劣戦火に寄るエルケレス
第十話『呪術』
「さっきのゴブリン、盗賊ですよね」
シエルダはキリカのその問いに冷たく聞こえてしまう様に答えてしまう。
「モンスターはどうあれ全て同じだ、人間に害を成す」
シエルダはキリカを背負いながら歩き続けるが会話はそこで途切れてしまう、沈黙が暫く続き日が落ちる。その頃にキリカが声をかけた。
「そろそろ休まない?ずっと私を背負って歩いているじゃないですか」
それでも下ろそうと言う素振りは見せず、シエルダは背負い歩き続ける。ただ無言でひたすらに歩き続けていた。キリカがこれは何度言っても無駄だとわかった途端に。
「下ろしてください!」
何も言葉を話そうとしないシエルダの背中で突き放すように手を背中に当てて離れようとする。
「うわっ!」
押された勢いに、驚いて前に倒れる。背中にキリカが乗ったまま。
「だ、大丈夫ですか...?」
「いきなり暴れないでくれよ...」
足を引摺り、シエルダから退く馬乗りのようになったキリカ。シエルダは立ちあがり、土を払いキリカの方を向いた。
「やっぱりまだ足が痛いんだろう」
表情を変えずにキリカに向かって確認を取るが、キリカは認めようとしない。
「そんなことは...」
まだ地面に座っているキリカを見てため息をつくシエルダは、その強情さになくなくそこで休憩をとることにした。
「強情な人だ...わかった」
地面に胡座をかいて座る。
「暫く休憩する、そうしたら背負って行く、これだけは譲らないぞ」
夜、真っ暗な状態で灯りの1つもなく、視界もとても見辛い。僅かな夜の寒さが周辺に残っていた。
「すみません、私が怪我をしたばっかりに、本当はもっと早く謝らないといけなかったのですが...」
「良いって、悪いのはあのゴブリン達なんだ、キリカは何も悪くはない」
暗くなった周囲を見渡すが、見えるのは野原と森ばかり、視界も昼よりは見えず、建物も見つけられない。まっすぐに歩いて行くか、1度地図を確認して...唯一の救いが月明かりか。
キリカに地図を借りて広げ、現在位置を確認する、同じ森がずっと先に見えていたので地図で確認するのは容易だった。
「現在位置がここだとすると...まだ半分も歩ききれて無いのか、それにしてもこの近くの森は随分と広いんだな」
キリカが顔を覗かせる。
「これなら暫く南西にまっすぐで見えて来ますね」
この分だと後、一日、いや二日は歩き続けることになるかもしれない、地図上では休める村も何もなく、キリカも今まではすぐに村に着いては宿を借りていたらしく、野宿用の道具など一切ない。
考えていても仕方がない、今は進むしかないのだから。
「さぁ行こう」
キリカのところまで来て、キリカを背負う、夜の暗がりを月明かりの元で歩き続けた。その中で、長い沈黙を今度はシエルダが口を開く。
「キリカ、聞きたい事があるんだ」
ふと、シエルダはゴブリンに襲われた時の事を思い出していた、それはゴブリンを斬りつけたと同時に燃えるように熱くなった手について、それが気になっていた。
「実は俺の手によくわからないものが刻まれてたんだ、いつ刻まれたのかもわからない」
「もしかしたら呪術の一種かも知れません、私は詳しくは無いので見せてもらってもわかりませんが...」
「呪術...そうか、もしかしたら」
シエルダの中には思い当たる事がひとつある、鎧を身に纏った骸骨の頭部を突き刺した時だ。あの時に付けられたのか、どんなものなのか、もっとよく知る必要があるな。
シエルダはキリカのその問いに冷たく聞こえてしまう様に答えてしまう。
「モンスターはどうあれ全て同じだ、人間に害を成す」
シエルダはキリカを背負いながら歩き続けるが会話はそこで途切れてしまう、沈黙が暫く続き日が落ちる。その頃にキリカが声をかけた。
「そろそろ休まない?ずっと私を背負って歩いているじゃないですか」
それでも下ろそうと言う素振りは見せず、シエルダは背負い歩き続ける。ただ無言でひたすらに歩き続けていた。キリカがこれは何度言っても無駄だとわかった途端に。
「下ろしてください!」
何も言葉を話そうとしないシエルダの背中で突き放すように手を背中に当てて離れようとする。
「うわっ!」
押された勢いに、驚いて前に倒れる。背中にキリカが乗ったまま。
「だ、大丈夫ですか...?」
「いきなり暴れないでくれよ...」
足を引摺り、シエルダから退く馬乗りのようになったキリカ。シエルダは立ちあがり、土を払いキリカの方を向いた。
「やっぱりまだ足が痛いんだろう」
表情を変えずにキリカに向かって確認を取るが、キリカは認めようとしない。
「そんなことは...」
まだ地面に座っているキリカを見てため息をつくシエルダは、その強情さになくなくそこで休憩をとることにした。
「強情な人だ...わかった」
地面に胡座をかいて座る。
「暫く休憩する、そうしたら背負って行く、これだけは譲らないぞ」
夜、真っ暗な状態で灯りの1つもなく、視界もとても見辛い。僅かな夜の寒さが周辺に残っていた。
「すみません、私が怪我をしたばっかりに、本当はもっと早く謝らないといけなかったのですが...」
「良いって、悪いのはあのゴブリン達なんだ、キリカは何も悪くはない」
暗くなった周囲を見渡すが、見えるのは野原と森ばかり、視界も昼よりは見えず、建物も見つけられない。まっすぐに歩いて行くか、1度地図を確認して...唯一の救いが月明かりか。
キリカに地図を借りて広げ、現在位置を確認する、同じ森がずっと先に見えていたので地図で確認するのは容易だった。
「現在位置がここだとすると...まだ半分も歩ききれて無いのか、それにしてもこの近くの森は随分と広いんだな」
キリカが顔を覗かせる。
「これなら暫く南西にまっすぐで見えて来ますね」
この分だと後、一日、いや二日は歩き続けることになるかもしれない、地図上では休める村も何もなく、キリカも今まではすぐに村に着いては宿を借りていたらしく、野宿用の道具など一切ない。
考えていても仕方がない、今は進むしかないのだから。
「さぁ行こう」
キリカのところまで来て、キリカを背負う、夜の暗がりを月明かりの元で歩き続けた。その中で、長い沈黙を今度はシエルダが口を開く。
「キリカ、聞きたい事があるんだ」
ふと、シエルダはゴブリンに襲われた時の事を思い出していた、それはゴブリンを斬りつけたと同時に燃えるように熱くなった手について、それが気になっていた。
「実は俺の手によくわからないものが刻まれてたんだ、いつ刻まれたのかもわからない」
「もしかしたら呪術の一種かも知れません、私は詳しくは無いので見せてもらってもわかりませんが...」
「呪術...そうか、もしかしたら」
シエルダの中には思い当たる事がひとつある、鎧を身に纏った骸骨の頭部を突き刺した時だ。あの時に付けられたのか、どんなものなのか、もっとよく知る必要があるな。
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コメント
ノベルバユーザー325246
面白い、次期待しています。