いつか夢見た夢の跡

佐々木篠

第六話 ロリって・・・いいよね。

【神社境内・社の意識が戻る頃】

「やしろ・・・戻って来なさい・・・よ」
 嗚咽が聞こえる。いつまでも儚げなその声は変わっていない。
「玲華・・・もうやめろよ。続けたってもう・・・」
「駄目よ!!続けて!玲華お姉ちゃん!」
 胸辺りに圧が掛かっている。多分、心肺蘇生を行っていたのだろう。まぁ、目の前で急に倒れた奴を見かけたら心肺蘇生するのは当たり前か。











 ・・・・・・待てよ、心肺蘇生って事は人工呼吸もしたってことなのか?って事は必然的にキスをする事に――――
『それは無いと思うよ、ヤシロ』
「錺!?お願いだから!健全な青少年の希望に傷を植え込まないで!・・・って、俺確かノットリミットノーレッジから出てきた訳だけど何で話ができるんだ?」
『言ったとは思うけど、ボクは君なんだ。精神を共有しているから話すこともここに来ることも出来る。簡単に言って精神体だよ』
「ほむほむ、なるほら。あれ?そいや錺は今になって俺と会話が出来るようになったんだ?」
『・・・割とヤシロは頭が回らないのかな?』
「わっつ?」
 俺の声を聞いて呆れたような声が聞こえてくる
『言っただろう?君自身が自覚していればいい話なのだと』
「あぁ、なるほら。そうだそういやな」
 自分でもこの位分からないとは・・・鈍さに定評があると言われても言い返せない。
 誰だそれどころじゃないって言ったやつ!!
 ・・・・・・・・・いやいや、そんな場合ではない。存在しない人間にツッコミ入れている、そんな状況はほっといて、一刻も早く目覚めなければならないが――――――
「なかなか目が開かないな」
『・・・ホントだ、開かないね』
 今でも胸に圧が掛かる感覚があるが、本体である自分は動く気配がない。
 おかげで精神に居るこちら側からは何も外の様子が全く見えない。自分達のことは仄かで淡い光が包んで見える。
「ただ声だけは聞こえるんだよねぇ」
 外からの声でなんだか心が痛くなってくる。
「起きなさい!起き・・・い!!」
「起きなさい・・・!か・・・社!」
 悲痛な声は精神にまで響く。どうにも自分の体が反応しないのでとてももどかしく、同時に皆の優しさが心に沁みた。
「・・・ホント、どうしたら戻るのかね」
『そういえばヤシロ。さっきまで持ってた本は何処にやったんだい?』
 錺が俺の手元を見て疑問を口にする
「・・・あ"、やべぇ何処にも無え!まさかあっちに置いて来たか!?」
 体中を隅々まで探しても本らしき物は見つからない慌てて戻ろうとするも先は暗闇でしかも何かしらのバリアが働いて進むことが出来ない
「ゔぇぇぇ!!」
 走って突っ込んだ為体中に痛みが走る。
 他から見たらとてもコミカルに映ったのだろう、錺のとてもかわいらしい笑みを堪える声が響く。
 耳が幸せになるなぁ・・・・・・。
『ふ、ふふっ。ヤ、ヤシロ。ちょ、ま、ふふふ――」
「・・・君が面白かったと思うのならもうそれでもいいや」
 なんかもう、プライドとかどうでも良くなってきた。それ位、錺の笑顔は可憐だった。
 俺は痛みで大の字で寝っ転がっているから反転して見えるがそれでも可憐だ。
 そんな事よりもこの視点からだとワンピース姿の錺の下着・・・もとい、縞パンがこれ以上ない位ハッキリ見える。彼女は気づいていないようなのでこれみよがしに熱視線を縞パンに送る。
 眼福眼福ぅ。
 あ、俺は幼女であろうとなかろうと関係無え人種です。ご容赦ください。
『・・・そろそろ起き上がって貰えないかな?今気付いたよ、君の視点からだとボクの・・・その・・・ぱんつ・・・丸見えなんだろう?』
 いつの間にか復活した様子の錺がこちらの思考をとうしてどう言う状況なのか理解したようだ。
 くそう、あとちょっと見たかったっ!
 取り敢えず起き上がると背後から軽いパンチが飛んで来た。振り返って錺の方を見てみると、顔が朱色に染まった錺がそこにいた。
 お、萌えェ・・・・・・
『・・・』
 ふむ・・・これ見たらロリコンにならざるを得なくなりそうだ・・・あまりにも可憐過ぎて告白して振られる所だよ。
 いや、振られるのかよッ!!
 脳内で一人ツッコミしていると錺が気付いたように提案して来る。赤い顔のままで。
『そ、それよりあの本はノットリミットノーレッジの中に有った物だろう?ならば精神世界の一物な筈だ』
「・・・ふむ、そう考えるとなるとここでも本は取れるのかな?」
『多分大丈夫だと思うよ、片手を突き出して突き出した方の手を開いたままイメージすると出てくる・・・そんな感じかな?肉体がある世界でも同じやり方で出てくる筈だ。仕舞う時は本棚に仕舞うイメージで仕舞えるんじゃないかな?』
「おけ!んじゃ、早速失礼して・・・」
 言われたとおり右手を突き出して掌を開き、目を閉じてイメージする。本が開くイメージ。すると、突き出した右手に重みが乗っかった。
『成功みたいだね』
「あぁ、ぽいな」
 そう簡潔にやり取りを済ませると、徐々に頭痛が襲って来る。
『・・・そろそろ、かな?』
「あ、あぁ。多分な・・・」
 この痛みはいくらバカな俺でもどんな状況になるのかは察する事が出来る。
 恐らく、戻る時間だ。
 面と向かって会話ができるのも最後かもしれない。
『それじゃぁ、向こうでたんと暴れるがいいさ。肉体に戻る頃には能力も発現しているだろうし』
 ふと、聞き逃す前に興味深い事を聞いた気がした
「え!?マジ!?俺の能力って!?」
『まぁ・・・それは、肉体に戻った時感覚で掴めるはずだから。あえては言わないよ、ただ、"埒外"とだけ答えて置こう』
 茶目っ気溢れる可愛らしい言い方でぼかしてくる。
 あぁ!もう!気になる!
 詳細を聞こうと錺の方を見てみると、俺の精神体の体は気づけば浮いていた。
 戻れる事を、体で知る。
「なぁ、また会えるよな?」
最後に問いかける、すると、さも当然のような口振りで返して来た
『当たり前だろう?ボクは君なんだ、君が必要になったその瞬間、ボクを呼び出してくれ。その時、いや呼ばれていなくとも君の力になろう。』
「おう!頼んだぞ!錺!」
 俺は文字通り一蓮托生のパートナーに手を振り精神の世界を抜け出して肉体の俺へと意識を向けた。
 本は、そのまま手に持っているが持ってったら俺の最初の武器になる。
「これからよろしくな」
 本に語りかける。
 うんともすんとも言わないが、確かに俺には、この先よろしく。と聞こえたんだ。

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