東方消想録

如月大河

桜月

何故だ。何故覚えている?確かに記憶はない。はずなんだ。しかし、それではこの現象はどう説明する?これに対する結は2つ。記憶喪失ではないこと。しかしそれでは何故あの時答えられなかった?もう一つは記憶喪失が一部だけだったと言うこと。可能性は高い。が、確証がない。決めつけるのは早い。
「おい!来斗!」
俺は魔理沙の呼び掛けで我に帰った。
「ん。ああ。どうした?」
「どうした?じゃないぜ。私が何度呼び掛けても返事がないから。・・・心配したぜ。」
魔理沙は少し怒りつつも、安堵の表情が読み取れる。俺は魔理沙の優しさに感謝すると共に、可愛いなぁと彼女の顔を見ながらそう思うのだった。

人里を少し歩き、大河の家の前に着いた。家はやっぱり木造で、あまり目立たない。しかし、それを派手な「桜月」の看板が書き消している。
「ここが大河の家なのか?」
「ああ。早く入ろうぜ。邪魔するぜ!」
「お邪魔します。」
店に入ると、可愛らしい緑髪の少女がせっせと店内を行き来している。しばらくしてこちらに気付いて駆け寄ってくる。
「いらっしゃい。魔理沙さん!席にご案内します。」
その少女は明るい笑顔で魔理沙を案内しようとする。
「よう。彼方。店はどうだ?」
「はい!お兄ちゃんのおかげで上手くやっています。」
「そうか。よかった。今日はその兄に用があるんだが、・・・空いてるか?」
魔理沙の質問に少女は笑顔で、
「分かりました!少し待っていてください。」
と答え、奥にある厨房に消えた。その隙に俺は魔理沙に少女の事について聞く。
「彼女は前に如月さんと話していた・・・」
「ああ。そうだぜ。彼方だ。如月の実の妹で今は「桜月」を手伝っている。」
「魔理沙は彼方さんと仲良いの?」
「当たり前だぜ。私と彼方はいわゆる竹馬の友だからな!」
うん。違うよな。言葉の使い方間違えてるぞ。魔理沙。と言葉に出すと殴られそうなので、心の中で突っ込む。しかし凄い賑わっている。子供から老人まで多くの人が店の料理を美味しそうに食べている。俺が店内を見渡していると、厨房から如月さんが僕たちの所にやって来た。
「ごめん。魔理沙。待ったせちゃったかな?」
如月さんは申し訳なさそうに謝った。
「いや。あまり待ってないから大丈夫だぜ。あっ、いつもの頼めるか?」
「了解。いつものね。来斗は何か頼むかい?」
「え、俺?うーん。」
俺は悩んだ。何故なら・・・お金がない。頼むにしてもお金がなければ意味がない。
「俺は別に大丈夫ー」
俺は断る事にした。それを伝えようとすると、
「別にお金の心配はしなくていい。今回は魔理沙の奢りにするよ。」
「はぁ!?大河、お前なに言ってー」
「そう言えば魔理沙は僕に魔理沙の用事伝ってもらっているよね?」
「うっ。そ、それは今は関k」
「あれ、結構疲れるんだよね。暫く辞めたいのだけど。どうしようかな。」
「わ、わかったぜ。わかったから止めてくれ。」
魔理沙は途中まで反抗していたが、結局懇願して俺の分まで払う事になった。それを脇から見ていた俺は、ー如月さんって恐ろしいなと、魔理沙を哀れみながら思うのだった。


コメント

  • 如月大河

    少し遅れました。すみません。
    恒例の後日談です。今回は彼方が登場しました。まだまだ登場していないキャラが多すぎてどこで登場させようか、困っています。このまま行くと、ストーリーが本格的に動くのがあと10話ほど掛かりそうです。そんなに掛かっていると飽きられそうなので、何とか早くするように頑張ります。何回も言っていますが、こうした方が良くなるなどの意見をくれると有難いです。今回も読んでいただきありがとう!また次回会いましょう!

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