『勝ったら賞金10億』ゲーム依存者がデスゲームに参加した結果。

豚の人。



「盛り上がってまいりましたね...!フフッ、見ているこちらも楽しめますよ。では、カードをお配りします」

GMの顔は仮面で見えないが、明らかに楽しんでいる様子がうかがえる。寺野以外まともな奴が居ないとは...何か嫌だな。いや、俺もまともな方だな、うん。

  そんなくだらない茶番を頭の中で繰り広げられているなか、目の前にはそれぞれのカードが3枚ずつもう配り終わっていた。さすがGM、仕事が早い。

「では、配り終えましたのでゲームを再開しましょう。寺野様からのスタートとなります」

「この短時間で人生が終わるかも...なんて考えると、緊張しますね!」

と、亜美が小学生のような笑みを浮かべる。どう考えても緊張してないだろ、というツッコミは喉らへんで引っ込んでしまった。

「そうね...私もここまで生きてきて、こんなに緊迫した状況は体験がしたことがないわ」

「やっぱり七海さんも?僕も同じだよ。気が合うね」

と、神崎は望月に向かって爽やかな笑顔を向ける。勝手な予想だが、こいつ絶対女口説いてるな。常習犯に違いない。

「三浦君はどうかしら」

「ん、あぁ...俺か?俺も初めてだぞ。こんなに緊迫した楽しい状況は」

「.........そう。なら良いけど」

「......無視?」

もしかして俺モテ期だったり?もしかして望月俺のこと好きだったり?

「勘違いしないでちょうだい。私も好きであんたの遊びに付き合ってるわけじゃないの」

「はい...」

「てめぇらは何やってんだぁ?いいから早くゲームをスタートしろ。覚悟はできてるんだ」

いけない...すっかり取り乱してしまった。
死ぬかもしれないこの状況でこんなに呑気なことしてる場合じゃないよな...。

「では、よろしいでしょうか」

GMは俺達の顔を見ながら、先程よりも低く、落ち着いた声で俺達へ問いかける。

俺達は今、皆が崖っぷちに立っている。そんなことを再確認された。

全員はその場で、静かに頷いた。

「では、寺野様...どうぞ」

2ターンにしたとしても、少し寺野が有利なのは明らか...。必ず1ターンを回避できるからな。...ん?待てよ...。


「まてGM。寺野のからのスタートと言うことは、寺野はカードの中身を知っているはずだ。そんなの寺野が勝つに決まってる」

「...あぁ、そのことでしたらご心配なさらず。寺野様にはカードの中身を知らせておりません。つまり、私にしかカードの中身は分からない、ということです」

「そうか...。すまない、ゲームの腰を折ってしまって」

「いえ。...では、寺野様どうぞ」

「...亜美、って言ったな。このカードはコウモリだ」

「私ですか。うーん...ここで嘘か真か言っても良いのですが...それじゃつまらないですよね。保留の場合は、カードを見ずに渡すということで良いのですか?」

「......はい」

...確か、その事についてもGMは説明していなかった。説明不足すぎないだろうか。...はめている?...いや、まさかな。

「それでは、このカードは三浦さんに」

「...保留」

全員がカードの中身を知らない以上、表情から読み取るのは不可能。当てずっぽうでも言いが、それはリスクが高すぎる。

「このカードは神崎に」

「保留。それじゃあ...このカードは七海さんに」

「保留。さて、これで一週が回ったわね」

「二週目へ参りましょう」

この一週で...全てが決まる。やばい...鳥肌が止まらなくなってきた。楽しすぎる...!

「では、七海様からのスタートです」

そして、再びカードは回ってゆく。そして...



最後の一人となった。手にカードを握りしめただこちらをじっと見つめる寺野。

「フッ...ハハハッ...面白い...。寺野、最後の勝負と行こうか。これでどちらかの人生が終わる...面白い...面白いな...」

「...狂ってる。お前、狂ってるよ...。あぁ、行こうじゃないか。このカードはクモだ」

「結局運ゲー、か...。さて...嘘か真か...。俺の出した答えは...」






「真だ」

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