異世界転移した代償に生殖器を失った俺がツンデレ女と旅に出る。

I.G

十五話 漂流

波の音が聞こえる。あと、塩の匂いがす
る。少年は普段とは違う周りの音と匂い
によって目を覚ます。


ん…。そうか。俺、異世界に来てたんだ。
そして、このレビィさんと今旅をしてる。


旅の疲れがまだとれてないのか、重い体
にむちをうち、体を起こす。未だ寝ぼけ
てる意識で辺りの状況を把握する。


海か、随分寝てたのかな…。それにしても
レビィさんはまだ寝てるし。いいのかな
起こさなくて。もう海についてるけど…
でも起こしらキレられそうだしな…。
ところで、どのくらい流されて…!?


後方をも振り返った零次はぞっとする。
後方どころかどこにも大陸が見えないの
だった。


「えーーーっ!!?」


「何よ…うっさいわね…。」


ここでようやく零次は自分達が海に長い
時間流されたことに気づき、驚きの声を
あげる。


「レ、レビィさん!? 
起きてください!やばいです!
眠ってる間に結構俺たち
海に流されてます!」


「はぁ!?
あんたもなんで寝てたのよ!?」


すみませんと謝罪する零次に目も向け
ず、飛び起きたレビィは周囲の状況を確
認する。
そしてすぐにレビィは事前にボートに乗
せていたリュックの中から地図をも取り
出す。
零次はレビィが懸命に見ている地図を覗
き込む。


「なんだ…大丈夫よ、心配ないわ。」


冷や汗を流していたレビィは現在位置が
把握できたのか、安心した様子で言う。


「全く…あんたってホントにダメだわ。」


難が去った途端にレビィは零次に侮蔑の
声をかける。


「す、すみません…。」


零次は叱られシュンとなる。


「…まあいいわ。それにいい機会だから
この大陸の地形を教えるわ。」


少し、言い過ぎてしまったのをレビィは
悟りすぐさま別の話に移行する。


そう言ってレビィは零次の前に先程の大
陸の地図を開き、ボートの床に敷いた。
 


横に伸びた長方形の形で海に地を構える
カーマ大陸。そのカーマ大陸を占める
サルテナと呼ばれる国があり、さらに
それを二つの地区に分けるようにカーマ
大陸の中央部に位置し、右から左へと連
なるゴルマ山脈が存在する。
その地に住む者はゴルマ山脈の下地区を
オーマ地方、上地区をトーマ地方と呼
ぶ。
オーマ地方には闇の森と呼ばれた人の寄
り付かない森林がある。その森林をその
まま上に進むとワンブと呼ばれ、
オーマで最も賑わいをみせる街が存在す
る。
さらにそのまま上に行くと人を通さぬ
ゴルマ山脈が壁の如くトーマへの道を塞
ぐ。
ゴーマ山脈の周辺にはいくつもの川が
存在し、その一つの川に沿って下ると
コートベルと呼ばれる港町がある。
その街が唯一トーマ地方とオーマ地方、
どちらにも位置し、人々を二つの地区へ
と行き来させられる場所だった。
しかし、そのコートベルを通り過ぎ、海
へと長時間流されてしまった二人は現在
に至る。


「まあ、今の私達がいるところはこの辺
りかしら。」 


レビィはコートベルから10時の方向の海
を指差す。


「北上してませんか?」


「そうよ。コートベルの海は日によって
北上したり、南下したりする海流が流れ
てるのよ。そして今は北上してるわ。」


「そんなのどうして分かるんですか?」


「これよ。」


レビィは開いた地図の右上の端に針の付
いた方位磁石らしき物をも指差す。


「なんです?これ。」


「この針はオルサを示すのよ。だから
この針の向きさせ見れば自分の現在地が
わかるってわけ。」


零次はまだその針が信用できないのか、
生半可な返事を返すだけだった。


「何よ?
私の言ってることが信用できないの?」


「いえいえ!
そんな事とあるはずがないです!」


「いいわよ、どうせ何日かしたらトーマ
地方に着くから。」


北上した船はまるで大陸に誘われるように
潮の流れで、トーマ地方に漂着する。


それを知っているレビィは不安がってる
零次をほっといて再び寝るのだった。

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