『勝ったら賞金10億』ゲーム依存者がデスゲームに参加した結果。
デスゲームの始まり
「ここ、だよな?」
目的地に指定された場所はあまり人気のない廃ビル。雰囲気増し増しだなこりゃ…。
  にしても…
(中年のおっさんばっかだな…)
こんな夜遅くからよくこんな人が集まるもんだ。意外と人数集まってるんだな…。いかにも胡散臭かったけどな。
   このゲームに参加する人達…やはり金とかに困ってる奴ばかりと言ったところか。
  賞金10億に釣られるよなそりゃ…。
「…ん、何か人陰が…」
暗くて良く見えなかったがビルの入り口から確かに人陰が…
   そう思った矢先に、入り口からカツカツと足音を立てながら歩いてくる女性が一人。
  メイド服姿で顔はピエロの仮面で覆い隠されている。
「皆様、今回はデスゲームにお集まり頂き、ありがとうございます」
「おい、勝ったら賞金10億って本当だろうな?」
ある 一人の男が声をあげる。
 そりゃあ疑うよな…賞金10億ってなんて。
「ご安心下さい。賞金の方は準備しております。話を戻しましょう。」
メイド服姿の女性は一つ咳払いをする。
「今回のデスゲームのルールを説明します、と言いたいところですが…時間が押しておりますのでルールの方は皆様のスマホの方へ送信しておきましたのでご確認お願い致します。申し訳ありません」
そう言い、90度の礼をする。
   そういや、確かにデスゲームのご案内と別にもう一通メールが届いてたな。確認しときゃ良かった。
「大切な事だけ一つ…デスゲームでは、誰がどんなゲームをしようが、皆様の自由です。尚、トランプ等は用意してありますのでご安心下さい」
"誰がどんなゲームをしようが自由"、か…これは覚えておいた方が良さそうだな。
「それでは皆様、こちらのビルへ。足を踏み入れたら最後、勝ちのこるまで出られません。…皆様のご活躍、楽しみにしています」
顔は見えないが、声のトーンから分かる。こいつは、俺達が殺し合いをするのを楽しもうとしている。
なんて悪趣味なんだ…
「賞金10億だろ?もしも俺が勝ったら一生女オモチャに出来るなぁ…やべぇ、想像するだけで…」
俺の事を隣に居た40代後半はしきおっさんがもう夢を見ているようだ。正直、10億って時点で怪しいと思わないのか…
まぁ良いか。とりあえずゲームはゲーム。ゲームなんて聞いたら心が踊るよな、たとえそれがデスゲームだとしても。
「入るか…」
今のところ誰も入ろうとしないが…怖いのか。当たり前だよな、ここで死ぬかもしれないんだから。
  誰も足を進めない中、俺だけが一歩、また一歩と足を進める。
「あのガキ…本当に行くのかよ」
「死ぬかもしれねぇんだぜ…それに10億が本当かどうかも分からねぇのに…」
そんな声がちらほら聞こえてくる。死ぬのが怖いなら来なければいい。それだけの事。
  ゲームで一生を終えるなんて、確かに嫌かもしれない。けど、俺にとってこんな幸福なことはないだろう。それに、ゲームで一生を飾るのも悪くない。
   そう思うのは俺だけではないだろう。
「__ふぅ」
俺は入り口手前で足を止める。足を止めたのは心の準備のため。
 だって俺はこのデスゲーム、本物だと信じてるから。…いや、確信しているから。
「さてと、行きますか…」 
俺は入り口へ足を一歩踏入れる。
  
___さて、デスゲームの始まりだ。
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