劣戦火に寄るエルケレス
第十七話『赤い熱』
ゴブリンの腹部を切り裂くと、途端に右手のひらが熱くなる。感情に任せて振るった剣にはその熱に耐えうる覚悟も足りない。
ゴブリン達は、こん棒槍を持ち、迫ってくる。どれもシエルダの身長を越える緑色の化物ばかり、その膨れた肉があぁやって肥えたものなのだと考えると腹立たしくて仕方がない。
熱で焼き爛れ震える手で、剣を再び構える。右手の皮膚はボロボロに崩れ、血が滲み出ていた。
まるで電気のように痛みが手の平から手首までを駆け巡る。痛みは、ゴブリンを切れば切るほど増している、シエルダはその痛みを堪えながらも立ち向かい続けている。
そして、一匹のゴブリンが棍棒を振り上げシエルダに向けて走ってくる。上半身を練りながら、剣を大振りに横へ振るった。
剣先はゴブリンの腹部を切り裂く。
「――ウグオオォッ」
けたたましい程の声が洞窟内の壁に反響し始める――
ゴブリン達は声と共に一斉に距離を詰めてくる。痛みが、熱が、手の平を熱く焦がしていた。だが、それでは止まらない、こんな穢らわしい物を放っておいて良い筈がない。
大振りな一撃に使った体を起こし、再びそれを翻すように足を後ろへ踏み出し翠の腕が見えた。
「ここだぁっ!」
脇から肩に掛けて左腕の切れたゴブリンはひっくり返る、がそれだけでは止まるはずもない、斬り終えた途端に後頭部を重い木の棍棒が殴り付け赤い血で染める。
前足を踏み出すことでよろけた体を支え、体を翻しながら剣を大振りに振るい、勢いをつけたまま首を僅かに切り裂いた、だがこれで終わりにはさせない、させられない。
体で体当たりをするように左肩からぶつかり、喉元に剣を突き刺す。
「この腕も邪魔だ!」
緑色の太い腕が宙を舞う、手の平からは酷く焼き焦げた臭いが立ち込める、まだ止まれない、止まる気など無い。
横にいるゴブリンはギョロつく目を見開き、まるで殺人鬼でも見るかのような目で目が合う。
「そんな目で見るんじゃねえ!」
汚ならしい首は宙を舞う、表情など変える暇などない、左へ右へ、剣を1振りする度に腕や首が宙を舞っていた――
「はぁ......はぁ......」
全身を赤く濡らし、最後に立っていたのは村では、非力だとすら感じていたシエルダだった。
ゴブリン達は、こん棒槍を持ち、迫ってくる。どれもシエルダの身長を越える緑色の化物ばかり、その膨れた肉があぁやって肥えたものなのだと考えると腹立たしくて仕方がない。
熱で焼き爛れ震える手で、剣を再び構える。右手の皮膚はボロボロに崩れ、血が滲み出ていた。
まるで電気のように痛みが手の平から手首までを駆け巡る。痛みは、ゴブリンを切れば切るほど増している、シエルダはその痛みを堪えながらも立ち向かい続けている。
そして、一匹のゴブリンが棍棒を振り上げシエルダに向けて走ってくる。上半身を練りながら、剣を大振りに横へ振るった。
剣先はゴブリンの腹部を切り裂く。
「――ウグオオォッ」
けたたましい程の声が洞窟内の壁に反響し始める――
ゴブリン達は声と共に一斉に距離を詰めてくる。痛みが、熱が、手の平を熱く焦がしていた。だが、それでは止まらない、こんな穢らわしい物を放っておいて良い筈がない。
大振りな一撃に使った体を起こし、再びそれを翻すように足を後ろへ踏み出し翠の腕が見えた。
「ここだぁっ!」
脇から肩に掛けて左腕の切れたゴブリンはひっくり返る、がそれだけでは止まるはずもない、斬り終えた途端に後頭部を重い木の棍棒が殴り付け赤い血で染める。
前足を踏み出すことでよろけた体を支え、体を翻しながら剣を大振りに振るい、勢いをつけたまま首を僅かに切り裂いた、だがこれで終わりにはさせない、させられない。
体で体当たりをするように左肩からぶつかり、喉元に剣を突き刺す。
「この腕も邪魔だ!」
緑色の太い腕が宙を舞う、手の平からは酷く焼き焦げた臭いが立ち込める、まだ止まれない、止まる気など無い。
横にいるゴブリンはギョロつく目を見開き、まるで殺人鬼でも見るかのような目で目が合う。
「そんな目で見るんじゃねえ!」
汚ならしい首は宙を舞う、表情など変える暇などない、左へ右へ、剣を1振りする度に腕や首が宙を舞っていた――
「はぁ......はぁ......」
全身を赤く濡らし、最後に立っていたのは村では、非力だとすら感じていたシエルダだった。
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