異世界転移した代償に生殖器を失った俺がツンデレ女と旅に出る。

I.G

二十二話 幻の村

「あああぁぁぁ!!!」

森の中を男の声がこだまする。


「速い! 速すぎる!
し、死ぬぅぅぅ!」


垂直落下をし、恐怖のどん底に落とされ
た零次にとどめを刺すかのように
猛スピードで滑り台を滑って行く。

周りの綺麗な森の景色など眺める
余裕はなく、意識を保つだけで零次
は精一杯だった。
だが、その恐怖も一瞬の事。


「はぁ……はぁ……つ、着いた……。」

零次は滑り台を最後まで滑り切る
事ができた。


「……きれい……。」

まるで、恐怖に耐えた者たちへの
ご褒美かのように零次の前には
美しい村があった。
空からは木漏れ日がキラキラその村を
照らし、ツリーハウスのような物を
木の枝と枝に抱えた大きな木が何本
ある。
村の周りは色鮮やかな花が丁寧に手
入れをされて、規則正しく育ち、
魚達の泳ぐ姿が露わになった透明な
湖が村の中心にあった。

その村は秘境という名に相応しいほど
神様が作った庭のようだった。

そんな村から零次の悲鳴を聞いて
外を確認しに来たのか、
一人、また一人と村の者が家から 
出てくる。


「おやおや、これは珍しい。
モンスター以外の来客は久しぶりだ。」


その村の住民の中から髪が肩まで伸び
た美しい青年が零次に話しかける。


「え、いやあの、そのぉ……。」


零次は先程の急降下滑り台でまだ
足に力が入らず、立つことができなか
った。
すると、その青年はにっこり笑いなが
ら零次に手を差し伸べる。


「あ、すみません。ありがとう
ございま」


零次が親切な彼の手を取ろうとした
瞬間。


「キャーーーー!!!」


滑り台から女性の悲鳴が聞こえる。


あ、しまった。レビィさんが……。


そう気づいた時にはもう遅かった。


滑り台から悲鳴を上げ、レビィは
終着地点にまだ座っていた零次の
方に直進してくる。
そして、激突した。

「ゴハァッ!!」


零次は、そのまま青年の方に飛ばされ
る。


「ドッハァッ!」


青年も流れるように飛ばされる。


レビィ、零次、そして青年は
地面の上で気絶してしまった。


そんな三人を見てどよめく村に
マルナが到着し、その現状を見て


「えぇぇぇぇぇ!?」

と叫ぶのだった。


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