っている。

それは、ゼアークが、この村長にだけは、ダンジョン内の大まかな情報を伝えているからだ。

これから先、この村では、何人もの子供が生まれてくるだろう。

そうなった場合、その子供たちが勝手にダンジョンに入らないようにするために、一番上の者にだけは、情報共有をしているのだ。

そして、このダンジョンの情報を教えるとき、ついでに、ゼアークは、村長に魔法をかけておいた。

それは、このダンジョンの情報を、外部の者たちに教えられなくなるようにすることだ。

もちろん、ゼアークが許可したことに関しては、しゃべってもいいことになっているが、それ以外のことについては、話そうとすると、勝手に口が開かなくなる仕組みだ。

しかし、この魔法には、他にも効果があった。

それは、この魔法をかけられたものが、鑑定系の魔法のスキルを覚えることだった。

そして、その情報は、村長が鑑定をした時点で、ゼアークのもとに届くようにしてあった。

「なるほどな…このくらいの強さか…」

正直、ゼアークは少し絶望していた。

今回、このダンジョンの攻略許可が出たのは、高ランクの冒険者だけということで、彼は、それなりに強いのだろう。

しかし、これでは、序盤はともかく、中盤の最初らへんで脱落してしまうくらいの強さだった。

正直、このダンジョンは、終盤のほうがえげつなくなっているので、中盤は余裕で攻略をしてもらわないと、話にならないのだ。

「まぁ、人間に攻略できるなんて思っていなかったが、ここまでひどかったとは。」

ゼアークは、そんな軽い絶望を覚えながらも、村長との話を終わらせ、このダンジョンに向かってくる、冒険者を見続けるのだった。

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