HERO KILLER

ノベルバユーザー316750

一話 とりあえずの舞台設定

ゲートを越えてから矢田部翔と本舘ノエルを始末した張本人、清水幸利は今回の仕事の疲労感を感じ、ため息を付いた。
「あーつっかれた」
そう言って右腕を上げ、口しか見えないほど深く被ったフードを下げた。そこには、整った顔立ちをしているのだが目は死んだ魚どころか死んで腐敗した魚の目であり不吉なことが起こる予感がする。その上髪は癖毛であちらこちらに向いている。ある人にとってはあのキャラでを連想するであろう。そんな彼はそのまま家に帰り、スマ〇ラをしながらベッドで意識を手放したい衝動に駆られたが、まだやることがあるので思考回路を変換し本部でやることについて考え始めた。
「おう兄ちゃん、相変わらず世界の終わりのような目をしてるな。そんままだと一生モテないぜ」
「こんな目ですまないな。あと俺はモテる気なんてない」
「全く強がりやがって。ちゃんと身なり整えばラブレター十通は届くぜ」
「何でそんなめんどくさいイベントに巻き込まくちゃいけないんだよ。それにお前だって七股してしかも三人は人妻だったじゃねぇか」
「ガァーハッハッハ!!女は良いぞぉー。どんな奴でも一発やれば気持ちいい」
「俺はあんたの言動が気持ち悪い」
「フッ、男のお前には言われたくない」
「・・・女だったら良いのかよ」
そんな感じで顔馴染みのゲートの清掃員と軽い会話をしながら、自動販売機で天然水を購入する。
「しかし、今回はどうだったか?この様子だと、なんかいつもより違うのがある、て感じだな」
「・・・お前よくわかったな」
「これでも清掃員二十年だからな」
「まぁそうだな。実はな、今回の仕事は本来一人のはずなんだけど、実は二人いたんだ。しかも何故か強かったから能力使ってなければ制限時間内に終われなかったな」
「それって、もしや──」
「ああ、どこからか妨害されている可能性があることだ」
「・・・なるほど、道理で最近あいつらの発見が遅くなってる上に、強くなっているのか」
「そのため、さっき天草に調査を以来している」
「まぁ、良い結果が来るのを期待してるよ」
「俺もだよ。じゃあな」
そう言ってポケットに入れている錠剤を口に含み、先ほど買った天然水で呑みこみ出口に足を運ばせるのだった。





この物語の舞台を語るには、まずは全世界の仕組みについて語るとしよう。君たちは、『異世界』て聞くと何を思い浮かべるのだろう?ほとんどがファンタジー世界を考えたと思う。実際、そうググるとほとんどファンタジー世界だ。だが、『異世界』はそんな狭い意味ではなく空想世界全体のことを差す。だから某空気清浄機を手に入れるために戦艦を改造して宇宙を飛び出す物語や、某七つの玉を集める物語も『異世界』と呼べるのである。だからってすべての二次元が『異世界』という訳ではない。少女漫画なんかほとんど似ている物が多い。そういう複数の共通する部分が重なる世界を『平行世界』と呼ばれている。しかも、様々な特徴を持つ『異世界』や『平行世界』は確かに存在する。その証拠の中に、神隠しや、タイムトラベルなど数々の実例がある。とまぁ難しくなってしまったがここでこの物語に直結することを話そう。今、君たちがいる世界は『A0世界』と表記されている(ちなみに、『異世界』でのレベルをA~Zとし、『平行世界』の番号を数字に置き換えられている。Zに近ければ近いほどファンタジーが増していく)。そして、矢田部達がいた世界は『M563世界』と表記されている。こんな風に、数多くある世界の組分けはこんな感じに分けているのだ。そして今、清水幸利がいる世界は、『00世界』という、全世界の頂点に位置する世界にいるのである。
その『00世界』は、ある問題に直面していた。全世界の頂点にいるこの世界はもちろんのこと、全世界の管理を行う、異世界管理局。その主な仕事は別次元に繋がるワープホールの監視、そしてワープホールに巻き込まれた生物の始末である。ワープホールを通るとき、通った物体は凄まじいエネルギーを保有する。その量は保有した物体の運命ですら変えてしまうほどである。しかし保有する物体そのものにその莫大なエネルギーを操ることは出来ない。そして制御しきれないエネルギーは世界そのものを壊しにかかる。その結果起こることはその世界の消滅、そしてその影響を受け、周りの世界も崩壊する連鎖が起こる。しかも最近、その被害が深刻化し始めている。そのため異世界管理局は最初は始末せず、無理矢理にでも元の世界に帰らせる方針をとっていた。しかし転移者、転生者の抵抗は凄まじく、こっちにも被害が出てきた。そのため、転移者、転生者を全力で始末し、何がなんでも元の世界に帰らせる方針へと変えた。こうして、異世界管理局の皆さんは今日も仕事に没頭するのだった。




そんなことを考えながら、清水幸利はゆっくり本部へ足を進め、ついに自分の部署の前、【56部隊】に到着した。
(あぁーやっと着いた。とりあえず酒一杯飲むか)
そんなことを考えながらドアノブに手をかけドアを開け


飛んできたゲームの攻略ブックに頭をぶつけ、一瞬にして意識が消えるのだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品