東方消想録

如月大河

「・・・異世界か。」
正直、本当かどうか疑う。ただし、普通ならだ。今の状況は普通とは言えない。幻想郷と言う未知の地に、俺は立っている。つまり、彼女の言うことは本当と言うことになる。
「本当なら信じない。・・・だけど信じざる終えない状況だ。君を信じよう。」
彼女はホッとしたようで、安堵の表情を見せた。
「よかった。ありがとな。信じてくれて。私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだ!」
そう言えば名乗ってなかったな。彼女、魔理沙の名前を聞くまですっかり忘れていた
「俺の名前はー
その次だ。名前を名乗ろうとして俺は意識を失った。
ああ。そう言えば、ケガしてたな。すっかり忘れて い た
俺の名前を呼ぶ魔理沙の声。しかし、俺には返事を返す力は残っていなかった。

ー 夢を見ていた。とても懐かしい、子供の頃の記憶。その記憶には、俺と友達だったと思う男女3人が遊んでいた。・・・懐かしい。
楽しかったな。あの頃は。確かあいつは ー

「・・・ん。」
目を覚ますと、天井が見える。病院だろうか。しかし、それにしては医療機器らしきものが一つもない。俺は自分の身体を見る。傷はなくなっている。頭にだけ包帯が巻かれている。あれから何日が経過したか分からないが、傷が一つもない。どうやったらここまで治るのだろう。そんなことを考えていると、カチャっとドアの開く音。同時に若い男?が入ってきた。・・・男だよな?
「よかった。目覚めたようだね。大丈夫かい?酷い傷だったけど。」
男は問い掛けてきた。まあ、大丈夫だけどさ・・・
「・・・大丈夫に見えるか?最悪だ。」
「はは。大丈夫そうだね。とりあえず、魔理沙を呼ぼう。」
と、男は部屋を出た。・・・男だよな?いや、だって服装が女物なんだよな。でも声は男の声だし・・・本人に聞けばいいか。
そして、再びドアの開く音。さっきの男?と一緒に魔理沙も入ってきた。
「おう。大丈夫か?いやー、焦ったぜ。大河が来てくれなかったらどうなってたか。」
大河・・・この男?の名前だろうか。
「そう言えば自己紹介をしていないね。僕は如月大河。この先にある人里に住んでいる。」
「そうか。よろしく。俺は来島来斗だ。」
「来斗か。よろしく。ところで君はどうして幻想郷へ来たんだい?ここにくると言うことは、何か目的があるはずだ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
俺は彼の問いに答えることはできなかった。何故なら、
「・・・もしかして、記憶がない?」
「・・・はい。」
そうだ。今の俺には記憶ない。いや。名前などは覚えている。正確には自分に起こった出来事を覚えていない。何故だ?
「・・・成る程。わかった。・・・魔理沙。明日、彼を連れて人里に来てくれ。今日は休んだ方がいい。」
「ああ。わかった。大河はどうするんだ?」
「もう遅いし、帰るよ。それに彼方も待ってる。」 
その言葉を聞き、外を見ると・・・暗かった。いや、当たり前だろ。元々暗いからな。
と、彼方さん?・・・誰だ?俺はその疑問を口にする。
「あのー。彼方さんって誰なんですか?」
「ん?ああ。彼方は僕の妹だよ。今度紹介するよ。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
・・・何者だ。彼は。何かとても

  恐ろしい

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コメント

  • 如月大河

    後日談。思ったより話の進みが遅い。
    今回で霊夢あたりを登場させたかった。

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