異世界転移した代償に生殖器を失った俺がツンデレ女と旅に出る。

I.G

二十三話 幻の村2

暗闇の中からの小さな光が見える。
それはどんどん大きくなり、
俺の視界を覆い尽くす。
その光の眩しさに耐えられなくなり、
俺は目を覚ました。


「……っ!? ここは……。」


「あ! 良かった。目を覚ましまし
た。」


「マイルさん…?」


壁は木で作られ、合わせて三つの
外から光が差し込んでいる窓がある。
その一つの窓から差し込む光に
よって零次は目を覚ました。


「本当かい!? あー、良かった。」


マイルは零次が目を覚ましたのを
見ると、すぐさま部屋の奥に行き
ぞろぞろと何人か連れてきた。
その中に零次が先程ふっ飛ばした
青年も心底安心したかのように
声を溢す。


「あのここはどこなんですか?」


「あぁっ、すぐに起き上がらないで
いいよ。まだ意識を取り戻したばかり
なんだから。 
ここは私の家だよ。」


「私の兄のバルです。」


マイルは青年の方を手で示す。


「てことはここはマイルさんと
そのご家族の家なんですね。」


マイルと青年であるバルの後ろに
いる父親らしき人と零次は
目が合う。
すると彼はにこやかに零次に微笑ん
だ。零次はペコッと頭を下げる。
彼の他にも小さな子供や老婆が一人
そして母親らしき人も湯気が出ている 
お椀を手に持ちながら現れた。


「目が覚めたんだってね。体調は
どうだい? 食欲あるんだったら
これ食べなさい。」


「あ、ありがとうございます。
いただきます。」


そう言って零次は温かいスープを
一口一口すすっていく。


「ほら! そんなに皆で見てたら
ゆっくり休めないだろ?
それじゃ、マイル、バル、
後のことはお願いね。」


母親達はマイルとバルだけを置いて
部屋を出ていった。


「すみません。看病してもらった
うえに、こんな美味しい物も頂
いて。」


「いいよ。いいよ。長旅で疲れてるん
だろ? それを食べたらまたゆっくり
休むといい。」


零次はバルの言葉を聞き、マイルの
方を見る。
マイルも父親同様、ニコッと微笑む。


「……そういえば、レビィさんは!?」


「あぁ、彼女ならもうすでに
目を覚ましているよ。
今この村をぶらぶらしてるんじゃな
いかな。 
それじゃあ私が彼女を呼びに
言ってくるから少し待ってて。」


バルもまたそう言って部屋をあとに
する。


「優しい人たちですね、
マイルさんの家族の人。
本当に助かりましたよ。
マイルさんにも会えてなかったら
俺たち今頃、霧の中で餓死にして
たかもしれません。
本当にありがとうございます。」


優しい人にはそれ以上の優しさを
返す。それが零次のモットーだ。
その信念にそぐわぬよう、何度も
零次はマイルにお礼を言う。


「そんなにかしこまらなくても
いいですよ。
それに、実は零次さんとレビィさん
を助けたのは何もただの親切だけ
では無くて、あるお願いがあった
からなんです。」


「お願い? それはどんな」


「零次っ!?」


バルに呼び戻されて帰って来た
レビィは走って来たのか、少し
息を荒くして部屋に入って来た。


「レビィさん! ど、どうしたんです
か? そんなに慌てて。」


「どうしたってあんた、一体何日寝てた
と思ってんのよ!」


「え? 俺ってそんなに寝てたんです
か?」


零次はマイルの方を向く。


「四日ほど。」


マイルは少し苦笑いしながら答えた。


「四日!?」


「はぁ………。」


先程まで生死をさまよっていた事に
ようやく気づいた零次のバカさかげん
に呆れ、レビィはため息をつく。


「すみません。レビィさん……。
心配かけちゃって……。」


「べ、別に心配なんかっ。
そ、それよりほらマイル、
貴方、私たちに説明しないといけない
ことがあるんでしょ!?」


「そうでした! では、零次さんも
目を覚ましたことですし、本題に入り
ましょう。」



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