異世界転移した代償に生殖器を失った俺がツンデレ女と旅に出る。

I.G

五話 最初の危機


「レビィさん! 起きてください!
分かりましたよ。俺の魔法!」

 
温かい太陽の光と柔らかな草原のクッシ
ョンによって心地よい眠りに入っている
白髪の美女レビィを先ほどまでその女性
を起こすことを怖がっていた少年零次は 
陽気な声で起こそうとしていた。


「…もう何よ…もう少しで黄鳥が食べれる
ところだったのに…。」


「黄鳥? なんですかそれ?
もしかしてまだ寝ぼけてますか?」  


寝起きでまだ夢の中から抜け出すことが
できていなかったレビィは零次の言葉に
はっと我に返り少し顔を赤らめながら言
った。


「そ、そう。良かったじゃない。あんた
が何も使えないゴミじゃなくて安心した
わ。……何よ!?」


「え、いや別に何でもないですよ!」


テンパるレビィをこういう一面もあるの
かとマジマジと眺めていた零次に気が付
き、レビィは疑問の声を上げた。


「それより、あんたの魔法は一体なんだ
ったのよ。見してみなさい。」


「あ、はい。じゃあこの木を見ててくだ
さい。」


零次はレビィの隣に生えた大きな木を対
象として先ほどと同じイメージを働かせ
た。サー。木は先ほどよりも少し大きく
消滅し た。

よし、できた。これならレビィさんも満
足してくれ…。
 

「うわっ…ちっさ…」


誇らしげに胸を張っていた零次の心にグ
サリと冷たいレビィの言葉が刺さった。


え!? なんでだよ…。これでも4時間
頑張って探したのに…。
 

「でも…。いいわ。消滅魔法。シークレ
ットアビリティじゃない。これなら…!」


零次の成果に何かの未来を見たのか
最後の言葉には強い力が入っていた。


「いい? 
零次。今からその魔法繰り返し
使いなさい。魔法は使えば使うほど強く
なるの。あと3日経ったらここを出発す
るつもりだからそれまでに魔法を完成さ
せておくこと。いいわね!?」


「は、はい!」


レビィの力のこもったはじめての前向き
な言葉に思わず零次も強く返事をしたの
だった。



良かった。知らない場所に来て不安だっ
たけど、案外レビィさんも悪い人ではな
さそうだし、魔法も使えたし、悪いこと  だらけじゃなかった。悪いことといえば
あそこがなくなってしまった事だけどよ
くよく考えてみれば子孫が残せないだけ 
でそんなに支障はないはずだ。そうだ。
こういう前向きな心が大事なんだ。悲観
的な考えだと周りの事がよくみえなくて
また悪いことが起きてしまう。これから 
は前向きな気持ちを心がけよう。


零次はレビィに近くの小川で魚を取って
くるように命令され、スタスタと弾む心
を抑えながら歩いていた。


魚が取れれば取れるほどたくさん食べれ 
るしたくさん食べた後はぐっすり眠れ
る。そう!
この気持ちだ!
前向きな心を持てばどんな困難だって
乗り越えられる。でも油断は禁物だ。
浮かれすぎて危険な事に気づ
けないかもしれない。何か危ない事はな
いか注意するんだ。えっと、魚!
今から 取りにいくか魚は別の世界から
来た俺が食べても大丈夫なのかしっかり
レビィさんに聞いてみよう。
下手したら腹を壊してしまうかもしれ
ないし。腹を壊したらこのトイレのない
環境で用を足さないと行けないし。尿の
方は立ションできるけど大きい方は面倒
だ。


その時だった。零次が大きな過ちに気づ
いたのは…。


ん? 立ション…? 尿?………
お〇っこ!?


生殖器を失うという事は生き物において
最も重要である子孫を残す機能が失われ
てしまうことに他ならない。だが、しか
しもう一つ生殖器には重要な役割があっ
たのだた。それは尿を出すことである。
人間の生殖器はこの2つの重要事項を一
つの器官でこなせる言わばハイブリッド
なのであった。そのハイブリッドを失っ 
てしまった今、零次はこの世界に来て初 
めて危険という状況におい込まれている
のだった。



ど、ど、ど、どうしよう。やばい。やば
い。い、今どれくらい尿は溜まってるん
だ?
もしも相当溜まってたらどうする?
どうやって外に出す?
こ、怖い…。
レビィさんに声をかけるくらい。…いや
駄目だ! そういう気持ちが駄目なん
だ! 前向き、 常に前向きな気持ち
だ。大丈夫。
案外尿が溜まらない体になってるか
もしれない。そうだ。きっとそうだ。だ
って生殖器がなくなったのに尿は溜まる
ってそんなの人間としておかしい。溜ま
ってないはずだ!


そう心で決心して本来膀胱があるであろ
う位置に手をかける。
 

…大丈夫。きっと溜まってない。 


そしてゆっくりと手の指先で膀胱を押し
込んでみた。





「溜まってる……。」




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