引きこもりがログインしました。

うな

EP.0 内海 歩

彼女もいない、友達もいない、学校は2ヶ月通ってない、毎日昼夜逆転の廃人生活。
普通14、15歳の中学三年生は、中学校最後の1年を仲良しの友達と過ごして修学旅行を心待ちにしたり、高校受験のために勉強に励んだり、疲れるとはいえある程度充実した毎日を過ごしているはずだ。

でも俺は違う。

始業式、新しいクラスが発表されたとき俺は絶望した。典型的いじめっ子ギャルでお馴染みの葛西さんと同じクラスになってしまったからだ。しかも運動部連中がクラスの大半を占めていて、俺の居場所はどこにもなさそうだった。
一、二年生のときは友達ができなかったから、三年生のときくらいは頑張って美術部員とか、その辺の同類の陰キャと友達になっておこうと思っていたが、どうやら夢は終わったらしかった。

最初の1ヶ月は頑張って学校に通っていたが、案の定葛西さんとその仲間に目をつけられ、持ち物を隠されたりとこれまた典型的ないじめを受け登校しなくなった。
親はそんな俺を心配し話を聞こうとしてくれたが、圧倒的クズの俺はそれを拒んだ。
親も1週間が経つ頃には諦めて、今じゃ会話もろくにしていない。


俺の部屋のカーテンはいつも閉めっぱなしだ。開けておくと外が見えてしまうからだ。不登校になって2週間がたった頃くらいまでは開けておくこともあったが、ある日学校の奴らが下校するのが見えた。それ自体はなにも感じなかったが、次に確か同じクラスだったであろう運動部員が見えた。運動部員共は俺の家を誰かから聞いて知っていたらしく、俺の部屋の窓の方を見てきた。目が合った。その瞬間奴らは中指を立てたり口パクで『死ねオタク』と言っていた。それがトラウマになって俺はカーテンを閉め切りにしている。


親は俺が生まれたとき、たくさん歩いてたくさん色んなところに行って立派に育って欲しいとのことから俺を「あゆむ」と名付けた。親の苗字は内海うちみというので、俺の名前は「うちみ あゆむ」ということに決定された。
親の意に反して俺は幼少期からインドア派に育った。外で鬼ごっこよりも、図書室で本を読んだりする子だった。
そんな俺が引きこもりオタクになるのは時間の問題だったのかもしれない。

何かで俺を変えられるのだろうか。俺は変われるのだろうか。このままクソニートになってしまうのだろうか。誰か助けてほしいけど、誰も助けてはくれない。俺はどうなってしまうのだろう。

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