異世界転移した代償に生殖器を失った俺がツンデレ女と旅に出る。

I.G

六話 魔法の完成

「レビィさん! レビィさん!」


「なんなのよ? うるさいわね…。」


零次は自分の今おかされている危険な状
況に気が付き、魚を捕るのも忘れレビィ
のもとに駆け寄っていった。


「あんた魚は捕れたの?
あんたが捕れてなかったら私も何も食べ
れないのよ? その重大性がわかる?」


「いえ、…それはもちろん。で、でも今
は俺の体がヤバいんですよ!!」


零次は事細かくレビィに今の状況を伝え
た。


「なるほどね…つまりあんたは、尿を出
すことができず、そのまま膀胱が破裂し
てしまうかもしれないと言うことね。」


「そ、そうです! そうなんです!」


レビィのあまりの理解の速さに零次は
涙を浮かべながら喜んだ。


「なら心配いらないわ。私は治癒魔法
も使えるからあんたの膀胱がもし破裂し
てしまっても治せるわ。はい、これで一
件落着ね。さっさと魚を捕ってきなさ
い。」


「えっ!? 嫌ですよ!膀胱が破裂するま
で我慢するなんて。
それにそんなの毎回
してたらもう死にたくなりますよ!」


「あーもう…うるさいわね。しょうがな
いでしょ!? 他に対処法もないんだ
から…。
いや…ある! あるわ! 零次。よく
聞きなさい。」


そう言ってレビィは零次にその対処法を
説明した。


「ほ、ホントに…やるんですか?この方
法で…。もし失敗したら…。」


「大丈夫よ。もし失敗しても私が治す
わ。さぁ早く!」


ホントにするのか。こんな事…。
レビィさんが提案した方法は正気の沙汰
ではなかった。その方法は俺が先ほど使
えるようになった消滅魔法で膀胱に溜ま
ってる尿を消すということだった。もし
間違えて別の場所を消滅させたら…。不
安が頭を過る。


「レビィさん…。少し消滅魔法を練習し
てもいいですか?だって、ほらようやく
さっき木の一部を消せるようになったの
に、体の中にある液体を消すなんていき
なりそんな無理ですよ…。」


「練習? まぁ好きにすれば。
貴方の体だしね」



零次は再び川に戻り練習の準備を始め
た。


体の液体を消すんだからまずは目に見え
る液体を消滅できるようにならないと…。


流れる川は太陽の光を反射してキラキラ
と光輝いていた。零次はその水の中に手
をかざし、魔法を使った。それは以外に
も簡単だった。流れる水が零次のかざし
た手の真下に来ると途端に消滅していっ
た。それはまるで手の下に水の穴ができ
たような状況だった。


イメージしやすい。岩や木よりも。水は
臭いがないけど、水の冷たさや感触は触
れればすぐに分かる。


「よし次だっ!」


そう言うと零次は破けた自分の服を使い
川の水をすくい上げ、服の中に入ってい
る水を消滅しようと試みた。
しかし、何度やっても服に穴が開くばか
り、水をすくう服も最後になった頃だっ
た。


まいったな…。これで最後か…。どうもこ
の布のイメージが強くなってしまう。布
では水のイメージを強くするには…。そ
うだ!


零次は水の入った布を木の枝に吊るし、
右手で標準を構え、左手は水の中に浸し
た。


この温度、この感触、さっきとおんなじ
だ。 
形は布の中だから、布の形より少し小さ
い。そうイメージするんだ。


すると布はみるみると萎んでいった。そ
れは中の水がなくなっていったのを意味
していた。


「よし! 成功…。」


目に見えない液体の消滅に成功した零
次は膀胱の上に手をかざした。


イメージ。イメージするんだ。尿も水と
同じ。…じゃない!?
そうだ…。そうだよ。布と水は温度が
違うけど、尿は体温と同じ温度だから、
膀胱と区別できないんだ。もっと他の特
徴見つけないと…。尿はアンモニアでで
きてるから…臭い!
あの強烈な臭いだ!


零次はそう思い付くと再び膀胱の上に手
をかざし、魔法を使ったのだった。



痛みはない。尿も溜まってる感じは…し
ない! よし! よし! よし! 
うまくいった。
体を傷つけずに済んだ。


「零次?うまくいったのね。そのバカみ
たいな行動はやめなさい。」


水に濡れた服を手に握りしめ、周りの目
を気にせず派手なガッツポーズを決めて
いた零次の後ろには様子を見に来たレビ
ィが顔を覗かせていた。


「うおっ!? レビィさん!?
いたんですか…。そ、それより…ありがと うございま した。レビィさんのアイデ 
アがなかったら膀胱が破裂するとこでした。」


「べ、別にいいわよ!
そんなくだらないことで一々お礼なん
て言ってんじゃないわよ!
そんな暇があったら一秒でも早く私の願
いを叶えることね。」


突然の零次の言葉にレビィは少し驚きつ
つも再び冷たい態度に戻ったが、顔は夕
日に照らされてか、少し赤くなってい
た。


「はい。ところでレビィさん。ずっと気
になってたんですけど。そのレビィさん 
の願いって一体何なんですか?」


少し赤らんでいたその顔はまたその白髪
にも負けない綺麗な白い肌に戻っていた。
風が川の流れ沿うように通り抜ける。空
気が少し変わった気がした。

そしてその女性はゆっくりと口を開いた。




「それはね……。」











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