異世界転移した代償に生殖器を失った俺がツンデレ女と旅に出る。

I.G

十話 謎めいた女


人と人とが行き交い賑わいを見せる街
ワンブ。その街に建てられた図書館に
は今、静けさとは違った雰囲気が漂って
いた。


「ね。何読んでたの?」


「近寄るな!」


レビィの閉じた本に興味を示し、接近し
ようとした謎の女を一瞬の隙も与えず、
即座に操作魔法で動きを封じた。


「うっ…………とっ。もぉ! ひどいな
あ。そんなに警戒しないでよ。」 


「………。」


互いに見つめ合う。その時間は約十秒。

その十秒がレビィのイライラを増加さ
せた。


「アンタたらの狙いはっ……。」


ガチャ。レビィが何かを言おうとした
瞬間、レビィと謎の女、二人しかいなか
った図書館に誰かが入ってきた。


「おぉ……。すごいな…、ここが図書館
か。めちゃくちゃ大きいな…。」


図書館に流れていた雰囲気など知らない
零次は、二人に気づかず早速本を探し始
めた。


「零次……?」
 

レビィはスタスタとこの空気の中、本を
読み始めた零次を見て気が緩んだのか、
うっかりその男の名を呼んでしまった。
しかし、それが失敗であったと気づいた
時はもうすでに遅かった。


「ふ〜ん。あの子が…。」


そう呟くと謎の女性は零次の元に歩み寄
っていった。



あった。これがサルテナの地形が載って
る本か。


俺はその本を手に取って読み始めようと
した。その時、金髪の女性が隣に立って
いるのに気づいた、と同時にその女性が
話かけてきた。


「ねぇねぇ! 君、零次君だよね?」


「え? あぁはい。
そうですけど…どうして俺の名前…。」


陽気に話しかけてくるその女性が何故
自分の名前を知っているのかと困惑する
零次は、目を泳せるとある者を見て止ま
った。


「レビィさん!? どうして…ここに。
てか、この人は? 
あ、レビィさんの知り合いですね?」


謎の女性が自分の名前を知っているのと
レビィがここにいることとで、勝手に解
釈したのか零次はなるほど、とその女性
に対しての不信感を解いていった。


「私の名前はアンナ。よろしくね零次
君。」


はい。よろしくお願いします、と軽く自
己紹介を始める二人を冷や汗を頬に流し
ながらレビィは見ていた。


「零次!!! 早くそいつから離れなさ
い!」


恐らくもうすでに何度も怒鳴られたその
声にビクッと体が反応し、反射的に
はいっ!
と答えた零次はレビィの表情を
確認した。その表情は今まで堂々として
いた女性とは違い、まるで恐怖に怯えて
いる少女のようだった。


「レビィさん? どうしたんですか?
そんな変な顔をして…。」


不思議に思ったその表情はアンナと名乗
った横に立つその女性に対しての物だと
気づいた
零次は、はっとアンナの方を向いた。
アンナは咄嗟にこちらの方を見た男の子
の顔を見て、どうしたの?
と言いながら首を傾ける。
その表情に秘められた不気味な笑みに、
ただならぬ恐怖を零次もま
た感じたのだった。


「ねぇ、どうしたの?そんなに怖がっ
ちゃって二人共。」


「あなたは…レビィさんとどういう関係
なんで」


「零次!!」


再び零次はレビィの方を見る。
 

「早く……!」




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