異世界転移した代償に生殖器を失った俺がツンデレ女と旅に出る。

I.G

二十六話 モンスター討伐3

「あ、零次さん、帰ってきまし
た。」


「おお、それは良かった。
急に部屋からいなくなってしまった
から心配したよ。」


マイルの家に帰ると部屋からいなく
なっていた零次を心配するバルと
マイルが迎えてくれた。


「すみません。勝手に……少し
モンスターについての情報集めをして
いて。」


「ほう……君は偉いね。見た感じ
歳も私の妹とそれほど離れて
いないようなのに。
それで何か得られたかい?」


「はい、役に立つかわかりませ
んが。」


「そうか。まあ中に入ってくれ。
今からちょうど君の主さんと
作戦会議を開くとこだったんだ。」


零次は言われるがまま、バルの後
について行く。


「も、もしかしてレビィさん、
怒ってます? 俺が黙って居なく
なったこと……。」


聞くとバルは零次の方を見て
気の毒そうに言った。


「だ、大丈夫。私達がついてるさ。」


苦笑いで必死に励ますバルの顔から
レビィにこれからきつい説教をくらう
未来を、零次は予期したのだった。




長い説教を終え、マイル、バル、零次
そしてレビィが食卓を囲む。
時刻はちょうど夕食時だった。


「俺が知り得た情報は以上です。」


先程聞き込みをした情報を零次は
他の三人に知らせる。


「ボスは魔法を使う……ね。」


レビィもまた零次が最も重視すべき
と思ったことに着眼点を置く。


「なら私だけで全滅させるというのも
少し無理がありそうね。
零次、あんたも魔法で戦うかも知れ
ないってこと一応頭に入れとき
なさいよ?」


「わ、わかりました。」



「そういえば零次君は一体どんな魔法を
使うんだい?」


「俺はまだそんなに使い慣れて
いませんが消滅魔法です。」


「消滅魔法……聞いたことが無いな。
ものすごく珍しい能力なのかも
しれない。」


「バルさんとマイルさんは?」


「私かい? 私は風魔法。
マイルは反射魔法だよ。」


「反射魔法?」


零次はマイルの方を見る。


「は、はい。物質だけに限られますが
岩とか突進してきた動物、人も跳ね
飛ばす事が出来ます。」


「カウンターみたいなものね。
いいじゃない。貴方達二人共、
正直道案内役だとしか考えていなかった
けど十分闘えるのね。」


「レビィさん、少し失礼ですよ、
言い方。俺達助けてもらったのに。」


零次は二人に聞こえぬようレビィに
注意する。
すると、レビィはふんっとそっぽを
向いた。
その一連の流れを見てマイルと
バルは苦笑いをするだけだった。


「でも、この間のレビィさんの
戦ってる姿すごかったです。」


機嫌を損ねたレビィをなだすためか、
はたまた本当にすごかったのか、
マイルはレビィを褒める。


「あんなたくさんのモンスターを
剣だけで全滅させるなんて
びっくりしちゃいました!」


それは零次が気を失っている
時のこと。
村に五、六体ほどの
襲撃してきたナノモンキーに対し、
村人が持ってきた剣でそれら
全てを全滅させたのだった。


「一体レビィさんはどんな魔法を
使ったんですか?」


「あの時は身体強化魔法だったわね。」


「身体強化魔法?」


「一定時間、脚力、腕力とか体中が
強化される? って言えばいいのか
しら……この魔法を使えば攻撃を
受けても体はびくともしないし
結構便利ね。」


「それはなんとも頼もしいですね。」


兄弟揃ってレビィを褒めまくる。
自分よりも彼らの方がレビィの
扱い方がうまいかもしれない。
と、心の中で零次は思っていた。


「そういえば、前々から気になって
いたんですけどレビィさんって
他にどんな魔法が使えるんですか?」


「前、あんたに見せた治癒魔法と
操作魔法、あとはノーマルアビリティ
だったらほとんど使えるわね。」


その言葉を聞いて驚いたのは零次では
なくマイルとバルだった。


「え!? レビィ君は魔法を
そんなに使えるのかい!?」


見れば二人はまるで幽霊でも見たかの 
ような顔をしていた。


「ど、どうしたんですか?
そんなに驚いて。」


「ど、どうしてって零次さん!
魔法が二つ以上使えるんですよ?
おかしいと思いませんか?」


マイルの言葉を聞いてそうなんですか?
と尋ねようとするとレビィは
なんともめんどくさそうな表情を
浮かべていた。


「ああっもう。これ話すといっつも
こうなるのよね。」


「すごいことなんですか? 
レビィさん?」


「……普通、人間が使える魔法は
一つだけなのよ。
実際私が出会って来た人みんな
一つの魔法しか使えなかったし。
それに別世界から召喚したあんたも
一つだけみたいだし。
まあすごいことっちゃすごいことなんだ
けど。
こうも毎回驚かれちゃ、めんどくさく
てたまんないわ。」


「どうしてそんなに使えるんです?」


「知らないわよ。そんなの。
魔法書に載ってある魔法を
試してみたら使えたのよ。
流石に、シークレット魔法は一つ
だけだったけどね。」


これを聞いた一同はこの不思議な
事実を受け止めるだけだった。


「それより、私の事より
作戦の事を話さないと行けないん
じゃないの?」



「そ、そうだね。
それじゃあ、先程レビィ君から
提案された明日の朝出発
というのに誰か異論はあるかい?」


バルは三人の顔を見回す。



「それでは出発は明日の朝で決ま
りだね。」


「もう場所も分かっているんで
すよね?」


「その事については問題ないよ。
距離も半日程度で着くからね。
食料の準備さえ怠らなければあ
大丈夫さ。
ナノモンキーの討伐は
ほとんどがレビィ君任せになって
しまうかもしれないがそこは大丈夫
かい?」


「ええ、問題ないわ。」


「では、明日も早いことだし
詳しいことはそこに向かう道中
言うとしよう。
レビィ君と零次君も
今日はゆっくり休んでいってくれ。」


「助かります。」


そして、作戦会議はお開きとなり、
待ってましたと言わんばかりに
マイルの母が料理を運んできた。
零次とレビィはそれを腹の中へと
流し込んでいくようにガツガツ
食べる。
その時レビィは静かな声で零次に
言った。


「零次。」


「はい?」


「モンスターを前にしても決して
躊躇っては駄目よ。
それが命取りになるわ。」


「……わかりました。」


二人は再び食べ物を口に運ぶ。


二人が迷い込んだこの村の空には 
綺麗な星が光輝いていた。

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