holder(ホルダー)

kopan

No.6 ラリー弾

「ただいまぁ」


「ただいま帰りました」
「では、ご飯の準備をいたします」
「できるまでお待ちください」


「じゃぁお言葉に甘えされてもらおうかな」
「地下室にいるから、できたら呼んで?」


「了解しました。マスター」


家に着いたのは5時半ごろだった。
まだご飯には早いと思うけど、イセリアが張り切ってるから止めはしなかった。


カンッカンッ


俺は地下室への階段を下り、工房へと向かった。工房には工具一式が置いてある。


元は工具なんて使えなかったんだけど、俺の能力、理解のお陰で機械のことならなんでもできるようになった。


テーブルの上に工具を並べ、銃弾を出した。
工具で丁寧に玉の部分のみを取り出し、機械で同じサイズのゴム製の玉を作った。


「ふぅ。集中すると疲れるよねぇ」


「マスターご飯ができましたよ?」


「今行くよ!」


「何をなさっていたんですか?」


「イセリアの能力を活かして、何かできないかなと思って考えてたんだ〜」
「そしたらゴム弾の中に圧縮した治癒能力を入れたりとか、できないかな?って考えに至ったんだ」


「それは名案ですね。でしたら、食事が終わったらやりましょう」


「そうだな。食事が冷めたらもったいないよな!」
「今日は何を作ったの?」


「野菜炒めです。食材があまり無かったので、こんなものになってしまいました」


「イセリアが作ってくれたものならなんであろうと食べるし、嬉しいよ?」


俺が言った言葉に嘘はない。
だってイセリアが作ってくれた朝ごはんめっちゃうまかったし!
俺なんかのために、丁寧にやってくれてるわけだから、そりゃ嬉しいだろ?


誰だって可愛い子に作ってもらえたら嬉しいもんさ。


晩御飯の話をしているうちにリビングに戻り、席についていた。

うまそ〜

「じゃぁ、いただきます」


「いただきます」


モグモグ……


「美味しいよ!味付け俺好みでちょうどいい!」


「マスターのお口にあってよかったです」


学校での話や、裕の話をしているうちに食事も終わっていて、俺はもう片付けをしていた。


「いやいや、美味しかったなぁ」
「あ、そうだ。イセリア先に風呂入ってていいよ?」


「では、お先に失礼します」


俺が食器の片付けをし終わり、テレビを見ていたら、イセリアはすぐにでてきた。


「あぁ、でたの?って何その格好!?」


「はい。パジャマを忘れてしまったのでタオルを巻いて、代用しました」


「まぁ確かに、部屋に戻ってないからそりゃぁ、パジャマないよね」
「今後は忘れないでよ?見てて恥ずかしいよ?」


「私の身体はそんなに魅力がないですか?」


「魅力がありすぎて、目のやり場に困るってだけ!」


実際女の子がタオルだけなんて、すごい夢のようなシチュエーションだけども!


なんでイセリアが赤くなってるんだ?
照れてるのかな?
可愛いな。うん。


「で、ではマスター部屋に行っていますね!」
「し、し、失礼します!」


バタバタと足音を立てながらら自分部屋に走っていったイセリアはなんとも言えない可愛さだった。


取り敢えず風呂入ろ








「ふぅ。さっぱりした」


風呂から出た俺は、リビングでイセリアが髪を乾かしていることに気づいた。
急いで部屋に戻ったけど、髪乾かし忘れてたのね。
パジャマ取りに行っただけか


「イセリア〜?」


カチッ
「どうかしましたか?マスター」


イセリアはドライヤーをわざわざ止め、話を聞こうとしてくれた。


「悪いね、わざわざ。あとで、地下室に来てくれ」
「能力のやつで試したいことあるからさ」


「了解しました」


五分ほどしたらイセリアが地下室に入ってきた。


「あのさ、この雑草から治癒力を集めてみてくれ」


「やってみます」
-ラリー-


デバイスを持ち、イセリアは唱えた。

すると緑色の丸い塊がイセリアの手のひらの上に出てきた。
弾丸の球と大きさは変わらない。

俺はその治癒力の塊を持ち、ゴム弾に入れた。


「じゃぁ使ってみるか」


俺は工具箱からカッターを取り出し、自分の腕を切った。
そして、自分の銃型デバイスに、ラリー弾をリロードし、自分に向かって打った。



結果、腕の傷は綺麗さっぱり無くなった。

実験は成功した。


「マスター!?何をしているんですか!」
「マスターが腕を切ったから……凄く、心配したんですよ?」


イセリアは泣きながら心配してくれた。


「ごめんな。でも試しておかないと」
「今後は、こんなことしないから」
「約束する」


「絶対ですよ?」


「あぁ。もちろん!」
「あ、そうそう、明日は休みだけど、買い物に行こうか」


「マスターと、買い物ですか?」
「まるでデートのお誘いですね!」


凄く嬉しそうなイセリア。
まぁ喜んでくれてよかったけど!
やっぱり、デートだよねぇ
まぁいいや、デートでも


「そうだよ?デートのお誘い」
「受けてくれる?」


「もちろんです!楽しみにしてますね?」


「あぁ!」

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