いつか君と青空の下で

ノベルバユーザー311087

第1話

エピローグ
枯れ果てた広野、潰されたビル街のガレキの上に座りこんだ少年の前をスーツを着た中年の男が通る。
「どうした、少年そこで座っていても時間しかすぎんぞ。」
おじさんが少年に吐き捨てるように言う。
「……。」
少年は俯いて黙り込む。
それを見て男は諦めたように「ふぅ」と溜息を吐き元々進んでいた方向に歩いていく。
「…おじさん、人は弱いね。すぐに地に膝がつく。弱い…皆いなくなっちゃったよ。もう嫌だよ、誰一人残らなかったんだよ、両親も隣のおばさんも同級生もみんな…」
少し男が離れてから少年は泣き崩れながら嘆く。
離れたところで男は表情一つ変えずに言う
「なら一人を大切にしろ少年。全員は救え無いんだ誰かが必ず傷つく。だから、悲しくても人を選べ、大切な順番をきめろそして一人でも多く救え。今は…それで良い」
男はそれだけ言うと少年を立ち上げ、続けて
「わかったなら前を向け、そして大切なものをもう一度見つけろ。お前みたいな思いをする奴を救うんだいまのうちにな。」
と語気を強めて言った。
少年は男を睨みつけてから崩れたマンション街へ消えていった。
その日の男の手記には次のように記されていた。
5月27日 今日も市街地で大規模な戦闘があったようだ。
おかげでマンション街が崩れ果ててまた死者が多数出たようだ。
町は壊れ無残な姿となりただの鉄筋とコンクリートの屑が転がっていた。
しかし良いものも見れた。
絶望していた少年だ。
彼のように復讐心を持った若いのはいつか世の中を変えてくれる。
今日、誰も救え無かった悔しさをバネに強く羽ばたいて欲しい。
僕はそう思っているよ。
それと今日は天気は良かった。
でもせっかくの夕陽は雲に隠れていたな、夕陽を見に行ったのに少し悲しかった。
彼はもう許してくれただろうか。
彼らは僕のことを覚えているだろうか?
あんな日はもう訪れない。
いや訪れてはならない、過去はもう変えられないから…。
その日はそれだけ書かれてそれが最後のページだった。

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