In the world where feelings make a color

嘉禄(かろく)

The owl which dances in darkness



"俺が梟であるのは 稀モノから人々を守るため"

俺は、ある日叔父さんからその話を聞いた。


『知っているかい、澄人。
翼の居場所には、古ーい本が沢山あるんだよ。
きっと、澄人の好きな貴重な本もあるはずだ』
『マジ?場所教えてよ、近いうちに行くからさ!』


そう明るくいつも通り答えておいて、俺はその場所を聞き出した。
…但し、目的は本の収集じゃない。

稀モノの保護だ。

実際にこの目で確認して、倒れはしたけど梟に報告もした。


『…またあんたは、ほんとに馬鹿かよ』
『黙ってて悪かった、それでもガセに引っ掛かる訳じゃないんだし見逃せよ』
『…分かってる、保護するのに変わりはない』


枢と侑吾には怒られたが、梟総出であの図書館の稀モノを保護することにした。

梟の隊服を着て現地に向かう。
闇に溶ける紺色のマントと帽子。
そして闇の中光る梟の証。


「稀モノの見極めは侑吾に任せろ、鴉が来ても怯むな!
中には意思を乗っ取る強力な稀モノがある可能性もある、用心しろ」


最近鴉は稀モノを手に入れてはそれを利用し一般人を危険に晒している、それを防ぐ為にも保護は急務だ。
俺は叔父さんの創った特殊な眼鏡を掛けているから影響は無い、俺が梟で活動するには必要不可欠な代物だ。

部下に指示を出していると、後ろから足音と聞き慣れた声がした。


「…もしかして、すみ…?一体何を…」


軽く振り向くと、そこには翼がいた。
そのタイミングで部下が声をかけてくる。


「稀モノの回収、終了しました」
「分かった。梟、帰還する!」


その号令を元に、俺達はその場を去る。
翼の呼び止める声に、俺は応えることは無かった。


「…ごめんな、翼。
梟は知られる訳にはいかないんだ…でも、この邂逅でお前が知りたいと思うならそれは…」


紛れもないお前の意思だ-



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