劣戦火に寄るエルケレス
第二話『後悔と悲しみ』
シエルダは気がつくとベッドの上で寝ていた。ベッドの横には椅子が1つあり、キリカが軽装備の鎧を着て座っている。
「やっと起きましたね、魘されていたので心配しましたよ」
どんな夢を見たのか、シエルダ自身覚えてはいない、しかし思い当たる事は1つ、やはり村の事だろう。
「その傷は、いつの怪我ですか?」
シエルダの首にキリカが触れる、シエルダの鼓動が高鳴り、頬が僅かに赤くなる。手の先の僅かな熱が首筋に伝わる。
「こ、これはずっと前の傷で....子供の時に」
そう続けるシエルダの言葉は途中で止まってしまった。何故この傷が出来たのか自分でもわからなかったからだ。子供の頃、だけどそれ以上思い出せない...改めて考える、思い出そうと首を傾げるシエルダの首から、キリカは触れていた指先を離す。
「足は動かしても大丈夫ですよ」
シエルダにキリカが言う、シエルダは自身の足に掛けられた布団を退かし、足の具合を見た。昨日までは赤く、あんなに腫れ上がっていた足は、元通りになっている。軽く膝を曲げ、足首を動かす。
「もう痛みもない、ありがとう助かったよ」
キリカに礼を言うと、少し顔を下げる。
足をベッドの外に出して立ち上がると、痛くもなく普通に歩けそうだと確認する。壁に立て掛けられている血染めの剣が目に入ると、柄を握り外へと続く木の扉へと近づきノブを捻る。
「何処に行かれるのですか?」
キリカはまだ治ったばかりのシエルダを心配するように声をかけ、ひき止めようとする。暫くの沈黙が続いた後、再び口を開く。
「やつらを倒しに行く」
「モンスター、ですか?」
まるで行くのはやめた方がよいと言うようにも捉えられる返答の仕方に、これ以上は話すことはないだろう、と扉を開けて外へと出て行く。
「ま、待ってください!」
その後を追いかけるキリカは、村に戻るつもりですか、と続けて言い放つ、シエルダは部屋を出てからすぐの廊下で足を止める。
すぐに側へとキリカが来る。
「方角はどちらかわかりますか、それにもうあの村は」
言葉を途切らせる様にうるさいっ!と怒鳴り声をあげた、付近にいた宿に泊まっている人達もその怒鳴り声にシエルダの方を見る。
「しかし...すみません、勝手な事を言って。でもこのまま闇雲に出ていっても何もできずに死んでしまうかも知れません、最近モンスターが大量発生しているんです、せめてわたしを連れていってください。」
キリカの言葉には、揺るぎのない心を感じた。彼女の言った言葉はけして嘘偽りは無い。少しするとシエルダは冷静になり向き直る。
「助けて頂いたのにすみません、お願いできますか、せめて...村まで」
キリカは口角を上げて笑顔を見せた。
「はい!今馬を連れてきます!」
走って宿の馬小屋まで行く。シエルダは額に手を当てて反省していた、それは先程の行動もだが、あの時何もできなかった事も後悔していた、逃げ出した事に後悔していた。
カタカタカタカタ
馬の蹄の音が聞こえてくる。
「お待たせしました、乗ってください」
キリカよりもすこし高い程度の焦げ茶色の毛並みの良い馬に乗ってきた、頭には縦に白模様が入っている。シエルダは馬に跨がる、キリカの後ろへと乗ると早速シエルダのいた町へと向かった。
「やっと起きましたね、魘されていたので心配しましたよ」
どんな夢を見たのか、シエルダ自身覚えてはいない、しかし思い当たる事は1つ、やはり村の事だろう。
「その傷は、いつの怪我ですか?」
シエルダの首にキリカが触れる、シエルダの鼓動が高鳴り、頬が僅かに赤くなる。手の先の僅かな熱が首筋に伝わる。
「こ、これはずっと前の傷で....子供の時に」
そう続けるシエルダの言葉は途中で止まってしまった。何故この傷が出来たのか自分でもわからなかったからだ。子供の頃、だけどそれ以上思い出せない...改めて考える、思い出そうと首を傾げるシエルダの首から、キリカは触れていた指先を離す。
「足は動かしても大丈夫ですよ」
シエルダにキリカが言う、シエルダは自身の足に掛けられた布団を退かし、足の具合を見た。昨日までは赤く、あんなに腫れ上がっていた足は、元通りになっている。軽く膝を曲げ、足首を動かす。
「もう痛みもない、ありがとう助かったよ」
キリカに礼を言うと、少し顔を下げる。
足をベッドの外に出して立ち上がると、痛くもなく普通に歩けそうだと確認する。壁に立て掛けられている血染めの剣が目に入ると、柄を握り外へと続く木の扉へと近づきノブを捻る。
「何処に行かれるのですか?」
キリカはまだ治ったばかりのシエルダを心配するように声をかけ、ひき止めようとする。暫くの沈黙が続いた後、再び口を開く。
「やつらを倒しに行く」
「モンスター、ですか?」
まるで行くのはやめた方がよいと言うようにも捉えられる返答の仕方に、これ以上は話すことはないだろう、と扉を開けて外へと出て行く。
「ま、待ってください!」
その後を追いかけるキリカは、村に戻るつもりですか、と続けて言い放つ、シエルダは部屋を出てからすぐの廊下で足を止める。
すぐに側へとキリカが来る。
「方角はどちらかわかりますか、それにもうあの村は」
言葉を途切らせる様にうるさいっ!と怒鳴り声をあげた、付近にいた宿に泊まっている人達もその怒鳴り声にシエルダの方を見る。
「しかし...すみません、勝手な事を言って。でもこのまま闇雲に出ていっても何もできずに死んでしまうかも知れません、最近モンスターが大量発生しているんです、せめてわたしを連れていってください。」
キリカの言葉には、揺るぎのない心を感じた。彼女の言った言葉はけして嘘偽りは無い。少しするとシエルダは冷静になり向き直る。
「助けて頂いたのにすみません、お願いできますか、せめて...村まで」
キリカは口角を上げて笑顔を見せた。
「はい!今馬を連れてきます!」
走って宿の馬小屋まで行く。シエルダは額に手を当てて反省していた、それは先程の行動もだが、あの時何もできなかった事も後悔していた、逃げ出した事に後悔していた。
カタカタカタカタ
馬の蹄の音が聞こえてくる。
「お待たせしました、乗ってください」
キリカよりもすこし高い程度の焦げ茶色の毛並みの良い馬に乗ってきた、頭には縦に白模様が入っている。シエルダは馬に跨がる、キリカの後ろへと乗ると早速シエルダのいた町へと向かった。
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