気分は下剋上 肖像写真

こうやまみか

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「私もまったく興味がないので、医局でこっそり誘われても行っていませんが。
 そんな『無駄金』を使うくらいなら、貴方と一緒にデートするホテルの部屋のグレードアップします」
 そう言ってくれるのは心の底から嬉しくて、ついつい唇に笑みを浮かべてしまう。人が来ないとはいえ、病院の廊下にも関わらず。
 医局の皆がどこに遊びに行こうが、ボッタクリバー(というのがあるとテレビで言っていた。なんでも2000円ポッキリという価格で店に誘い、お会計を見ればコンビニエンスストアで売っているポッキーがお皿に並べただけで千円とか氷の代金が一万円とかのお金が計上された請求書が来るらしい)などの被害に遭わなければプライベートにどこの店に行こうがそれは先生方の良識と常識を信じているし、自分が口を挟む筋合いでもない。
「なんでもああいうお店は15分ごとに女の人が変わるらしいです。だから多くの女性と喋りすぎてどの女性と何を喋ったのか全く覚えていないとか。
 ただ、同じ店に通っているとお気に入りの女性が出来ますよね。その人を別料金を支払って指名するシステムみたいなのですが、そうなると誕生日とか「ご指名記念日」とか言ってプレゼントを要求されるらしいです。
 ちなみに女性の誕生日はナゼかGWとかお盆休みなど店がガラガラになるような日の女性はいないらしいですよ」
 祐樹は医局の人間とも患者さんとも親しく世間話を交わせる人なのでどちらからの情報だかは分からないがそんなことを突っ込んで聞くようなこともしない。
「ああ、実際の誕生日が例えば元旦だった場合プレゼントが貰いにくくなるためか?」
 祐樹と付き合いが深まって、色々なことを話してくれるので自分の世間知も上がっている。
 それに関心がないことも祐樹が話すと絶対に耳を澄ませて聞いてしまうし。
「その通りです。売れっ子のキャバ嬢になると、お客さんから『プレゼント何が欲しいか?』みたいなことを聞かれるようになるらしくて、複数のお客さんに同じブランド、同じ財布を言うらしいです。
 その女性の常連客が多ければ多いほど、同じ財布が集まるそうですね。お誕生日には特に。
 そして一つを除いてリサイクルショップに持って行きーー何しろ新品未使用ですから高く売れますーープレゼントをくれたお客さん全員に『貴方から貰った財布、大切に使っているから』とか言うらしいです。それにコロっと騙される人が多いらしいです。
 パパ活動は……」

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