異世界でもインキャはインキャ

車輪付きの椅子

古代樹

少女は椅子としていつも使っている本を重ねただけの物に腰を掛け深く溜息をついた
王国が凄腕の家具職人達に作らせたと言う家具は性に合わず本に埋もれている
目を閉じ使い魔として召喚したホワイトドラゴンの視界を覗く
タイミング良く翼竜の群れを見つけその上へ羽ばたかせる固有スキルの認識阻害で翼竜は気づかずに捕食者として君臨するホワイトドラゴン白聖竜の侵入を許すそのまま洗脳魔法で翼竜の行き先を変える
少女の有り余る魔力は使い魔を中継点としても強力だった本来ならばこれ程の強力な洗脳魔法をすると呼吸すらもこちらが支持しなければならない
「あのアバズレはまた男を貪っておるのか」
少女はまた溜息をついた
ホワイトドラゴンの目先には赤いドレスを着た女が舞うように剣を持った男の頭を潰した
その女を数人が囲うと女はつぶやき出した
「…の…炎を放ち…が…死す」
詠唱魔法、大魔法と呼ばれる強大な魔法使う気だ
その後はあたりが炎に包まれ獣の咆哮とも断末魔ともつかない絶叫が響いた
「そろそろ、勇者に頼むとするかの」
少女はその場から立上り窓の外に広がる街を眺めた

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