魔法少年の自由奇行

パルパス・パンプルドア

001

 そこは少し薄暗い洞窟の中。

 寝袋に入ったまま熟睡している一人の少年がいた。

 少年の年はまだ12・3歳程だろうか。幼いが整った顔立ちをしており、カッコいいというより可愛らしいと言われることの方が多いと思われる。

 放っておけばこのまま暫くは目覚め無いだろう。そう思わせる寝顔であったが唐突に。

 バゴォーン!

 洞窟を揺らす振動と共に爆裂音が少年から少し離れた所から響いた。

 その音と振動に少年も起きた様だ。








 あれ?目覚ましの音じゃ無いなぁ〜。

 寝惚けた頭でトンチンカンな事を思いつつ少年は目を覚ました。

 うーん。ああ、この音は爆裂魔法かなぁ。

 このエリアで魔法を使う魔物だとリッチあたりかな?

 アンデット特有の歪な魔力だし。

 ふぁー。でも結構寝れたなぁ。

 この寝袋かなり高いだけあって寝心地も良いんだけど、やっぱりベッドで寝ないとあんまり休めないよね。

 せっかくの休みの日なんだからもっと寝てても良いんだけど。

 ドォッガーン!

 先程よりも大きな音と振動だ。

 うん、威力上げてきてるね。

 せっかく家族に友達の家に泊まって来ると嘘ついて昨日の夜からダンジョンに遊びに…コホン。レベル上げと小遣い稼ぎに来てるんだから少しは頑張ろうか。

 ガガガガッー!

 石の礫がかなりの勢いで硬い何かに降り注ぐ。

 硬い何かの正体は上位の結界である。

 もぅ、煩いなぁ。

 少年は寝袋から抜け出すと。寝る前に張っておいた上位結界の一部を解き隙間を作る。

 右手をピストルの様な形にして狙いを定めてから魔力を指先に集め意味もなく。

 「ばーん。」

 そう言葉にしてから指先に集めた魔力を相手に向かって解き放つ。

 かなりのスピードで飛んで行くビー玉程の魔力弾。

 相手の…(あ、やっぱりリッチだった。)…リッチは、魔力弾に込められた魔力量に気づいたのか慌てて魔力障壁作ったが、魔力弾はその魔力障壁ごとリッチを貫いた。

 リッチが倒れた場所には指輪が落ちていた。

 あっ、これレアドロの魔力強化の指輪じゃん。ラッキー。

 朝起きて早々に小遣い稼ぎ出来たと喜ぶ少年であった。

 

 この物語は無駄にマイペースな少年が無駄に自由に過ごすだけの話である。
 

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