異世界転移した代償に生殖器を失った俺がツンデレ女と旅に出る。

I.G

七話 旅立ち

「それはね…。オルサというところに
行くことよ。」


風は美しい白髪を撫でるように吹き抜け
る。その風は辺りの木や草をザワザワと
音を出せさせていた。


「オルサ?」
 

「そう。私の生まれた場所。」


「生まれた場所!?
ならわざわざ俺なんかいなくたって一人
でも行けそうな気がしますけど…。」


「まぁその事については後々説明する
わ。今、貴方はその魔法をより強力に使
えるように努力すればいいのよ。じゃ、
さっさ魚捕って来るように。いいわね?」


そう言ってレビィは未だよく理解できて
いない零次を一人置いてそそくさと戻っ
てしまった。




三日後。


「うおっ…重た…。」


「はぁ…。これぐらいでへばってどうする
のよ。」


あれから三日間、俺は旅の食料の為に魚
だけでなく得体の知れない動物達を食料
として捕獲していった。無論、狩りなん
てしたことがなかった俺は動く牛と羊を
混合したような動物を捕獲するために考
え出した方法は動物の手足を消滅させる
というなんとも卑劣な方法だった。しか 
し、その甲斐あってか今では随分と消滅
魔法の使い方に慣れ、食料もバックにも
ぱんぱんに積み込めるほど手に入れるこ
とができた。
ちなみにこのバックは俺が捕まえた動物
の革から作ったものである。縄文時代の
人たちも俺と同じようにこうやって荷物
を入れる袋のような物を作っていたのだ
ろうかと、猿人と似たような格好でこの
三日間を過ごしていた俺は思った。


はぁ…早く服が欲しい。俺がこんな格好
で過ごさなくてはならなくなったのも
元はといえば全てレビィさんの所為な
のだが、


当の本人は荷物の重さにへばっている俺
を見てさも使えないゴミを見るような視
線を俺に送っていた。


「さぁ! 零次、出発するわよ!
早くしなさい!」

レビィの出発を急かす言葉に、零次は荷
物を持ち上げた時の力みで
「ぅあいっ!」と謎の返事を返した。


青々と茂っていた広大な草原は姿を消
し、漠然と広がるだだっ広い荒れ地を二
人は歩いいた。


「レビィさん…。ちなみに…目的地とか
は…あるんですか…?」


荒野を歩くこと4時間、その何も変わら
ぬ風 景に不安を感じたのか零次は疑問
の声を上げた。しかし、返事はない。


「レ、レビィさん…?」


「あー! うるさいわね!
まだ移動して一日足らずでそんな弱音吐
いてんじゃないわよ!」


「す、すみません!」
 

レビィ本人も変わらぬ風景に嫌気が差し、
苛ついた気持ちを零次にぶつけた。
怒鳴られた零次は今度はこれ以上怒らせ
まいとしんと静かになった。
荒野に吹く乾いた風だけがビュービュー
と音を出し、二人はそれ以外何もない気 
まずい空気の中一歩一歩と足を踏み出し
て行った。
その気まずい雰囲気を断ち切ったのは以
外にもレビィだった。


「零次…。」


「はい?」


「まあ、何というかその…。さっきは大
きな声で怒鳴ったりして…いや……わ…わ、悪、悪かっ…たわ。」


え、あのレビィさんが今俺なんかに謝っ
た?


唐突のレビィの予想外な謝罪に対して
困惑してしまった零次は、い、いえ。と
切り出した。


「こちらこそ、まだ出発してそんなに経
っていないのにこんな弱音なんか吐いて
すみませんでした。」


う、うまく謝れただろうか…。まさかレ
ビィさんから謝ってくるなんてびっくり 
した。
でも少し自己中なところはあるかも
だけどやっぱりこの人は悪い人じゃない
んだな。


魔法を使って動物を捕獲するときもいろ
いろとコツも教えてくれたし。



ちなみにレビィが零次に教えた事といえ

 

「もっと動物の足を消滅されることをイ
メージするのよ! バカ!
本当に使えない! どうしてそれができ
ないの! あんた
の存在を私が消滅させてあげるわ!」


と涙目になりながら必死に魔法を使う
零次の横でありとあらゆる暴言を吐いた
事ぐらいだった。


そんなレビィの背中を零次はまた必死に
つい
て行った。


「零次。見てみなさい。あれ。あれが
オルサよ。」


「え? どこです?」


レビィは再び唐突に零次に言った。

零次はレビィの指差す方向を見る。


あれって、山? 
山の頂上付近は雲がかかってよく見えな
いけど。


「レビィさん。オルサってあの山の事で
すか?」

「違うわよ。その山の更に奥にあるの。
よく見なさい。」


更に奥? と言っても雲でよく見え
ない。いや! 雲の中に大きな影?
がある。なんだ? 大きい…。動いて
はいない。でも、空に影ってあるのか?


零次は山の山頂付近に停滞している大き
な雲を目を皿のようにして眺めていた。
すると、
その雲は時間が経つにつれ晴れ始め、
その影の正体が顕になった。


あれは…島!? いや、島が空にあるわ
け…。


「オルサはね。空に浮かぶ島なのよ。」


レビィは零次がその正体を理解したのに
気づき言った。


「空に浮かぶ島って…。しかもこの山より
も何倍も大きいですよ!?」


「そう。だからその存在を確認できても
行くことは困難。いや、不可能と言って
もいいわね。」


オルサの正体に驚きを隠せずにいる零次
をよそにレビィは目に見えるのに手の届
きそうもないその途方もない距離を推し
測るように
ジッと空を眺めていた。


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