いつか夢見た夢の跡

佐々木篠

第八話 見えぬ異変、先へ続く害

【現代・某所】

 ほぼ同時刻。ソレは明らかな異変となった。
 雪花が舞う中、空は黄昏れに彩り濃い霧を発生させた
「な、ななななな何だありゃ!!!!!」
 人々が口々に震撼する。
 対象は霧ではない。もともと最近になってからは濃霧なんててしょっちゅう起る時代になったのだ。
 だがやはりこれは異常だろう。
 問題は霧ではなく気候にそぐわない雪の方だ。"現在気温30度"なんとまぁ見事に矛盾しているはずなのに、現在目の前でその光景が現実に投影されている。
「ままぁ、何この雪ぃ?」
 子供が好奇心で動く、或いは無邪気さ故の無垢が幼き少年少女を突き動かした。その両親は、それぞれの行動を取った。
 あまりの身辺の変化に呆ける者。
 直感から離れるように叫ぶ者。
 抱き留め、止めるよう優しく言葉を掛ける者。
 それぞれいたが、子供の、異常さに関しての好奇心ははっきり言って無垢で恐ろしい。知らぬが故の無自覚性は残酷だ。
 さて、長ったるいだろう?
 簡潔にそのもの等とその周辺に起きた事を説明すると・・・・・・












 "凍った"。
 霜で包まれたとか生易しいものではなく、冷ややかな棺の中に閉じ込められたのだ。
 異常さを聞きつけたのであろう飛んで来た取材用軽量航空機でさえも凍りついた。 
 文字通り氷の柱が伸び、凍りつかせている。
 それだけでは、異変は止まらなかった。空が割れそこから巨大な船が音もなく現れた。船は住宅地を越え名もなき丘の上に浮上した。
 その中には近未来風な目のチカチカしそうな機械群が並び立って居る。
 その前には大柄な、いや大柄と言うよりも腹部が豊かであまり、指揮官とは言えない風貌の黒い軍服の男
ヘルア、ペルソナの製造、並びに凍結完了いたしました」
「ほぉ、さすが仕事が早いのぉ。それでこそ"あの男"の妹だ」
「・・・」
 その傍らには、肩に掛かるアッシュブロンドの髪が緩くカールを描く、青や白を基調とした洋服を着た16ぐらいの少女。
 少女は努めて不機嫌を顔に出さないようにしている。
「では、これで」
 少女が踵を返して、その場を後にしようとすると
「ほぉい、ちょぉっと待たぁん!!」
「・・・ッ!!」
 突如、少女の背から腕が伸びる。
 腕の先の掌は彼女の胸を掴みゆっくりともみしだくように動かす
「今日ぐらい目出度い日なんだぁ夜は楽しみたいんだぁのぉ」
 男は鼻息を荒くし、後ろから抱きしめるように移動し両手で少女の胸をもみしだく。
 少女は屈辱を眼と頬に浮かべ強張るが拒絶の色は伺えさせるものの行動にまでは出なかった
「そうそぅ、いい娘にしてればお兄さんにも手を加えないからねぇ」
 少女は、兄が捕えられているのを知っていたがそれが逆手に取られこのような状況に陥っていたのだ
(大丈夫大丈夫大丈夫、きっといつかお兄さまは・・・)
 腕が伸びる、少女の腕が願いに揺蕩たゆたうように。
 だがそれは今すぐ叶うことなく降ろされる。同時に、少女は服を無理やり破かれ男の部屋に連れて行かれる。
 泣き叫び助けを乞うが、そこに味方はいなく目の前には兄を掻っ攫った憎しい男が全裸にされ拘束された少女の前に立って居る。
 男は服を脱ぎ貧相なその一物を少女の前に突きつける。少女は顔を背け必死に抵抗するが男に顎を掴まれ一物の方へ向き直される、直後少女の形のいい唇の中に無理やり一物を突き出される
(気持ち・・・悪い!!・・・それに・・・苦し・・い)
 あまりの不快感に頬を濡らす、未だ口の中にいるアレは男の動きに合わせ前後に動いている。
(早く・・・早く終わっ・・て)
 もう、朦朧。
 不快感を耐えるのに全神経を使っても尚消えないアレは突如、口の中から消えた。汚物の成分を少しでも吐き出す為に咳を出す。
 途端、男はその一物を少女の局部にあてがい始めた
(ヤダ・・・ウソ・・やめて!!)
「やめ・・・やめ・・て」
 泣きながらそう懇願するが男の動作は止まらない。少女のを支配せんと腰を高く上げ突き出そうとした、
「やめてぇ!!!!!!!」












 少女の叫ぶ声が響く、それと同時に男と少女の局部の間には宙に浮いた"人形たち"が武器を持ったまま男と対面していたその男の首辺りにも人形たちがいる
「・・・チッ、"無意識操作"とは・・・また面倒な事をしてくれたぁ」
 少女は少し顔を青ざめながら気を失っている。男はその人形から逃れるようにその場を立ち先程の軍服に着替え先程の部屋に戻るのだろう
「精々、大好きなお兄さんの為に働くのでぇすね」
 脂ぎった顔面に醜悪な笑みを浮かべ男は部屋を出た。












(早く・・・奴の目的を・・"聖灰"を・・・見つけなきゃ・・・じゃないとお兄様は・・・)
 の思考が虚ろになる。
 さっきまでの肌寒さは徐々になくなっている。脱力感とは裏腹だと思いつつも思考力の低下にすら気づかなかった。それほどに自分は疲れているのかも知れない
「寝よう・・・・・・」
 私、アリス・マーガレトはその目を閉じた。さっきまでの薄ら寒さはどこかに消え多少は暖かくなっている。勝手な主人である事を夢の中で謝るしかないようだ。











【船内部牢・現代】


  ・・・・・・・・・・ここに来て、どれ位経ったか。
「・・・・・・アリ・・・ス」
 名を呼ぶ。ここにはいないの名前を。
「おやぁ、まだ生きてたようですねぇ?」
 ガチャリと扉を開く音が聞こえる。
 暗闇で見えないが、声からしてへレアだ。
「・・・・・・アンタの首元引き千切るまで死なねぇよ。僕ら兄妹は」
「はっははぁ!!!
愉悦、愉悦ですねぇ!!全くぅ!」
 眼光がギラギラ光って、ソイツは笑む。
「外、分かりますぅ?あなたが作った魔法はこの外に放たれましたぁ!!
思い出すだけでぇ・・・・・・笑いが止まりませんねぇ!!!」
 な・・・・・・!!!
「あの女子供の悲鳴と凍って行く姿ぁ・・・ッ!!あぁ思い出すだけで愉悦ぅ!!!」
「貴様・・・アレを、アリスのための術をォッ!!!!」
 もともと、妹の誕生日プレゼントに自作の魔法式スノードームを作るための術だった。
 しかしコイツはそれを奪って改良・・・いや改悪し大量殺人術式へと変えた。
 後世まで残る、凍結の呪いを病気と言う明確な形にして。
「ギャッハッハッハッッッ!!!精々そこで足掻くと良いですねぇ!!まぁ・・・・・・」
 汚い笑みは黒く歪み、そして告げた。
「故郷が、あなたの妹が作った化物で溢れていない事を・・・・・・祈ってるがいいぃ!」
 ―――――あ、アリスが?
「待てッ!!!貴様アリスに何を!!」
 吠え、問う。
 しかしヤツは答えず、狂気に歪んだ笑みを残しながら去っていった。
 そこに残された闇は、僕を強く包んで恨んでいるようだった。

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