異世界転移した代償に生殖器を失った俺がツンデレ女と旅に出る。

I.G

十二話 正体

空に浮かぶ島オルサ。その中心部に周辺
一帯を一目で見渡せるほどの高さを持つ
一つの施設が建っていた。その施設の最
上階に 位置する部屋に男が一人、外の 
景色を眺めながら物思いにふけていた。


「帰ったかね。」


部屋の内部が光に満ち、それと同時にそ
こに女が現れた。男はそれを把握してた
かのように一言で彼女を迎えた。


「それでどうだったね? 彼女らの様子 は。」


「レビィはワンブの街にいたよ。ロニー
の言ったとおり。あと、君が知りたがっ
てた事も分かった。」


ロニーと呼ばれた男は、そうかと呟き再
び外の景色に目をやる。それはまるで遠
くを見るように。


「ご苦労だったね。話は後で聞こう。
もう戻っていいよ、アンナ。」


「りょ〜か〜い。」





「あーぁ、もう最悪だわ!」

心地よい風、太陽の光を反射し光り輝く
川、まるで揺り籠のように揺れるボー
ト、そしてそれらに似合わぬ愚痴。主に
この四つが俺の周りに今ある。


俺はワンブという街でアンナさんという
謎の女性と出会った。そこでいきなり殺
されかけた俺は覚えたての消滅魔法を使
い、難を逃れたのだった。しかし、それ
によって街の規則を破った俺は街を追い
出される事となった。
その時
「レビィさんは街の規則に反して無いん
ですから街に残ってやりたかった事を済
ましてください。その間俺は街の外で待
ってますから。」
と言ったのだが、レビィさんは
「あんたは私の奴隷なんだから主人の
私が街に滞在なんてできないわよ。」
と返され結局二人でワンブをあとにした。
途中までは俺が怪我をしたことを気にし
てくれていたのか、特に何も言わなかっ
たのだが旅が長くなるにつれ、レビィさ
んの機嫌はどんどん悪くなりそして今に
至っている。


「ほんと! 何なのよアイツ!
いっつも私の前に現れて!」


ボートの上で二人、逃げ場の無い零次に
向かってグチグチとイライラを口に出し
ていく。流石にその環境に耐えられなく
なったのか、零次は何か別の話をしよう
と試みた。


「そ、そういえばレビィさんはどうして
あの時図書館にいたんですか?」


「そんなのオルサに行くための情報集め
に決まってるじゃない。元々あの街に訪 
れたのもワンブにあるデカイ図書館が目
的だったし。……それをあの女が…!
そういえば、どうしてあんたも図書館に
来たのよ。」


「いや、俺はこの世界の事何も知らない
のでいろいろ学ぼうかなと…それと
レビィさんと同じ理由で。」


「ふーん。」


零次がオルサについての情報を集めよ
うとしていたのが少し嬉しかったのか、
眉間の しわがなくなっていく。それに
気がついた零次はすかさず今一番気にな
っていた事を聞いた。


「あの…その、アンナさんって一体誰な
んですか?」


先ほどまでその女にイライラしていたレ
ビィにこの事を聞くのはどうなんだと少
し躊躇っていたが機嫌が直っている今し
かないと単刀直入に聞く。


「あー、話してなかったわね。あの女、
というか他にもまだいるんだけど、そい
つらは度々私を殺そうとするのよ。」


「それはどうして?」


「そんなの知らないわ。私別に何もして
ないし。でもあいつらはどこまでも追っ
てくる。それから逃げるために私は旅を
してるの。それにね…」


淡々と話すレビィの話を必死に聞いてい
た零次はレビィが一瞬間を置いた事に気
づく。
そして彼女は言った。


「あいつらはオルサの住人らしいのよ。」









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