いつか君と青空の下で

ノベルバユーザー311087

第12話

「私、津奈木つなぎいさむといいます。先ほどお会いされたと思いますが千香の上司でございます。」
急に硬い感じで勇さんがあいさつをしてくれた。
千香の上司か…。まともな人なんだろうか…。
さっきの千香の感じからして常識を疑ってしまう。
「よろしくお願いします。先ほど千香さんには会って?というか少しお話をさせていただいた程度ではありますがおおよその話は伺いました。」
勇さんにつられて少し言葉遣いに気を付けて答える。
「はっはははは、君はそんなにかしこまらなくていいんだよ?」
勇さんは高笑いしながらねぎらってくれる。
「これは社会人としてぼくはしただけだからね?」
勇さんはそういうがさすがにそれでもかしこまってしまったのは仕方のないことだと思う。
「詳しい話は今度来た時に話すからね?って言われたんですけど退院はいつごろできるんですか?」
突拍子もないことだと思う。
でも僕はずっと退院がいつできるかしか考えてなかったのだ。
できれば家族には迷惑をかけたくない。
そこからくる心配だった。
「そうだねー。まあ明日の朝にはいいよ?今は夕方だしあと16時間ぐらいでいいと思うよ?」
「えっ?今もう夕方なんですか!?」
ぼくは急いでスマホを見る。
時刻は17時30分を超えていた。
しかしよく考えれば正しい。
ぼくが一回目起きたころには湊からメールで`来なかった′と書いていたということは学校は終わっていたはずだ。
つまり今日は午前中しかないことから考えても確実に12時は超えていたことになる。
そこから寝たんだろう。
事故の疲れもあったことを考えるとまっとうな時間に起きただけだ。
「てゆうかそんなに焦らずに僕の話を聞いてくれるかい?」
勇さんは悲しそうに言う。
ほったらかしにしてすんません。
「とりあえず君のこれからについて話をさせてもらうね?」
確認するような口調で聞いてくる。
「千香から聞いたように君は半霊なんだよ。半霊っていうのはね?いなくなっても誰にも気づかれないんだ。ここまで理解できるかい?」
また問いかけるように聞いてくる。
ぼくはそれに対して頷く。
「じゃあ続けるね?要は簡単に言うと君はこれから死んでも気づかれない存在になるんだ。もっと簡単に言うと死んでも誰にも気にされないってことだよ。まあ日常生活で支障が出るのはそれくらいかな?そしてこれを君は拾っただろ?」
勇さんは半透明のピースを取り出して顔の前でニッと笑う。
あれは朝拾ったやつだ。
「これを100個集めるとちゃんと葬式してもらえる存在になるってことだね。」
簡単に言うが条件によっては100個は割ときつい条件かもしれないと身構える。
「まあこんなところでだべっていて聞かれたらまずいからね。詳しい話は明日にでもあそこに来なさい。」
なぜだろうかこんな話ばかりしていると大体の見当がついてあそことかそことかみたいな抽象的な会話で伝わってしまう。
日本語ってすごいなと思った。

          

コメント

コメントを書く

「現代アクション」の人気作品

書籍化作品