Endの後のDiary
6 Great wizard スクルド
▽
不思議な夢を見た後は、大体Diary を手に持って寝ている。特別な効果でもあるのか。
どうやら一番最初に起きたらしい。
朝の光が暖かく、まぶし…。え?ここって森の奥地だよな?何で…。
窓を見たが、まぶし過ぎて外の様子が全く見れなかった。
何事もなかったかのように振り返ると、顔に何かが当たった。結構痛い。
「おはよう。君、一番遅かったじゃないか。」
は?何言ってるんだ。さっきまで寝てたじゃんか…。
俺がふてくされてると、スクルドは、「ごめんごめん、そんなに怒らなくても…。ちょっと違う時間に送っただけだってば。」
え。違う時間?
「冒険に出る前に、魔法の腕を試したかったんだ。時空転送魔法だよ。これを使うのはいつぶりだったか…。」
どうして俺が。なんて怒ってると、スクルドの後ろから、少女が顔をひょこっと出した。こちらに手を振っている。俺も手をふり返した。
「さ。君も早く準備して、行こうか。」
準備…する事ないんだが。
「…そうだね…。えーと、これ持ってくかい?」
手渡されたのは、ちょっと大きめのポシェットと、小さいナイフだった。俺、ナイフ振れないんだけど…。
スクルドはそんなことは気にせず、扉の前まで行っていた。が。後ろをついていた少女に不思議な言葉を投げかける。
「あれ?君も行くのかい?」
え?行くんじゃなかったのか?
「君みたいなか弱い女の子が外へ出ては危険だからね。」
…そうか?君がいるからこそ冒険が成り立ってもいいと思うけど。
とりあえず、少女をかばうようにして、スクルドの前にたった。
「この子を行かせるつもりかい?この世界では、そんなに人数もいらないし。大体、君たちは何かできるのかい?」
何か。何かか。視線を反らすと、少女がDiary を持っていた。俺もポシェットから取り出し、二人で目の前に突き出した。
「…これ、日記帳じゃないか。冒険の記録でもするのかい。でも…。まぁ、いいか。それだけの勇気があることはよくわかったよ。」
スクルドが扉を開けてくれた。
初めて外へ出る。こんなに気持ちが晴れたことはないだろう。
そして、スクルドは何かを取り出した。二人でワクワクしながら見ていると、なんと、木の棒だった。スクルド曰く、魔法の杖らしい。思っていたより小さいんだなぁ、と見ていると、何かを唱え始めた。
次の瞬間、二人の笑顔が消えた。さっきまでいた家が燃やされたのだ。
「炎の魔法さ。魔物が家に寄って集れると困るからね。」
燃え広がる炎は、どこかで見た美しい赤に染まっていた。
感動して見ていると、スクルドと少女は俺の手をとって、走り出した。
「もたもたしてると、炎に呑まれるし、魔物も寄って来るよ。急いでこの森を出よう。」
走った。
とにかく走った。
この森は、風に揺らされ、唸っている。ここの木々は、生きているようだった。
どこかの森とは違って。
▽
そして、気づくと、森を抜けていた。風に乗って、駆け抜けたような爽快感だった。
「僕が後ろから風魔法で押したから、あまり疲れてないと思うけど…。大丈夫?」
そういえば、あまり疲れてない気がする。あと本当に風に乗ってたんだな。俺。
少女は少し息があがっている。いきなりこんな走ったら、そりゃあ息があがるよな。
「さて。ここから君の落とし物の地点まで今すぐ行きたいとこだけど…。もう日が落ちてきたね。ここらで野宿しようか。」
野宿。森を出てすぐ野宿とは…。
あと、さっきから隣が異様に明るい気がする。見ると少女が、さっきまでの疲れきった顔がなかったかのように目を光らせている。楽しみなのか。野宿が。
はっとして、前を向くと、野宿の準備ができていた。寝床まで作ってある。
「びっくりしたかい?これが魔法の力さ。
さぁ、晩御飯の準備を手伝ってくれるかな。」
魔法の力…。俺の知らない力に少し羨ましくなってしまった一日だった。
不思議な夢を見た後は、大体Diary を手に持って寝ている。特別な効果でもあるのか。
どうやら一番最初に起きたらしい。
朝の光が暖かく、まぶし…。え?ここって森の奥地だよな?何で…。
窓を見たが、まぶし過ぎて外の様子が全く見れなかった。
何事もなかったかのように振り返ると、顔に何かが当たった。結構痛い。
「おはよう。君、一番遅かったじゃないか。」
は?何言ってるんだ。さっきまで寝てたじゃんか…。
俺がふてくされてると、スクルドは、「ごめんごめん、そんなに怒らなくても…。ちょっと違う時間に送っただけだってば。」
え。違う時間?
「冒険に出る前に、魔法の腕を試したかったんだ。時空転送魔法だよ。これを使うのはいつぶりだったか…。」
どうして俺が。なんて怒ってると、スクルドの後ろから、少女が顔をひょこっと出した。こちらに手を振っている。俺も手をふり返した。
「さ。君も早く準備して、行こうか。」
準備…する事ないんだが。
「…そうだね…。えーと、これ持ってくかい?」
手渡されたのは、ちょっと大きめのポシェットと、小さいナイフだった。俺、ナイフ振れないんだけど…。
スクルドはそんなことは気にせず、扉の前まで行っていた。が。後ろをついていた少女に不思議な言葉を投げかける。
「あれ?君も行くのかい?」
え?行くんじゃなかったのか?
「君みたいなか弱い女の子が外へ出ては危険だからね。」
…そうか?君がいるからこそ冒険が成り立ってもいいと思うけど。
とりあえず、少女をかばうようにして、スクルドの前にたった。
「この子を行かせるつもりかい?この世界では、そんなに人数もいらないし。大体、君たちは何かできるのかい?」
何か。何かか。視線を反らすと、少女がDiary を持っていた。俺もポシェットから取り出し、二人で目の前に突き出した。
「…これ、日記帳じゃないか。冒険の記録でもするのかい。でも…。まぁ、いいか。それだけの勇気があることはよくわかったよ。」
スクルドが扉を開けてくれた。
初めて外へ出る。こんなに気持ちが晴れたことはないだろう。
そして、スクルドは何かを取り出した。二人でワクワクしながら見ていると、なんと、木の棒だった。スクルド曰く、魔法の杖らしい。思っていたより小さいんだなぁ、と見ていると、何かを唱え始めた。
次の瞬間、二人の笑顔が消えた。さっきまでいた家が燃やされたのだ。
「炎の魔法さ。魔物が家に寄って集れると困るからね。」
燃え広がる炎は、どこかで見た美しい赤に染まっていた。
感動して見ていると、スクルドと少女は俺の手をとって、走り出した。
「もたもたしてると、炎に呑まれるし、魔物も寄って来るよ。急いでこの森を出よう。」
走った。
とにかく走った。
この森は、風に揺らされ、唸っている。ここの木々は、生きているようだった。
どこかの森とは違って。
▽
そして、気づくと、森を抜けていた。風に乗って、駆け抜けたような爽快感だった。
「僕が後ろから風魔法で押したから、あまり疲れてないと思うけど…。大丈夫?」
そういえば、あまり疲れてない気がする。あと本当に風に乗ってたんだな。俺。
少女は少し息があがっている。いきなりこんな走ったら、そりゃあ息があがるよな。
「さて。ここから君の落とし物の地点まで今すぐ行きたいとこだけど…。もう日が落ちてきたね。ここらで野宿しようか。」
野宿。森を出てすぐ野宿とは…。
あと、さっきから隣が異様に明るい気がする。見ると少女が、さっきまでの疲れきった顔がなかったかのように目を光らせている。楽しみなのか。野宿が。
はっとして、前を向くと、野宿の準備ができていた。寝床まで作ってある。
「びっくりしたかい?これが魔法の力さ。
さぁ、晩御飯の準備を手伝ってくれるかな。」
魔法の力…。俺の知らない力に少し羨ましくなってしまった一日だった。
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