異世界転移した代償に生殖器を失った俺がツンデレ女と旅に出る。

I.G

十九話 妖精の道標1

「あっーー!!」


突如、穴の中で男の叫び声が上がる。


「っ!!? って零次……目が覚めたの
ね。」


先程まで気を失い、地面に伸びていた
零次は怖い夢でも見たのか、目覚める
と同時に叫び声を上げた。


「レ、レビィさん!? ……そうだ!
さっき俺の前に殺人鬼が!
危ないですよここ。
早くにげないとって……
ぅあーー!! 出たっ!」


零次は目の前に立っている
少女を目にし、何度も叫び声を
上げる。
その声を聞くたびにその少女は
ひっ! と言いながら後ずさりする。
そんな二人をレビィは面倒くさそう
に見ていた。


「あーもう! うるさいわよ!
零次!
こんな声が響くとこでギャーギャー
喚かないで!
この女の子は別に悪いやつじゃ
ないから一旦落ち着きなさい。」


「…へ? そうなん…ですか…。
よ、よかった。てっきりこんな
人がいなさそうなところにいるから
殺人鬼かなんかかと思いましたよ…。」


「殺人鬼…?」


殺人鬼呼ばわりされたその少女は
少し傷ついたように肩を落とす。


「あっ! す、すみません! 変な事
言っちゃって。」


「い、いえこちらこそ気を失わせちゃ
うくらい怖い思いをさせちゃって
ごめんなさい!」


零次の謝罪にペコリと頭を下げる。
少女の謝罪を受け取ると、零次は
服に付いた砂をパタパタはたきながら
腰を上げる。


「失礼ですが、お名前は?」


「マルナです。貴方は?」


「零次です。児時零次。あ、この人は
レビィさんで」


「あ、大丈夫です。先程少し
お話をしたので。」


そうなんですか? と零次は
レビィの方を振り向く。レビィは
体を壁につけて腕を組みながら
えぇと返事をした。


「それで…零次さんにもお願い
があるんですけど…。」


「マルナ。ここからは私が話すから
いいわ。それより先に貴方の村に
行きましょ。私達、ここ最近何も
口にしてないから腹がペコペコよ。」


「それは大変! それじゃ、案内
しますので付いてきてください。」


そう言われ俺は何も分からぬまま
マルナという少女の後に付いていく
だけだった。
木の中にあった穴は当然と言えば
当然だが、すぐに出ることができた。
穴を抜けた先は俺とレビィさんが
通って来た霧の濃い世界とはまるで
違い、見たことも無い馬鹿でかい木
が何本も生え、空からは太陽の光が
木々の葉っぱの隙間からまるで
一本の糸のように光り輝きながら、
地面に生えた花や草たちにたれていた。


「綺麗…。」


レビィさんはその光る森の中を進み
ながら、呟いていた。


「レビィさん、零次さん。ここから
は滑りやすいので気をつけてくださ
い。」


そう言いながらまるで飛んでるかの
ように、倒れてる木の上を進んでゆく。
二人は置いていかれないように、
後を追いかけて行った。




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