異世界に転移しちゃったよ〜鬼の力で異世界無双〜

guju

五龍会

「いらっしゃいませ、お席へご案内致します」

掃除の後、接客を叩き込まれた俺は夕方過ぎから人で溢れるこの店でボーイの仕事を行っていた。

キャバクラが繁盛するには些か時間が早いように思えるが、この世界ではこれが通常だそうだ。

「おいこらァ! さっさと酒もってこいや! 」

突然上げられた怒声に驚いた客達が話をやめ、急に静まりかえる。
裏で酒を用意していた俺は、何事かと駆けつけてみればガタイのいい男共3人が女達の肩に手を回し、机に足を乗せた随分な態度で1人のボーイを怒鳴り散らしていた。

「おい、さっさと酒持ってこんかい」
「で、ですから……お客様がご所望の物は先程売り切れました……」
「あぁ? 不快だ! 不快だよなぁ、お前ら! 」

「えぇ、不快ですよ兄貴! 」
「俺もっす。こんなに不快にさせられる店、無いですよ! 」

ニヤニヤと笑いながら、付いている女を嫌がっているのにも関わらず、ベタベタと触る。
ボーイは強そうな3人にすっかり怯み、生まれたての子鹿のように足をプルプルと震わせている。

(仕方ないか……)

一応、仕事を請け負った身だ。ボーイなのだから店の女を守るのも仕事のうちだろうとその男達に話しかけた。

「お客様、当店では執拗なボディータッチはお断りしています。それに、ほかのお客様のご迷惑になりますので声を荒らげる行為は御遠慮願います」
「あぁ? 俺達は客だぞ! 神様だぞ?  」

お客様は神様か……恐らくこれも誰かかま広めたのだろう。
たまたま偶然日本人と考え方が同じで、名前も同じなんてあるわけが無いのだから。

「お客様は神様ですか……」
「あぁ、そうだ。分かったらさっさとしろ! 」
「では、神様……ほかの神様方のご迷惑になりますので退店を願います」
「なっ……」

男は驚いた。
恐らく、自らに反抗してくるようなやつは今までいなかったのだろう。
その厳つい見た目で脅してきたのだろう。

だが、それにも動じない態度と、ぐうの音も出ない返しをされた。
その事に驚いたに違いない。

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