異世界転移した代償に生殖器を失った俺がツンデレ女と旅に出る。

I.G

十八話 お願い

俺は足跡を発見したとき背筋が凍るの
を感じた。どうしてかと聞かれれば
その足跡が変だと思ったからだった。
四足方向のモンスターや動物の物では
なく、それは人のだと見た瞬間分かっ
た。
しかし、ここに来る途中には人の
住んでる形跡はなく、この辺りは霧が
濃くてとても人が住んでるとは思えなか
った。
さらに、おかしなところはその足跡の
数だった。一つや二つでは無い。
百?いやそれ以上かもしれない足跡
が穴の地面をまるで、模様のように
埋め尽くしていた。


零次は考えれば考えるほど増えていく
謎よりも先にレビィを呼ぶべきだと
判断し、穴の入口に戻ろうとした。
その時だった。
足音が聞こえる。それは穴の奥から
零次の方に。決して速くは無かったが
零次を怯えさせるには十分だった。
恐怖で腰が抜ける。だが、足音は
着々と零次の方に向かってきていた。


「…」


零次は無意味だがせめてもの抵抗として
息を殺してジッとしていた。
そして、その正体は姿を現した。


「ぎゃあーーーっ!!!」


穴の中から零次の悲鳴を聞くやいなや
レビィは穴の中へと駆け込んでいった。


「だ、大丈夫ですか?」


レビィがちょうど気を失い倒れ込んで
しまった零次を視界に入れた時、
謎の少女が倒れた零次を介抱していた。
髪は山葵色。目は髪よりも濃ゆい真緑。
まるで妖精のような羽の生えた茶色
と緑の服を着ている。
一言で表現するなら森の妖精のような
姿をしていた。
すると、レビィに気づいたのか少し悲鳴
を上げ、後ずさりしようとする。


「待ちなさい!」


レビィはその謎の少女を逃がすまいと
すぐさま操作魔法を使う。


「えっ!? か、体が動かないっ!」


「貴方、何者?
零次に何をしたの!?」


怯えて若干涙を浮かべるその少女に
対して、容赦なく質問をする。


「な、何もしてません!
この人が私を見てびっくりして気を
失っちゃったんです!」


「じゃあ貴方は一体ここで何をしてた
の?」


「パ、パサル村からチルケ山に苦臭草を
取りに。」


「パサル村? 聞いたことないわね。
そこは貴方が住んでる村なの?」


「はい。私が来た道を真っ直ぐ進めば
あります。」


足を震わしながらも質問に答える
彼女をレビィは信じたのか操作魔法を
解いた。


「悪かったわ。急に魔法なんか使って。」


「い、いえ。私こそ、旅の連れを怖がら
せてしまって。」


「いいのよ。そいつが腰抜けなのが
悪いのよ。全く…。ほら、早く起きなさ
い。」


レビィは地面に伸びた零次の顔をペシ
ペシと叩く。
その様子を少女はレビィの服装に
注目しながら見ていた。


「あ、あの! もしかして冒険者の方
ですか?」


突如、意を決したかのように少女が
言った。


「え、えぇ…。」


「ならモンスターとかも倒せたり
できますか!?」


「まあ、それくらいわ…。」


いきなり、訳の分からぬ事を聞かれ
困惑するレビィをその少女は
キラキラした目で見つめる。


「じ、実はお願いがあるんです!!」

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