多分最強の特殊部隊

パンチマン

曲者部隊員、ヨシフ、ヤジー、シュバッツ、スプキー



俺の席の隣、白髪頭をして、顔にはしわが寄って、腹はビール腹してやがるこのオッサンの名は、ヨーゼフ・クリスチャン。だがこのオッサンはヨシフという名で親しまれてる。このオッサン、もといヨシフは沿岸警備隊の特殊部隊の隊長だった人間だ。なぜここに飛ばされたのか?そんな優秀だった彼が言うには沿岸警備隊内の派閥争いに巻き込まれて、ここに飛ばされたらしい。

だが俺は知っている。

派閥争いに巻き込まれたのはあながち間違いではない。だがどちらかというとヨシフが自ら首を突っ込んだみたいなものだ。なにせ隊内で巨大な勢力を誇る派閥の、しかもその長の女に手出してここに吹っ飛ばされたらしいんだからな。しかしヨシフはそのことを反省するどころか、乳がデカいのが良かったなんてほざいてスケベ顔してやがる。
 まぁそんな彼だが、腕前は確かなもので揺れる船上から並走するボートの船首に付けられた風船を撃ち抜いたのだとか。にわこに信じがたいが、まぁ信じておこう。
 
そして俺の後ろ側にいる、スキンヘッドで髭をモジャらせ、グラサンしてるオッサンの名は、ヤージ・ドメライカ。あだ名はヤジー。このオッサンは元憲兵隊員でこの曲者部隊の中では相当に頭の切れる奴で、賢くて加えて射撃の腕も良い。一見非の打ち所がないように見えるがそうでもなく、実はコイツが憲兵隊員だった時、勤務中たまたま軍廃止論者の集いの場を発見し、憤慨したヤジーは1人でズカズカ乗り込んで片っ端から殴り、蹴りの暴行加えて片付けたそうだ。多分コイツが一番やばい。それでいてヤジーはその時の出来事を、まるで遊園地楽しかった的なノリで話してやがる。
 
 そんでヤジーの左の隣の席にいるのが、俺をここに連れ込んできた上半身裸で迷彩パンツを履き白髪頭で白髭を生やしたオッサン、ケリー・シュバルツ。あだ名はシュバッツ。こいつはこの曲者部隊の隊長で、元空挺団の総隊長も務めた凄いオッサンだ。空挺団の総隊長なんて者はタフで知的な奴なのだ。
 まぁ俺だってシュバッツの事も同じようにそう思いたかったさ。だがコイツはなにせ女癖が非常に悪く、言ってしまえばヤる事しか脳にない猿だ。隙あらば女の事しか言わないし、酒が入ればこいつのハードな下ネタトークを延々聞かされるもんだ。そんなシュバッツがどうしてここにいるか、それを言う必要さえなかろう。
 
そしてシュバッツの向かいにいる、茶髪の髪で、頬のそばかすが特徴的、そして年の割には筋肉質なオッサンの名は、キース・ロールスプリングス。あだ名はスプキー。こいつは元警察官で、警察学校を首席で卒業したツワモノ。それだけじゃなく、刑事だった頃には最盛期で月に5人も捕まえたそうだ。しかしこのオッサンは他のゴミクズ共とは違って、仲間思いで人情味あふれる、ただの良い奴だ。そんな彼がなぜここにいるのか。理由は簡単だった。彼の業績に嫉妬した仲間にハメられたそうだ。俺も詳しくは知らんから、それ以上の知識は持ち得てない。しかしまぁ元警察官が軍事系の特殊部隊にいるなんて中々珍しいものだ。


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