〜チートでハーレムなもふもふスローライフ〜

ひなた

4:ブータ様

僕を突き飛ばしたブータ様は僕のことを無視して、司祭様の方へ脂肪のついた足を動かして向かっていった。

「司祭。今すぐ僕のステータスを測れ。すぐにだ。
僕は貴族なので時間がいくらあっても足りないぐらいするべきことがあるのさ、なんてったって伯爵であるトーン家の次男だからね。
そこの君も庶民なのだから歩をわきまえろ。さっきの無礼、僕の下僕になると言うならば許してあげよう。
まず、僕の靴をなめろ。」

僕は怒りMAXだった。
1つ目は僕を押し倒したのに詫びの一つもないこと。
2つ目は順番抜かしをしたこと。
3つ目は意味のわからない言いがかりをつけて、僕を下僕にしようとしたことだ。しかも靴をなめろなんて…。絶対におかしい!

「あなた…。トーン家と言いましたね。
あなたには正式な処分を国王から受けてもらいます。
貴方達は人として、貴族として最低な行いをしました。
自分達がどのような酷いことをしたのかを知り、しっかりと償いなさい!」

…僕は母さんとまだ半日ほどしか過ごしていないが、母さんが、そうめったに怒らない穏やかな人だと認識している。

だから僕は母さんが怒鳴ったことにとても驚いていた。

僕が呆気にとられているとブータの家臣が顔を赤くしてこっちを指差しながら怒鳴ってきた。

「何だ貴様達!!
今の言葉、我等ブータ様に対する冒涜と認識するぞ 
そして、冒涜罪として国王に訴えてやる!!」

正直言って、僕らのほうがそちらよりくらいが上なのだが…。
そういえば、冒涜罪ってなんだ?

「母さん。冒涜罪とはなんですか?」

この状況で聞くべきでない。
と、僕は言った後気づいた。

「えっとne…」
「貴様そんなこともわからないのか?
やはり僕を冒涜したクソみたいな母親から生まれた子はクソなのだな ハハハハハハハハッ!!
仕方がないから僕が教えてやろう!!
冒涜罪というのはな自分より身分の高いものに対して無礼なことをした罪だ!」

いちいち突っかかってきやがって…。
本当にどうしょうもないやつだと心から思う。
だが…なるほど…。ニヤリ

「ブータさん。
じゃあ自分より身分が高い人を押し倒し、靴をなめろと言ってもですか?」

その時の僕の心は黒に染まっていたと思う。
けど心底楽しかったんだ。
びっくりするぐらいに。

「あぁ!そうに決まってい…ん?どういうことだ?
貴様は僕より身分が下なのだぞ!?
さっきの僕の説明を聞いていなかったのか?理解できないとは心底クズだな!ハハハッ!」

僕は本能的に口角が上がった。

「ブータさん…。
君を冒涜罪と訴えさせてもらうね。

ね?母さん。」

僕はその時どんな顔だったのだろうか…。
考えるだけで吐き気がしそうだ。

「ええ…。そうね。」

母さんはほんの少しだけ苦しそうにそう言った。
ブータはまだどういうことか理解していないようだ。

「どういうことだ?!
貴様らの言っていることでは僕が貴様ら平民より身分が低いことになっているぞ?!ふざけるな!」

僕の方が身分が上だと知らなかったとはいえ、平民にこんな酷いことをするなんて僕はいけないことだと思う。だから、僕はこの人にさばきの鉄槌がくだされることを望むんだ。

「ブータさん。
僕は公爵であるヒイラギ家の次男。ヒイロ・ニア・ヒイラギです。いまからあなたを冒涜罪で国王に訴えます。僕もこんなことはしたくはない…。身分をあかしていなかったわけですしね…。しかし、あなたが行った行為はたとえ平民にであろうとしてはならないことだと僕は思うんだ。」

ブータは僕がこういったあと「申し訳ございませんでした。」「どうかお許し下さい」と何度も乞うてきた。だけど僕は許さなかった。
そして、僕が絶対に自分を許すことはないとわかった途端そそくさと帰っていった。

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