転生鍛冶師は剣を打つ

夜月空羽

第七十五話 安静中

グリードとの激戦を乗り越え、俺達は目的の代物である精霊石を入手し、住んでいる街に戻ってきた。しかし俺はグリードとの戦いで死にかけたこともあり、ジャンヌから養生するように言われた。それにはリリスもセシリアも同意して俺はベッドの上で寛いでいる。
「ん…ト、トムくん……」
シュティアの魔乳に顔を埋めながら。
はぁはぁ……やっぱりシュティアの魔乳は最高だ……。この柔らかさ、モチモチ感、弾力。全てがパーフェクトと呼ぶに相応しいおっぱいだ。
ジャンヌもリリスもとても素晴らしいおっぱいの持ち主だということは俺が誰よりも理解している。しかし、これは二人のおっぱいを上回る代物!
まさに巨乳好きのロマンが詰め込まれた至高の乳。これは辛抱堪らん!!
シュティアの胸に顔を埋め、堂々と添い寝してくれるシュティアにセクハラをするも、シュティアは決して嫌がることなく、むしろそんな俺を包み込むように抱きしめて頭を撫でてくれる。
まるで小さい子供の悪戯を笑いながら受け入れるお姉さん、いや、母親のように笑って受け入れるシュティアからは母性が感じられる。
その母性に包まれている俺は心底安心するかのような気持ちでいっぱいだ……。
ジャンヌやリリス、そしてセシリアにはない。溢れんばかりの母性という安らぎに身を委ねて本能の赴くままにシュティアを美味しく頂くことを良しとしない俺がいる。
エロよりも安らぎに身を委ねてしまう俺にシュティアは優しく微笑みながらギュッと抱きしめて俺を包み込んでくれる。
一家に一人、シュティアがいればそれだけで世界は平和に包まれるだろう。
そんなことを思いながら俺はオールグスト様に言われたことを思い出す。
神殺しの剣を打て、か……。
いずれ復活するであろう邪神。その邪神を殺す為の剣を打つことがオールグスト様が俺をこの世界に転生させた真の目的……。伯耆安綱の血と才を受け継いでいる俺だからこそオールグスト様は俺をこの世界に転生させ、その為の用意もしてくれた。
しかし、正直な話、俺に神殺しの剣が打てるかどうかわからないが本音だ。
鍛冶師の端くれとして打ってやる! という気持ちはある。けれど、神殺しの剣は魔法剣や魔剣なんかとは比べものにならないことぐらい誰だって理解出来る。
それに失敗も許されない。
ジャンヌの剣《セア》にオールグスト様から頂いた二つの内の一つ、炉の女神、ヘスティアの聖火が込められた石を使った為に残されたのはあと一つ、フェンリルの牙だ。
それを使わなければ神殺しの剣は打てない。そして恐らくは一度使えばもう取り返しのつかないことになる気がする。
だから少なくとも今の俺じゃ、神殺しの剣は打てない。
もっと鍛冶師としての腕を磨かなければいけない。今の俺にできることとすればそれだけだ。
「トムくん? 大丈夫?」
不意に心配そうに顔を覗き込んでくるシュティアに俺は笑って返す。
「ノープロブレム。大丈夫、ただシュティアのその素晴らしい果実をどう美味しく頂こうか考えていただけだから」
「もう、エッチなのもほどほどにしないと駄目だよ?」
そう言いつつ頭を撫でてくるシュティアに俺はふと思った。
「そういえばシュティアはどうして奴隷落ちしたの?」
今更ながら俺はそれが気になった。奴隷といえば犯罪者や借金を背負った人がなるものだ。まぁ無理矢理にとかそういう例外もあるだろうけど、シュティアを見た感じではそれはなさそうに見える。
「えっとね、実は私の家は農家でね。そこで野菜なんかを育てて生計を立てていたの」
ほうほう。
「けど、野菜がモンスターに荒らされて売ることが出来なくなったの。家はまだ小さい弟や妹がたくさんいるから私が奴隷になってお金を作らなくちゃいけないって思って……」
「奴隷になったと?」
コクリ、とシュティアは頷いた。
「私は牛人キャトルだから肉体労働でも役に立つし、それにほら、若い女だからそっちでも高値で売れると思ったの」
まぁ確かに俺もそのつもりで買ったからな。今でもいい買い物をしたと思ってますぜ。
でも……。
「けどそれは一時凌ぎにしかならないだろう? シュティアの家に金でも送ろうか?」
実際、リリスのおかげで俺は今、金持ちだし。
「それは大丈夫。リリスさんに相談したら家族が生活できるだけの収入は得られるようになったから」
リリスマジパネェ……。
本当、こうして皆が幸せに生活できているのは全部リリスのおかげだな。マジ感謝だ。
「それにこう言うのもなんだけど、奴隷になったおかげでトムくんに出会えることができた……」
すると、シュティアは俺を抱きしめながら言う。
「本当はね、怖かったの。どんな辛い思いをするんだろうって、優しい人でありますようにってずっとアグロディーテー様に祈りを捧げていたの。幸い、私は他の女奴隷の人と違って高かったから諦める人が多かったけど、もし、その人達に買われていたらどうなっていたのか、想像もしたくない……」
「……………」
「実はというとね、トムくんに買われたその夜にトムくんのベッドに潜り込んだのは寝惚けていたわけじゃないんだよ? 自分から行けば少しは覚悟ができるかなって思って忍び込んだの」
「……………」
「でもトムくん、エッチなことはするけど無理矢理そういうことをしない優しい人だとわかって、こういう人にならいいな、って思えるようになったの。だから私に対して遠慮しなくていいからね? ちょっとぐらいなら乱暴にされても大丈夫だから」
そんな刺激的なことを言ってくれるシュティアを俺は押し倒す態勢になる。
「……シュティア。そんな刺激的なことを言ったら俺、我慢できないよ? 揉み揉みペロペロするけどいいんだよね?」
最後の確認をするとシュティアは潤った瞳で静かにゆっくりと首を縦に振った。
「ならシュティアは今日から俺の女だから覚悟してね♪」
「はい。末永くよろしくお願いします……」
こうして俺は魔乳……シュティアを美味しく頂きました、まる。



「ということでシュティアも俺のハーレムに加わることにしたから」
「何がというわけよ。死にかけたのだからしっかり休みなさいよ」
ベッドの上でシュティアと大人のプロレスを堪能した後で学院から帰宅したジャンヌに事の詳細を全て話すとジャンヌは顔を赤くしながら頭に手を置いた。
「えっと、ジャンヌちゃん。改めてよろしくね」
「はい。お互いこの変態に苦労すると思いますが一緒に頑張りましょう」
手を重なり合う二人。
ジャンヌはさらりと俺を変態と呼んだので今日の夜はしっかりと可愛がってあげようと決めた。
「さて、トム。体調はもういいのよね?」
「ああ、シュティアのおかげでもうすっかり元気だぞ」
身体も息子も。
「なら問題ないわね」
ピシリ、とジャンヌの手から振るわれたのは鞭だ。それもSMとかでよくあるあの鞭だ。
「ジャ、ジャンヌ…さま……?」
マゾだと思っていたジャンヌが不意に鞭を手に、振るってくる。俺は顔から汗が出て来て思わず後退りするも、柔らかなクッションが俺の背中に当たった。
「ふふふ、逃げてはいけませんよ?」
そこには鞭を片手に満面な笑顔を浮かべていたリリス、いや、リリス様がいた。鞭を持つリリス様は非常に絵になっている。
え? なに…? どういうこと?
二人を取り逃がさない様に挟み打つするジャンヌとリリス。するとジャンヌが口を開いた。
「実はね、以前の攻防戦で私達の活躍が上に認められたの」
「お、おう……それはいいことだ……」
「それで一週間後に王城に来るようにと国王から直々に王命が下されたのよ」
「それは…凄いな。それでどうして鞭を?」
俺の問いにジャンヌはこれまでにない笑顔で答えてくれた。
「そんなの決まっているじゃない。貴方に礼儀作法、紳士としての振る舞いをその身体に叩き込んであげるためよ!! 私とリリスさんで今日から一週間で貴方を一人前の紳士にしてみせるわ!! 寝る暇もないと思いなさい!!」
「ひぃぃいいいいいいいいいいいいいッッ!!」
それから一週間、俺の地獄の特訓が始まった。

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